ポメラニアンの子犬期は、将来の性格や健康状態を大きく左右する非常に重要な時期です。ふわふわの見た目からは想像しにくいですが、ポメラニアンは繊細さと活発さが共存し、適切な環境づくりや健康管理が欠かせません。
生後2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月…と月齢によって必要なケアは大きく変わり、特に子犬期は栄養バランス、社会化、生活リズムが将来の安定した生活に直結します。
このガイドでは、生後2ヵ月から1歳までに必要な
- 食事の基本
- しつけ
- 社会化
- 生活習慣
- トイレ
- 健康ケア
- 注意すべき危険ポイント
を月齢ステージごとに整理し、初めて迎える人でも迷わないように丁寧に解説します。
関連記事:ポメラニアン完全図鑑|性格・歴史・飼い方・健康・ケアまで徹底解説
第1章|子犬の発育と月齢ごとの特徴

ポメラニアンの子犬は、月齢ごとに体の発達速度や必要なケアが大きく変化します。まずは全体像を理解し、どの時期に何を優先すべきかを把握することで、後の育児がスムーズになります。
生後2〜3ヵ月
新しい家庭への適応が中心になる時期です。体温調節・消化機能・免疫がまだ不安定で、生活環境や食事管理が最も重要なステージです。
社会化の初期段階でもあり、安心できる環境づくりが性格形成の基礎になります。
生後4〜6ヵ月
行動範囲が一気に広がり、学習能力が最も高い時期です。乳歯から永久歯に生え替わるため、口に物を入れやすく、誤飲や拾い食いに注意が必要です。
社会化と基本しつけを身につける黄金期にあたります。
生後7〜12ヵ月
身体の成長が落ち着き、精神的に自立が進み始めます。思春期にあたるため、反抗的な行動が出ることもあります。
食事量・運動量を成犬に合わせて調整し、生活リズムを安定させることが大切です。
関連記事:犬の年齢と人間の年齢を徹底解説|年齢換算表・犬種別の違い・シニア犬の健康管理まで
第2章|生後2〜3ヵ月の育て方(迎え入れ期)

生後2〜3ヵ月は、ポメラニアンの子犬にとって最も繊細な適応期です。体の機能が未発達で、環境の変化に敏感なため、安心感を与えながら生活リズムを整えていくことが重要です。
この時期の関わり方は、その後の性格形成や健康状態に大きく影響します。ここでは「迎えた初日から1ヵ月」の育て方を丁寧に解説します。
新しい環境に慣れさせる
生後2〜3ヵ月の子犬は、生活環境が変わるだけで大きなストレスを感じます。迎え入れてすぐは、無理に遊ばせたり、抱っこを続けたりせず、まずは落ち着いて過ごせる環境を整えます。
- 静かなスペース
- 安心できる寝床
- 生活音が強すぎない部屋
これらを揃えることで、子犬は新しい環境を少しずつ自分のペースで受け入れ始めます。
初日は特に「抱っこしすぎ」「構いすぎ」に注意します。飼い主がそっと寄り添い、少し離れた場所から見守るような距離感が理想です。
食事は1日3回〜4回、少量を安定して
生後2〜3ヵ月の消化機能はまだ未熟で、長時間の空腹が負担になることがあります。
- 1日3〜4回
- 間隔は3〜5時間程度
この時期は低血糖のリスクがあるため、特に小柄な子犬では食事を抜かないことが大切です。
フードは、ブリーダーまたはショップで食べていたものと同じものを最初の1〜2週間は続けます。急な切り替えは下痢や嘔吐の原因になることがあります。
体調チェックは毎日行う
迎えたばかりの子犬は、ちょっとした環境変化で体調を崩しやすいため、毎日の観察が重要です。
- 食欲
- うんちの状態
- 元気度
- 寝る時間
- 咳やくしゃみがないか
小さな異変でも続くようなら早めに動物病院へ相談することが安心につながります。
トイレトレーニングはこの時期に始める
生後2〜3ヵ月はトイレの成功率を高めやすい時期です。ただし、この時期のトイレ成功は「たまたま成功した」だけのことも多いため、焦らず習慣化を目指します。
- 成功したらしっかり褒める
- 失敗しても叱らない
- トイレシートの位置を固定する
