日本国内で犬を飼う場合、「狂犬病ワクチン」の接種は単なる飼い主の責任にとどまらず、社会全体の安全を守るための重要な義務です。
海外では今なお毎年多くの命が失われている狂犬病。
日本では長年にわたって発生が確認されていませんが、それを支えているのが全国的なワクチン接種の徹底です。

うちは外に出さないから!



小型犬だし大丈夫よね?
と思われがちですが、思わぬきっかけでリスクが広がることも。
この記事では、狂犬病ワクチンの基礎知識や法律で定められた接種義務、費用や副作用、接種証明書の使い道まで、飼い主として知っておくべきポイントを詳しく解説します。
なぜ狂犬病ワクチンが必要なのか


狂犬病は発症するとほぼ100%死に至る極めて危険な感染症です。
日本では徹底した予防体制により、世界的にも稀な「狂犬病清浄国」としての地位を維持しています。しかし、今も海外では多くの犬や人が感染・死亡しており、国際的な移動やペットの輸入増加を背景に油断は禁物です。
狂犬病とはどんな病気か
- ラブドウイルス属のウイルスが原因
- 犬だけでなく、猫・アライグマ・キツネ・コウモリなど多様な哺乳類に感染
- 唾液や咬傷による感染が主
- 一度発症すると治療法はなく、ほぼ100%が死亡
国内での予防体制
- 日本では1950年代以降、法令で犬への年1回の接種が義務化
- 過去70年以上、国内での発症はゼロを継続
- 未接種は罰則対象となるケースも
狂犬病ワクチンの接種義務と法律


犬の飼い主には「狂犬病予防法」によって明確な義務が定められています。ワクチン未接種による社会的・法律的リスクもあわせて解説します。
接種義務の内容
- 生後91日(約3か月)を超えた犬は、必ず年1回の狂犬病予防接種が必要
- 登録やワクチン接種済み票の交付も義務
- 未接種や虚偽申告には罰金が科されることも
狂犬病ワクチンと混合ワクチンの違い【比較表】
項目 | 狂犬病ワクチン | 混合ワクチン |
---|---|---|
法律上の義務 | あり(年1回) | なし(推奨・任意) |
予防できる病気 | 狂犬病のみ | 2種~10種の感染症 |
接種証明の必要性 | 登録・外出・ペット施設利用等で必要 | ペットホテル・サロン等で必要 |
接種時期 | 年1回(市区町村ごと指定時期あり) | 子犬時期+年1回の追加 |
接種のタイミング・スケジュール・費用


狂犬病ワクチンは、主に春の予防接種シーズン(4~6月)に各自治体が集団接種会場を設けて実施しますが、動物病院でも随時接種可能です。
初回接種とその後のスケジュール
- 生後91日を過ぎたらできるだけ速やかに初回接種
- 以降は毎年1回、年度ごとの更新が必要
- 住所変更や引っ越し時も登録内容の変更手続きが必要
費用の目安と自治体ごとの違い
- 一般的な費用:2,500~3,500円前後
- 集団接種と動物病院では費用やサービスに差がある場合も
- 登録・済票発行など、初年度は追加費用(3,000円前後)がかかることも
狂犬病ワクチン接種後の注意点と副作用


ワクチン接種後は、愛犬が普段通り元気かどうかをよく観察しましょう。
副作用はごく稀ですが、発熱・元気消失・注射部位の腫れなど軽度な症状が見られることがあります。重篤なアレルギー反応(呼吸困難やけいれん等)が現れた場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
接種後の過ごし方・注意点
- 接種直後は激しい運動やシャンプーを避ける
- 数時間~1日は安静を心がける
- 接種証明書は大切に保管
よくある質問(FAQ)|狂犬病ワクチンの素朴な疑問


まとめ|狂犬病ワクチンで守る安心な毎日
狂犬病ワクチンの定期接種は、愛犬だけでなく飼い主や社会全体の安心につながる大切な習慣です。義務だから仕方なく、ではなく、正しい知識と理解を持って、毎年の予防接種を忘れずに実施しましょう。
大切な命と社会の安全を守るため、登録・証明書の管理や副作用のチェックも怠らず、疑問があれば動物病院で気軽に相談してください。