愛犬の健康を守るために欠かせない「歯磨き」。しかし実際には、

嫌がって口を開けてくれない…。



暴れて歯磨きどころではない…。



毎回ストレスでお互いヘトヘトになる…。
など、歯磨きに苦戦している飼い主は非常に多くいます。とくに小型犬や神経質な性格の犬は、口の周りを触られるのを極端に嫌がる傾向があり、無理やり押さえつけて磨こうとすると逆効果になってしまうこともあります。
一方で、歯磨きを避け続けるとどうなるか──。
放置された歯垢や歯石は、歯周病、口臭、出血、歯のぐらつき、全身疾患へとつながり、治療には高額な費用と大きな負担がかかることも少なくありません。
つまり、「嫌がるからできない」では済まされないのが歯磨きの現実なのです。
本記事では、次のような内容を飼い主の視点でわかりやすく、実践しやすく解説していきます:
- 犬が歯磨きを嫌がる根本的な理由
- 無理をせず続けられる対策と習慣化のコツ
- 歯磨きできない時の代替ケア法
- 歯磨きを助けるおすすめグッズとその選び方
- 歯磨きを怠ることで起こるリスクと病気の実例
この記事を読み終える頃には、あなた自身の手で「歯磨きを嫌がらない愛犬との習慣」を育てていく第一歩が踏み出せるはずです。
第1章|犬が歯磨きを嫌がる理由とは?


犬が歯磨きを嫌がるのには、明確な理由があります。ただ単に「わがまま」なのではなく、犬の本能・経験・環境が複雑に絡み合っているのです。ここでは、飼い主が歯磨きをスムーズに始めるために知っておくべき、主な“嫌がる理由”を深掘りしていきます。
口元は「本能的に触られたくない場所」
犬にとって顔まわり、特に口の周辺は非常にデリケートな部位です。野生の動物にとっては、口は「命を守るための武器」であり、「餌を確保するための大切な器官」。そのため、口元を触られることは“攻撃されている”と感じてしまう場合があるのです。
とくに以下のような傾向のある犬は、歯磨きに対して強い抵抗を示しやすくなります。
- 警戒心が強い・慎重な性格
- 顔を撫でられるのが苦手
- 身体を拘束されることを嫌う
- 過去に保護経験やトラウマがある
歯ブラシの感触に強い違和感を持つ
犬にとって「歯ブラシ」や「指サック」は日常に存在しない異物です。とくに初めての歯磨きでは、毛の硬さや味、口の中に入れられる感覚がすべて不快に感じられることがあり、それが「嫌なもの」=「歯磨き」という印象を強めてしまう原因になります。
一度でも不快な経験をすると、次回以降は見ただけで逃げる・唸る・暴れるようになることも少なくありません。
無理にやった経験がトラウマになっている
歯磨きを嫌がる愛犬に対し、良かれと思って無理に押さえつけたり、叱りながら続けたりしていませんか?そうした行為は、犬にとって「歯磨き=怖いもの・苦しいもの」という強烈な負の印象を残してしまいます。
犬は過去の経験を非常によく覚えています。
たとえ小さな出来事でも、それが毎日のように繰り返されれば、「逃げる・噛む・唸る」といった強い拒否反応につながります。
飼い主が緊張していると犬にも伝わる
犬は飼い主の声のトーン、手の動き、表情、気配から感情を読み取ります。飼い主が「嫌がるかも」「また怒るかも」と不安そうな顔で歯ブラシを構えると、犬はそれを感じ取り、身構えます。
このような「負のループ」は多くの家庭で見られ、“歯磨き=お互いにストレス”という認識が定着してしまう原因になってしまいます。
歯や歯茎に痛みがある可能性も
犬が歯磨きを極端に嫌がる、あるいは特定の場所に触れられるのを避ける場合、すでに歯や歯茎に炎症・出血・歯周病などの症状がある可能性もあります。
以下のようなサインが見られる場合は、無理に続けるのではなく、動物病院での診察を優先するべきです。
- 歯茎が赤く腫れている
- 口臭が強い
- 食欲があるのに食べにくそうにする
- 頬やあごを触られるのを嫌がる
まとめ:嫌がるのには必ず“理由”がある
犬が歯磨きを嫌がるのは、感情や反射の表れであり、意味のあるサインです。
無理にやらせるのではなく、まずは「なぜ嫌がっているのか」を知ることが、改善への第一歩になります。
次章では、そうした犬たちに対して「どう慣らしていけばいいのか」、実践的なステップと具体的な方法を紹介していきます。
第2章|嫌がる犬への歯磨き方法|段階的に慣らす5ステップ