強い口調で叱るとトイレ自体を怖がり、隠れて排泄する行動につながることがあるため注意します。
ケージ・サークルの利用で生活リズムを作る
自由に歩き回らせすぎると、危険な物を口に入れたり、トイレ習慣が定まりません。生後2〜3ヵ月は「安心して過ごせるスペース」としてケージやサークルを活用します。
- 安心できる場所ができる
- トイレの成功率が上がる
- 生活リズムが整う
- 留守番練習の基礎になる
ケージは決して「閉じ込める場所」ではなく、子犬が自ら落ち着ける大切なスペースです。
社会化は無理のない範囲で開始する
ポメラニアンは環境刺激に敏感な犬種です。生後2〜3ヵ月は社会化の初期として、家の中でできる刺激慣れを優先します。例えば、
- 掃除機の音に慣れる
- 家族以外の人の声に触れる
- 軽い抱っこで外の景色を見る
ワクチンがまだ終わっていない段階では、地面に降ろさず抱っこで外の刺激に触れさせる方法が適しています。
おもちゃ遊びは「噛む欲求を満たす」ことがポイント
この時期は乳歯が生えそろい、噛む行動が自然に出てきます。体や家具を噛ませないために、噛んでよいおもちゃを与えて欲求を満たすことが大切です。
柔らかすぎず、硬すぎない素材を選び、誤飲しそうなサイズは避けます。
初期の動物病院ケア
ワクチンスケジュール、健康チェック、寄生虫予防はこの時期にスタートします。
動物病院との関係を早めに作っておくことで、万が一の時も相談しやすくなります。
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第3章|生後4〜6ヵ月の育て方(学習と成長が一気に進む時期)

生後4〜6ヵ月は、子犬の心身が大きく発達する時期で、学習意欲が最も高まります。体格が安定し始め、行動範囲が広がることで、新しい刺激に対する興味も強くなります。
同時に、乳歯から永久歯への生え替わりが進むため、噛む行動や落ち着かない様子が出やすい時期でもあります。ここでは、生活習慣・トレーニング・健康面で特に重要なポイントを整理します。
運動量が増え好奇心が一気に高まる時期
生後4〜6ヵ月のポメラニアンは、体の動きがしっかりしてくるため、家の中でも活発に行動します。
適度な運動はストレス解消と学習の定着に役立ちます。
- 1日2回
- 各10〜20分
散歩では「歩くこと」よりも「外の環境に慣れること」が大切です。
外の匂い、人、交通量、音など、さまざまな刺激を経験することで社会性が整い、吠えやすさや不安の軽減にもつながります。
乳歯から永久歯に生え替わることで噛む行動が増える
この時期は、歯の生え替わりに伴い、噛む欲求が高まります。
- 家具を噛む
- 手や服を噛もうとする
- 床に落ちている物を拾う
こうした行動が増えやすくなります。
- 噛んで良いおもちゃを常に用意
- 人の手に歯が当たったら遊びを中断
- 飲み込めないサイズのおもちゃを選ぶ
叱るのではなく「噛んで良い場所へ誘導する」ことが正しい対応になります。
しつけ・トレーニングの黄金期
生後4〜6ヵ月は、集中力と学習力が最も高い時期です。この時期の経験は成犬期に持ち越され、将来の生活行動を大きく左右します。
- お座り
- 待て
- 伏せ
- 呼び戻し
- ハウス
短時間のトレーニングを複数回行うことで覚えやすくなります。
また、インターホン音・来客・掃除機・車など、日常の刺激に慣れさせておくと、吠えや不安が減り、生活全体が安定します。
食事は成長に合わせて成犬量へ近づける
体が急速に大きくなる時期のため、適切な栄養摂取が重要です。
- 子犬用フードは継続
- 体格に合わせてフード量を微調整
- 間食が多いと栄養バランスが崩れる
- 体重増加のスピードを観察する
急激な体重増加は関節に負担をかけるため、増え方が早い場合は一度調整します。
社会化の仕上げに最も適した月齢
ワクチン接種が終わり、外へ自由に出られるようになる月齢です。さまざまな人、犬、環境に慣れることで、自信が育ちます。
- 歩道に慣れる
- 車や自転車の音
