愛犬をなでている時、嬉しそうに体を寄せてきたり、リラックスしてゴロンと横になったりする姿をみると、こちらも嬉しくなりませんか?
実は犬をなでる時、犬と飼い主の両方に「オキシトシン」が分泌されているからなのです。
このオキシトシンは「愛情ホルモン」「幸せホルモン」などと呼ばれることで有名ですね。
オキシトシンが分泌されると愛情関係が深まって信頼関係が生まれたり、犬も人もストレスが緩和されたりという効果が科学的に立証されています。
この記事では、愛犬にもっと気持ちよく喜んでもらえる、犬にとって最適な「なでなでコミュニケーション」の方法をお伝えします。さらに、犬にストレスを与えてしまうNGななで方もご紹介しますので、正しいなで方で愛犬との幸せな時間を過ごしましょう。
犬が喜ぶなで方のポイント
前述しましたが、あなたの愛犬にも撫でられて嬉しい時とそうでない時があります。
また撫で方にもポイントがあり、撫で方によっては愛犬にストレスを与えてしまう場合があります。そのような事が無いようにも、正しくスキンシップしてあげる事が大切です。
毛並みにそってゆっくりなでる
犬をなでる時は、毛並みにそってゆっくりとなでるようにしてください。毛並みに逆らって逆方向になでられることを不快に感じる犬は多いです。
犬が心地よく感じるには、毛並みにそって長いストロークでゆっくりとしたリズムでなでるのがおすすめです。
犬は早い動きで力を入れてなでられるのは好きではありません。テレビなどでは犬の顔を両手でワシャワシャとなでる様子が映し出されることがありますが、避けた方がよいでしょう。
指先ではなく面でなでる
犬をなでる時には、指先ではなく手のひらや手の甲全体を使い、面全体でなでるようにします。
とくに、お腹や太もも、背中といった大きな部位をなでる時には、手のひら全体で包み込むようにしてゆっくりなでましょう。くれぐれも強い力でなでないようにしましょう。
犬が好む場所からなで始める
犬がなでられて心地よく感じる部位は複数ありますが、犬種や個体差にもよりますので、日ごろから愛犬の様子をよく見て、愛犬の喜ぶ場所を知っておきましょう。「なでなでコミュニケーション」をとるときは、まずはその部位からなで始めるとよいでしょう。
愛犬が撫でて欲しい時のサイン
あなたが愛犬とスキンシップを取りたいと思っているのと同じように、愛犬も飼い主であるあなたとの愛情を確認したいと思っていますし、撫でられたい・スキンシップを取りたいと思っています。
そういった場合に愛犬はサインを出します。そのサインを見逃さない為にも、解説していきましょう。
飼い主にお腹を見せて寝転がる
飼い主さんにお腹を見せるのは、犬がとてもリラックスした状態です。
なでてほしそうな様子で飼い主さんのほうを見ていたら「なでて」のサインです。
飼い主さんを鼻で押す・前足でチョイチョイとする
これは飼い主さんに伝えたいことがある時の動作です。遊んで欲しい時や、オヤツが欲しい時、注目を集めたい時など、さまざまなシーンで見られます。
この動作をした後に、飼い主さんに体重を預けたり、体をピタッとくっつけてきたり、飼い主さんの前でゴロンと転がってきたりした時は「なでて」のサインの可能性が大きいので、やさしくなでてあげましょう。
飼い主さんに体をくっつけてくる
ソファーでくつろいでいる時などに、飼い主さんの膝の上にのってくることがありませんか? さりげなく体を押し付けてくることもありますよね。リラックスした状態の時のこの動作は思い切り甘えたいサインです。
愛犬をこんなタイミングでなでるのはNG!