歯磨きは毎日やらなきゃ!!!
と思っていませんか?実は、嫌がる犬にいきなり歯ブラシを当てようとするのは逆効果。大切なのは、“慣れるまでのプロセス”を犬のペースで段階的に踏んでいくことです。
ここでは、歯磨きを嫌がる犬でも受け入れやすくなる「5ステップの慣らし方法」をご紹介します。焦らず少しずつ進めることで、ストレスなく習慣化することが可能になります。
ステップ1|歯磨き道具を“見せるだけ”から始める
まず最初のステップは、「歯ブラシ=怖くない」と教えるところから。
- 歯ブラシやガーゼを犬の前にそっと置く
- 嗅がせたり、触らせたりする(口には入れない)
- この段階では無理に触らず、終わったら褒めておやつ
この行為を繰り返すことで、犬は「これは危険なものではない」と理解し始めます。
ステップ2|口まわりをやさしく触る練習
犬が落ち着いて道具を見られるようになったら、次は口まわりに触れる練習へ。
- 最初はマズル(鼻筋)→唇の横→ほっぺた付近から
- 触れたらすぐ褒める、やりすぎない
- 嫌がる素振りが出たら、その日は終わりにしてOK
触れる時間は1日10秒〜20秒でも十分。少しずつ「口周り=安心して触れられる場所」へと慣らしていきましょう。
ステップ3|歯や歯茎をガーゼで軽く拭う
指にガーゼを巻いて、実際に「歯磨きらしき動作」を取り入れます。
- 最初は前歯の1本だけでもOK
- 1〜2秒軽くなでるだけで十分
- ガーゼは湿らせて使うと摩擦が減り、犬への刺激も少ない
この段階でもまだ「磨くこと」が目的ではありません。「口の中を触れられても大丈夫」を教える段階です。
ステップ4|味付きペーストやジェルで“ごほうび歯磨き”
この頃には犬もかなり慣れてきているはず。ここで活躍するのが、犬用の歯磨きペーストやジェルです。
- チキン味・ミルク味など嗜好性が高いものを選ぶ
- 指に塗って舐めさせる → ガーゼでなじませる → 軽く拭く
- 「美味しい=楽しい=歯磨き」と刷り込む
この工程を通じて、歯磨き=嫌なことではないという認識をさらに強化します。
ステップ5|歯ブラシへ移行して磨ける範囲を少しずつ広げる
最終段階では、犬用歯ブラシ(超小型ヘッド・柔らかい毛)を使って、本格的に歯磨きに取り組みます。
- 最初は1本〜数本だけ、時間にして10秒程度でも良い
- 「磨くこと」より「最後まで落ち着いて終えられること」を重視
- 毎日でなくても、週2〜3回×少しずつの習慣化で十分
この段階で嫌がるようであれば、前のステップに戻っても問題ありません。犬の様子を見ながら、段階的に反復することが成功のカギです。
補足:1ステップ=1週間〜1ヶ月が目安
すべての犬が同じペースで慣れるわけではありません。焦らず、1つのステップを最低1週間〜2週間かけて進めていくのが理想的です。
まとめ|「嫌がるからやらない」ではなく「慣らし方を変える」
歯磨きを嫌がる犬に対しては、「無理にやる」のではなく「段階的に慣れさせる」ことで、犬も飼い主もストレスなく歯磨きを続けられるようになります。
次章では、歯磨きをさらに快適にするための「犬が嫌がりにくい歯磨きグッズとその選び方」をご紹介します。
第3章|歯磨きを嫌がる犬でも使いやすいおすすめグッズ7選