- 他の犬を遠くから見る
- 優しい犬と少し距離を縮める
無理に触れ合わなくても、見る・匂う・体験するだけで立派な社会化になります。
トイレの成功率が上がるが油断は禁物
行動範囲が広がることで、トイレの場所を忘れやすくなる時期です。この時期に「戻ってトイレをする習慣」を育てると、成犬になってからが非常に楽になります。
- トイレの位置は絶対に変えない
- 成功したら必ず褒める
- 失敗は無視して片付ける
- サークルを活用して習慣をつける
生活の自由度を上げるほど、トイレは崩れやすいため、段階的に自由時間を延ばすことが大切です。
反抗的な態度が出ることもある
思春期の始まりでもあるため、一時的に
- 指示を無視する
- 興奮しやすい
- 気が散りやすい
- 落ち着きがなくなる
といった行動が出ることがあります。これは成長の過程であり、性格が悪くなったわけではありません。
- 短いトレーニングに切り替える
- 成功体験を増やす
- 生活のルールを守る
- 叱らず、冷静に対応する
一貫したルールを維持することで、自然と落ち着いてきます。
健康ケアではワクチン後のフィラリア予防がスタート
ワクチン接種が完了すると、散歩や外出機会が増えます。これに合わせてフィラリア・ノミダニ予防が本格的に始まります。
体の変化が大きい時期のため、
- 体重の増減
- 皮膚の状態
- 咳やくしゃみ
- うんちの変化
などは日々観察します。
関連記事:犬の混合ワクチン完全ガイド|コアワクチン・ノンコアワクチンの違いと最適な選び方
第4章|生後7〜12ヵ月の育て方(成犬への移行期)

生後7〜12ヵ月は、子犬から成犬へと心身が移り変わる重要な時期です。体の成長は落ち着き始め、精神面では自立心が強まり、思春期特有の行動が出ることもあります。
同時に、生活リズムやしつけの定着が進み、将来の暮らしやすさが決まる時期でもあります。この章では、この期間に必要な運動量、食事の移行、トレーニング、避妊・去勢の検討ポイントまで整理します。
運動量はゆっくり成犬に向けて調整していく
生後7ヵ月を過ぎる頃には、散歩の耐久力も上がり、行動の安定性が増します。ただし、まだ骨格が完全に完成していないため、激しい運動は避けます。
- 1日2回
- 1回15〜30分
- 急な坂道や長距離は避ける
この時期は散歩そのものより「外で落ち着けること」「刺激の中で行動できること」が重要です。
思春期特有の変化が出ることがある
7〜12ヵ月は精神的に不安定になりやすい時期で、一時的に
- 指示を無視する
- 興奮しやすい
- 吠えが増える
- 散歩で引っ張る
- 落ち着きがなくなる
といった行動が出ることがあります。これは正常な成長過程の一部で、性格が変わったわけではありません。
- トレーニングを短時間で継続する
- 叱るより褒めて成功を積み上げる
- 興奮しやすい場面では刺激を減らす
- 生活ルールを一定に保つ
一貫した接し方で、徐々に落ち着きを取り戻します。
基本トレーニングの定着を目指す
この時期は、これまで教えてきた基本動作を確実に定着させる段階です。
- 呼び戻し
- 待て
- お座り
- ハウス
- 落ち着く練習
特に呼び戻しは安全に関わるため、繰り返し練習する価値があります。
生活音・来客・車の音など、刺激がある状況でも落ち着けるように少しずつレベルを上げていきます。
食事は成犬フードへ移行していく
生後10〜12ヵ月を目安に成犬フードへ切り替えます。
- 急に完全切り替えはしない
- 1〜2週間かけて徐々に比率を変える
- 体調(うんち・食欲)を見ながら調整
ポメラニアンは体が小さいため、少しの食事変化で体調が変わりやすいことがあります。無理のないペースが理想です。
体重管理がより重要になる時期
7〜12ヵ月は、運動量が増える一方で、食欲も安定してきます。この時期に体重が増えすぎると、成犬になってから関節や呼吸に負担が出やすくなります。
- 月に1〜2回の体重測定
- おやつの量を一定にする
- 散歩と室内遊びのバランスを取る