なでられるのが大好きな犬でも、ストレスを感じるタイミングがあります。飼い主としては、可愛い姿をみるとタイミングかまわずなでなでしたくなりますが、犬の都合を考えずになでるのはNGです。
せっかくの「なでなでコミュニケーション」が、愛犬にとってのストレスにならないように気を付けましょう。
犬が食事中の時
人間もそうだと思いますが、食事中にいきなりさわられたらびっくりしますよね。
犬によっては、大好きな食べ物を取られると勘違いして、早食いになったり怒りをあらわにしたりすることも。
食の細い犬では食事に集中できなくなったり、なでてもらうほうが好きで食べるのをやめたりしてしまいます。
集中してひとり遊びをしている時
おもちゃに夢中になっている時に突然なでるのもNGです。
食事中と同じく、大切なおもちゃをとられると思って吠えたり歯をあてたりしてくる可能性もあります。
基本的には、犬がなにかに夢中になっている時になでるのはストレスになるので避けるようにしてください。
眠っている時・くつろいでいる時
ぐっすりと眠っている時は、急にさわるとビックリして目を覚まして、飼い主さんと気付かずに攻撃してくる場合があります。
また、リラックスしている時にさわるのもNGです。ゆっくりとくつろいでいる時は、そっとしておいてあげましょう。
犬がなでられると気持ちがいいのはココ
お腹
犬にとって急所であるお腹を見せるのは、心から信頼して心を許している証です。内臓が皮膚から近い位置にあるので、力を入れず優しくなでてあげましょう。
耳のつけ根
犬は人間と比べて倍以上の音を聞き取れると言われています。その分、犬の耳は常に緊張しており、凝りや疲れが溜まっています。親指の腹を使い、優しく揉みほぐすようになでてあげるとよいでしょう。
あごの下
なでられるのが大好きな犬が多いのが、あごの下。この部分には緊張を和らげるツボがあり、なでているとそのままウトウトと眠ってしまう犬もいます。
肩まわり
犬は前足で体重の6割を支えています。そのため、肩から肩甲骨のまわりが疲れやすいのが特徴です。また、飼い主さんを見上げる動作も多いので、首から肩まわりが凝りやすい傾向にあります。
大きく面でさわって、毛並みにそってゆっくりなでてあげましょう。手のひらで包むように触れて、全体を軽く揺らしてあげるのも効果的です。
尻尾の付け根
尻尾は、体のバランスを取ったり、気持ちを表現したりするので、付け根部分は疲れが溜まりやすくなっています。尻尾と腰の間に「腰百会」というツボがあるので、この部分を優しくマッサージしてあげるのも良いです。
犬が気持ちいいと感じているサイン
なでている時に「もっとなでて」というように、さらに体を押しつけてくる時があります。また、寝転がっている身体をクネクネする時も。
背中やお尻、足の付け根などをなでている時に、気持ちがよいと足踏みをするように動かすことも。これも「気持ちいいよ!」のサインです。
なでなでした手を止めると、前足でチョイチョイと手招きするように動かして「もっとなでて」と伝えてくることもありますね。
苦手な部位もさわれるようにしましょう
犬にとっては、なでなでどころか触れられるのも苦手という部位もあります。けれども、病気や怪我の治療などで、苦手な部位に触れなければならない可能性は少なくありません。「なでなでコミュニケーション」しているときに、少しずつ苦手な部位をさわって慣らしてあげましょう。
目の周り
目薬をさしたり薬をつけたりと、目のケアには必要な部位です。
眉の間に「印堂(いんどう)」というツボがあり、ここをなでてあげるとウトウトとリラックスし、寝てしまう犬もいます。眉間をなでるときに、目元も少しさわるようにしていきましょう。
尻尾
尻尾の先には神経が集中しているため、さわられることを嫌がる犬も多くいます。しかしトリミングやブラッシング、病院での健康チェック時など触れられる機会が多い部位です。
犬が心地よく感じる尻尾の付け根をなでてあげる時に、ゆっくりと尻尾の先まで軽くマッサージをするようになでる習慣をつけておくとよいでしょう。
口の周り
歯磨きなどお手入れに必要な口まわりも、犬がさわられることを嫌がる部位です。あごの下などの心地よいポイントをなでながら、少しずつ慣らしてあげましょう。
知らない犬は勝手になでない
人になでられることが好きな犬は多いですが、それはあくまでも大好きで信頼している飼い主さんが相手だから。見知らぬ人や飼い主さん以外からなでられることを好まない犬も多くいます。
飼い主さんの許可を取り、なでる時は、しゃがむなどして姿勢を低くしてください。手は犬の上からではなく、犬の体の横・下の方から目に入る位置でゆっくり出します。グーにした手のにおいをかいでもらうと犬が安心する場合があります。
なでられるのが好きな犬種・苦手な犬種
犬の中でもなでられるのが好きだと言われているのが、愛玩用に改良された犬種です。チワワやマルチーズ、トイ・プードル、ヨークシャーテリアなどです。
一方、なでられるのが苦手な犬種は、日本犬やハスキーなど自立心や警戒心の高い犬種があげられます。
とはいえ、どの犬種でも人間と同じく個体差があります。なでられるのが大好きなハスキーもいれば、あまりなでられたくないチワワもいるでしょう。なでる時には犬の様子をよく見ることがとても大切です。なでてほしそうか、気持ち良さそうにしているかを冷静に判断するようにしましょう。
「なでなで」は最高のコミュニケーション
犬をなでるのは、お互いが心地よく信頼関係が深まる最高のコミュニケーションです。なでなで習慣を続けることで、小さな体の変化に早く気付くことができ、トラブルを未然に防ぐこともできます。
また、シニア期や病気でアクティブに動くのが難しくなった時でも、飼い主さんのなでなでが愛犬のストレスを軽減し、体の緊張をほぐしてあげられるでしょう。
子犬からシニアまで、最高のリラックスタイムと飼い主さんとの信頼関係、愛犬の健康を守る「なでなでコミュニケーション」、ぜひ実践してみてくださいね。
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