太りすぎも痩せすぎもリスクになるため、適正体重の維持が重要です。
毛質が成犬の被毛へ変わる
ポメラニアンは子犬の柔らかい被毛から、成犬のしっかりした二重被毛へ変化していく時期です。この途中段階では毛がスカスカに見えることもあり、不安になる飼い主が多い時期でもありますが、自然な発育の一部です。
この時期は
- 毛玉になりやすい
- 換毛が増える
- 静電気が起きやすい
などの変化があるため、ブラッシングはこまめに行います。
避妊・去勢を検討する時期
避妊・去勢のタイミングは、家庭の方針や動物病院の判断によって変わりますが、一般的には生後6〜12ヵ月の間に検討されることが多いです。
- 発情に伴うストレス
- マーキング行動
- 望まない妊娠の防止
- 病気予防の観点
具体的な時期は、その子の成長具合や体格によって調整されるため、かかりつけの獣医師と相談することが理想です。
留守番はこの時期に安定しやすい
生後7ヵ月以降は精神的安定が進むため、留守番がしやすくなります。ただし、急に長時間を任せるのではなく、これまでの練習を維持しながらスムーズに伸ばしていきます。
- 外出前は落ち着かせる
- パニックになる前の時間で切り上げる
- 帰宅時に過度に興奮させない
留守番を安心してできることは、成犬生活の大きな強みになります。
この時期の健康面チェック
生後7〜12ヵ月は、体の土台が固まり始める時期です。以下の変化が見られたら、早めに医師に相談しましょう。
- 咳が増える
- 足をかばう
- 皮膚のかゆみ
- 急な体重増加
- 食欲の変化
体の負担が少ない時期に小さな変化を見つけることで、成犬になってからの健康維持がしやすくなります。
第5章|食事と栄養管理

ポメラニアンの子犬は体が小さく、成長スピードも早いため、食事管理が非常に重要です。特に生後2ヵ月〜1歳までは、消化機能・血糖値の安定性・骨や筋肉の発達がまだ未熟で、食事内容がそのまま健康状態に影響します。
この章では、子犬期に必要な栄養バランス、食事の頻度、切り替え方法、与えてはいけない食材まで正しく整理します。
子犬期に必要な栄養バランス
ポメラニアンの子犬は、成長に必要な栄養を効率よく摂取する必要があります。子犬期の基本は、
- 高品質のタンパク質
- 適切な脂肪
- バランスの良いカルシウムとリン
- 消化吸収の良い炭水化物
- ビタミン、ミネラル
といった栄養要素を満たした子犬用フード(総合栄養食)を与えることです。
特にポメラニアンは体が小さいため、血糖値が安定しにくい傾向があり、適度な食事回数を維持することが重要になります。
月齢別の食事回数と量
- 1日3〜4回
- 少量ずつ、間隔をあけすぎない
- 急にフードを切り替えない
子犬は長時間の空腹が負担になりやすいため、小分けしてしっかり食べさせます。
- 1日3回が目安
- 徐々に成犬量へ近づく
- 食欲のムラがあっても焦らない
成長速度が高いため、体重をこまめに確認しながらフード量を調整します。
- 1日2〜3回
- 10〜12ヵ月頃から成犬フードへ移行
- 切り替えは1〜2週間かけて少しずつ
無理に量を増やす必要はなく、体格・活動量に合わせて調整します。
フードを切り替えるタイミングと方法
フード切り替えは消化器トラブルを避けるために、時間をかけて行います。
- 1日目〜2日目:旧フード75%、新フード25%
- 3日目〜4日目:旧フード50%、新フード50%
- 5日目〜7日目:旧フード25%、新フード75%
- 8日目以降:新フード100%
下痢や嘔吐が続くようであれば、切り替えスピードをさらに遅くします。
おやつの与え方と注意点
子犬はおやつを与えすぎると栄養バランスが崩れやすくなります。
- 1日の摂取カロリーの10%以内に抑える
- トレーニングの補助として少量で使う
- 消化に負担がかからないものを選ぶ
体が小さいため、ほんの少しのおやつでもカロリー過多になりやすい点に注意します。
ポメラニアンに多い食の悩み
食べムラ
成長期でも食べムラはよく見られます。環境変化や興奮などが原因となることが多く、元気で体重が落ちていなければ大きな問題にはなりません。
- 食事時間を決める
- 興奮状態のときに与えない
- フードを温めて香りを引き出す
早食い
早食いは誤嚥や嘔吐の原因になることがあります。
- 早食い防止皿を使う
- 一度に大量を与えない
- 複数回に分けて提供する
与えてはいけない食材
犬にとって有害とされている食品は与えてはいけません。
- ネギ類
- チョコレート
- ブドウ
- キシリトール
- 香辛料の強い食品
- 大量の脂分を含むもの
量によっては症状が出ない場合もありますが、子犬期は特に注意が必要です。
水分補給はいつでもできるように
子犬は体温調節が未熟で、水分不足になりやすいため、いつでも清潔な水を飲めるようにします。特にポメラニアンは被毛が厚く、暑さに弱いため、室温管理とセットで気を配ります。
健康的な体型を維持する
ポメラニアンは小型犬の中でも体格がコンパクトなため、適正体重の維持が重要です。
- 上から見たとき、軽くくびれがある
- 触ると肋骨がわかるがゴツゴツしない
- 太りすぎても痩せすぎてもいない
体重の変化は月1〜2回の測定で確認し、食事量と運動量のバランスを調整します。
第6章|健康管理と注意すべき症状

生後2ヵ月から1歳までのポメラニアンは、体の基盤がつくられる大切な時期です。体が小さく、代謝も早いため、わずかな不調が大きな問題につながることもあります。
特にポメラニアンは被毛が多く、気道や関節がやや弱い傾向があるため、こまめな観察と早めの対処が健康維持の鍵になります。
ここでは、子犬期に気をつけたい症状や、具体的なホームケアのポイントを解説します。
関連記事:犬のお手入れ完全ガイド|毎日・週1・月1でやるべきケアと失敗しないポイント
日常の健康チェックは「小さな変化」を見逃さないことが重要
子犬の体調は大きく崩れる前に、小さなサインが見られることが多いです。毎日観察する項目を決め、変化を早めにキャッチすることが大切です。
- 食欲
- 飲水量
- うんちの状態(硬さ・色・回数)
- 咳やくしゃみ
- 歩き方
- 皮膚の状態(赤み・フケ・かゆみ)
- 目やにや涙の量
- 元気度
この中から1つでも「いつもと違う」が続く場合は、早めに受診を検討します。
子犬期に見られやすい症状と注意点
下痢・軟便
子犬では非常によく見られます。原因の多くは環境変化・食事変更・ストレス・寄生虫感染などが挙げられます。
- 水のような下痢が続く
- 血便が見られる
- 嘔吐も伴う
- ぐったりしている
これらがある場合は早めの受診が重要です。
嘔吐
消化機能が未熟なため、軽い嘔吐は珍しくありません。ただし、次のような場合は注意します。
- 短時間に何度も繰り返す
- 食欲が落ちている
- 吐いたものに血が混じる
誤飲の可能性があるときもすぐに受診が必要です。
咳・呼吸の異常
ポメラニアンは気道が細く、咳が出やすい傾向があります。軽い刺激咳はよく見られますが、
- 呼吸が速い
- ゼーゼー音がする
- 眠っているときにも咳が出る
- 運動を嫌がる
といった症状があれば、呼吸器のトラブルが隠れている可能性があります。
足をかばう・スキップのように歩く
小型犬で一般的に見られる膝蓋骨脱臼のサインとして知られています。必ずしも手術が必要というわけではありませんが、金属フローリングの滑りや段差は負担につながります。
- 滑り止めマットを敷く
- 階段の昇降を控えめに
- ジャンプの多い遊びを避ける
皮膚トラブル
ポメラニアンは被毛が厚いため、皮膚が蒸れやすく、赤みやフケ・かゆみが起きやすいことがあります。
- わきの下、内股、耳の付け根は赤くなりやすい
- 毛玉が皮膚炎の原因になる
- ブラッシング不足はトラブルを招きやすい
皮膚の状態が悪化する前に、毎日のケアで予防します。
関連記事:犬のアレルギーや皮膚トラブル完全ガイド|原因・症状・対策・ケアまで徹底解説
子犬期に行う医療ケアの基本
ワクチン
初年度は複数回ワクチンが必要です。獣医師の指示に従い、適切な間隔を守ります。
フィラリア予防
フィラリア症は全国で対策されている感染症で、予防薬が基本です。投薬開始時期と種類は地域や病院によって異なります。
ノミ・ダニ予防
室内飼いでも、散歩が始まれば予防が必要になります。感染のリスクは季節によって変わるため、動物病院の指示に従いましょう。
健康診断
子犬期でも、
- 体重
- 消化器
- 呼吸器
- 関節
- 歯
これらを定期的に見てもらうことで、早期発見につながります。
ポメラニアンに特有の気をつけたいポイント
体温調節が苦手
被毛が多く、暑さに弱い傾向があります。夏の散歩は早朝か夜に限定し、室内の温湿度管理を徹底します。
緊張しやすく繊細
可愛らしい見た目とは裏腹に、精神面が敏感で物音に反応しやすい子もいます。過度に刺激を与えず、安心できる場所を用意することが大切です。
口腔ケアは早期スタート
小型犬全般に共通しますが、ポメラニアンも歯石の付着が早い傾向があります。永久歯が生え揃う生後6ヵ月頃から歯磨き習慣をつけると、生涯の健康維持につながります。
関連記事:犬の歯磨きを嫌がる5つの理由と対策|歯周病を防ぐケア習慣、飼い主の工夫
すぐに受診すべき危険なサイン
次の症状は早急な対応が必要です。
- 息が荒い、苦しそう
- ぐったりして動かない
- 全く食べない、飲まない
- 血の混じった嘔吐
- 連続する下痢
- けいれん
- 急に立てなくなる
こうした症状が出た場合は、夜間でも相談できる病院を確認しておくと安心です。
第7章|しつけと社会化の重要ポイント

ポメラニアンは活発で好奇心が強い一方、繊細な一面も持っています。子犬期に行うしつけと社会化は、成犬になってからの生活のしやすさを左右する大切な基礎づくりです。
この章では、生後2ヵ月〜1歳までの各段階で意識すべきポイントを、行動学に基づいて整理します。
関連記事:ポメラニアンの性格を徹底解説|甘えん坊・警戒心・興奮気質と上手に暮らすための深掘りガイド
社会化とは何かを理解する
社会化とは、子犬が「人・犬・環境・物音・場所」など、さまざまな刺激に慣れることを指します。社会化が不十分だと、成犬になってから
- 吠えやすい
- 怖がりになりやすい
- 新しい環境でストレスが強く出る
といった問題が発生しやすくなります。
ポメラニアンは元々警戒心が強めの個体も多く、社会化の質が性格に大きく影響します。
社会化の黄金期は生後2〜4ヵ月
この時期は新しい刺激を受け入れやすく、適切な経験が自信につながりやすい時期です。
とはいえ、ワクチンが完了していない段階では地面に降ろさず「抱っこ」で外の世界に慣らします。
- 家族以外の人の声
- さまざまな家の匂い
- 車の音、工事の音
- 雨や風の音
- 人の行き交う場所を遠目から観察
- 掃除機やキッチンの生活音
無理に触れ合わせる必要はなく、「見る」「聞く」だけでも立派な社会化になります。
基本的なしつけは短時間で反復する
ポメラニアンは集中力が短く、興奮しやすい傾向があります。そのため、しつけは短時間を何回も繰り返す方法が効果的です。
- お座り
- 待て
- おいで(呼び戻し)
- ハウスに入る
- 落ち着く練習
特に呼び戻しは安全に直結するため、子犬期から重点的に練習します。
褒めるタイミングが最も大切
叱るより「正しい行動をした瞬間を褒める」ほうが学習効果が高く、ポメラニアンにも合っています。
- 成功した直後に声をかける
- ごほうびは小さく
- 興奮させすぎない
- 完璧を求めない
叱る行為は恐怖を与えるリスクが高いため、基本的には用いません。
吠えやすさには原因がある
ポメラニアンは警戒心や興奮が強い個体が多く、吠えやすさにつながりやすい犬種です。
- 来客
- インターホン
- 外の音
- 興奮
- 要求
- 不安
原因を見極め、刺激を徐々に減らすトレーニングを行うことが鍵になります。
- インターホン→小さな音量で流し、落ち着いたら褒める
- 外の音→距離のある場所で慣らす
- 要求吠え→要求に応じない
「吠えないように叱る」のではなく、「吠えなくても大丈夫な状況」を作ることが重要です。
甘噛みは自然な行動だが、対応を誤らない
乳歯から永久歯へ生え替わる時期は、噛むことで不快感を解消しようとします。甘噛みは成長過程の一部ですが、人の手に歯を当てる癖は早めに改善していくことが大切です。
- 噛んで良いおもちゃへ誘導
- 興奮したら一度遊びを中断
- 声をあげて驚かせない
- 手を大きく動かさない
繰り返し誤学習させないために、毎回同じ対応を続けます。
留守番トレーニングは少しずつ
ポメラニアンは人への依存が強い個体も多く、分離不安につながりやすいとされます。
留守番は、
- 短時間→徐々に延ばす
- 外出前に興奮させない
- 帰宅時に大げさに喜ばない
- 安心できるケージ環境を整える
という流れで段階的に慣らします。
子犬期の留守番成功は、成犬期の安定に大きく影響します。
他の犬との接触は慎重に
フレンドリーな子もいますが、ポメラニアンは刺激に敏感で、強い犬や勢いのある犬を怖がることがあります。
- ドッグランで無理に近づけない
- 優しい性格の犬を選ぶ
- 距離を保ちながら慣らす
「遊べる犬」と「合わない犬」がハッキリする犬種なので、無理のない距離で経験を積むことが理想です。
生活音・環境刺激も社会化の一部
ポメラニアンは音刺激に敏感で、特に次のような音に吠えやすい個体が多いです。
- インターホン
- 掃除機
- 子どもの声
- 外の車やバイク音
これらは日常的に経験する刺激なので、ワンステップずつ慣らしていきます。
- 掃除機は遠くで短時間稼働させる
- 音量を小さくしたインターホン音を練習用に流す
- 静かな公園の遠くで人の声に慣れる
「大きな音=危険ではない」という成功体験を積ませるのがポイントです。
成長とともに出る「反抗期」をうまく乗り切る
生後6〜10ヵ月には一時的に反抗的な行動が出ることがあります。
- 指示を無視する
- 気が散りやすい
- 興奮して吠える
- 急に怖がりが強くなる
この時期に叱りすぎると、「人=怖い」と学習しやすくなるため、冷静な対応が必要です。基本は、
- 短いトレーニング
- 静かな環境で練習
- 成功すると褒める
- ルールをゆるめず一貫する
これで乗り越えます。
第8章|ポメラニアン子犬に多いトラブルと予防

ポメラニアンの子犬は、体が小さく繊細な一面を持ち、被毛や関節、気道などに特有の弱点が出やすい犬種です。
子犬期に起こりやすいトラブルを理解し、原因と予防策を知っておくことで、成犬になってからの健康リスクを大幅に減らすことができます。
ここでは、家庭で起きやすい典型的な問題から、犬種特有の注意点まで丁寧に整理します。
毛玉と皮膚トラブル
ポメラニアンはダブルコートで被毛が非常に豊富なため、毛玉ができやすい犬種です。毛玉は皮膚を引っ張り、赤みや湿疹を引き起こすことがあります。
毛玉ができる原因
- ブラッシング頻度が不足
- 換毛期の抜け毛が残る
- 湿った状態で放置する
- 子犬期の柔らかい毛が絡まりやすい
予防策
- 毎日軽めのブラッシング
- 顔周り・耳の後ろ・内股は特に重点的に
- シャンプー後は完全にドライを徹底
- 毛玉を無理に引っ張らず、ほぐせない場合はトリマーへ相談
子犬期にブラッシング習慣を作ると、成犬になってからの皮膚トラブル予防に大きく役立ちます。
足をかばう・スキップ歩行(膝のゆるみ)
ポメラニアンを含む小型犬では、膝蓋骨脱臼が見られることがあります。これは生まれつきの骨の形や、成長期の負担が原因で起こることがあり、重症度は個体差があります。
スキップのような歩き方
- 一瞬だけ片足を浮かせる
- 走るとたまに止まる
- 段差を嫌がる
こうした行動が見られたら、早めに獣医師へ相談します。
予防のポイント
- 滑りやすい床にマットを敷く
- 過度なジャンプ遊びを避ける
- 階段昇降を控えめに
- 適正体重の維持
環境改善だけで症状が安定するケースも多いため、日常管理が非常に重要です。
吠えやすさと興奮のコントロール
ポメラニアンは警戒心が強い個体が多く、インターホンや来客に反応して吠えることがあります。
吠えやすくなる要因
- 過度な警戒
- 運動不足
- 不安や刺激過多
- 要求行動
予防と改善
- 日常の音に慣らす
- 運動と遊びで発散
- 興奮したら一度環境を落ち着かせる
- 要求吠えには応じない
叱るより「吠えなくても大丈夫な状況づくり」が成功の鍵です。
甘噛みと誤飲
歯が生え替わる生後4〜6ヵ月は噛む行動が増えます。家具やコードを噛むリスク、床のゴミを誤飲するリスクも高い時期です。
誤飲しやすいもの
- ティッシュ
- 輪ゴム
- 小さなおもちゃ
- 木片
- ペットシーツの破片
予防策
- 床に物を置かない
- 誤飲しない大きさのおもちゃを選ぶ
- 噛んでいいものを常に用意
子犬期は特に誤飲が多いため、家庭内環境の整備が最も重要です。
涙やけ
ポメラニアンは目がやや突出して見える個体が多いため、涙が目の周りにつきやすい傾向があります。涙が常に流れている場合、涙やけにつながることがあります。
原因
- 目に毛が入る
- アレルギー
- 鼻涙管の狭さ
- 環境刺激
予防
- 顔回りの毛をこまめに整える
- 清潔なガーゼで涙をやさしく拭く
- 見え方や目やにが多い場合は病院相談
泣いたような跡が続く場合は、早めの対処がベターです。
低血糖
体が小さい子犬では、食事間隔が空きすぎたり、興奮・疲労が重なると低血糖を起こすことがあります。
注意すべきサイン
- ふらつく
- ぼんやりして動かない
- 震える
- 急に元気がなくなる
予防
- 生後2〜3ヵ月は少量を複数回
- おやつだけでお腹を満たさない
- 急な長時間の運動を避ける
特に小柄なポメラニアンは低血糖のリスクが高いため、子犬期の食事リズムが重要です。
暑さに弱い
ポメラニアンは密度の高い被毛を持つため、体温がこもりやすい犬種です。
注意点
- 真夏の散歩は避ける
- 室内温度管理(20〜25度目安)
- 車内の温度上昇に注意
犬種特性として「暑さに弱い」点は、飼い主がしっかり意識する必要があります。
分離不安
人への愛着が強く、一緒に過ごす時間を喜ぶ犬種のため、留守番が苦手な子も少なくありません。
予防
- 短い留守番時間から慣らす
- 外出前に構いすぎない
- 帰宅後の過剰な興奮は落ち着いて対応
- 安心できる寝床を作る
子犬期に「ひとり時間」を練習しておくことで、成犬になってからのストレスが減ります。
すぐに病院へ相談すべきケース
- 何度も嘔吐を繰り返す
- ぐったりして動かない
- 呼吸が荒い
- 下痢が続く、血便が見られる
- けいれん
- 誤飲の疑い
- 急に足を引きずる
こうした症状は緊急性がある場合があります。
まとめ
ポメラニアンの子犬期は、成犬になってからの性格や健康状態の土台がつくられる、とても大切な時間です。体が小さく繊細な一面もあり、運動量や食事、社会化のタイミングなどを誤ると、小さな問題が大きくなりやすい犬種でもあります。
しかし、正しい知識に基づいて丁寧に育てていけば、ポメラニアンは家族に深く寄り添う、明るく愛情深いパートナーに育ちます。
子犬期に経験させたいこと、避けたいこと、整えるべき環境は多くありますが、ひとつひとつ積み重ねていくことで、日々の暮らしは確実に安定していきます。
生後2〜3ヵ月の迎え入れ期には、安心できる環境と生活リズムづくりが最優先。生後4〜6ヵ月では、学習意欲の高まりを活かした社会化としつけが大きな効果を発揮します。生後7〜12ヵ月は、成犬への移行に合わせて、運動・食事・しつけの質を調整し、反抗期の揺れも穏やかに乗り越えていく時期です。
食事・健康ケア・社会化・トレーニングのバランスを整えることで、ポメラニアンの魅力であるふわふわの被毛、活発な動き、明るい性格が最大限に発揮されます。
手間をかけた分だけ、信頼関係が深まり、何年経っても「この子と出会えて良かった」と思える日が続いていきます。
ポメラニアンの子犬期はかけがえのない時間です。ぜひ丁寧に、前向きに楽しみながら育てていきましょう。