毎日の歯磨きが苦痛…。
という飼い主の悩みに応えるべく、今ではさまざまな“嫌がりにくい”歯磨きグッズが市販されています。
ここでは、歯磨きを嫌がる犬にも比較的受け入れられやすく、習慣化しやすい便利グッズを厳選してご紹介します。目的別・タイプ別に使い分けることで、無理なく口腔ケアを続けられるようになります。
3-1. 指サック型歯ブラシ|初心者・超小型犬向け
特徴
- 指にはめて使う柔らか素材の歯ブラシ
- 歯茎や口内を傷つけにくく、犬も違和感を覚えにくい
向いている犬
- ブラシを見ただけで逃げるタイプ
- 小型犬・超小型犬(チワワ、ポメラニアンなど)
- 歯磨き初心者の飼い主
注意点
- 指を噛まれる可能性があるため、慎重に使用
- 耐久性がやや低めなので定期的な交換が必要
歯磨きシート|短時間で済ませたいときに
特徴
- ウェットティッシュのようなシートで歯を拭くだけ
- 匂い付きタイプや酵素配合タイプもあり、口臭予防にも効果的
向いている犬
- 歯ブラシが苦手
- じっとしていられない性格の犬
- 忙しくて毎日は難しい飼い主
注意点
- 歯の隙間の汚れにはやや届きにくい
- シートは1匹1回使い切りが基本
歯磨きペースト(味付き)|「おいしい」で記憶づけ
特徴
- チキン・ミルク・バニラ味など、犬の好みに合わせて選べる
- 食べても安全な成分で作られており、嫌がられにくい
- 酵素入りで歯垢の分解をサポートするタイプも
向いている犬
- 歯磨き=嫌なことという記憶が強い子
- ごほうび感覚で慣れさせたい飼い主
注意点
- 人間用の歯磨き粉は絶対NG(キシリトールなど中毒リスク)
- 味によって好みが分かれるため、複数試してみるのが◎
歯磨きジェル・スプレー|“塗るだけ・吹くだけ”でOK
特徴
- 歯に塗るだけ/スプレーするだけで口内環境を整える
- 歯ブラシが使えない場合の代替ケアに最適
- 殺菌・抗炎症成分が含まれているものも
向いている犬
- 高齢犬や病気などで触られるのを嫌がる犬
- 忙しくて時間が取りにくい飼い主
注意点
- 歯石がついている場合は効果が限定的
- 継続使用しないと効果が薄れる
歯磨きガム|“噛むだけ”の手軽なケア
特徴
- 噛むことで歯垢除去・唾液分泌・ストレス発散を同時にサポート
- 固さやサイズも犬種に合わせて選べる
向いている犬
- 噛むのが好きな子
- 歯磨き習慣がない犬の“第一歩”として
注意点
- 主成分・カロリーに注意(添加物が多いものは避ける)
- 歯の状態によっては硬さが合わないことも
デンタルトイ|遊びながらケアできるおもちゃ
特徴
- 噛む・引っ張る・振る動作の中で歯に刺激を与える設計
- 中にジェルやペーストを塗って“ご褒美付きおもちゃ”にもできる
向いている犬
- おもちゃ大好きで飽きっぽい性格
- 歯ブラシを警戒してしまう子犬・若い犬
注意点
- 長時間与えすぎると歯や顎に負担になる場合も
- 安全素材かどうかの確認を必ず行う
飲み水に混ぜるタイプ|継続ケアのサポートに
特徴
- 飲み水に数滴入れるだけで、口腔内環境の改善をサポート
- 歯磨きと併用することで予防効果を高められる
向いている犬
- 触られるのが極端に苦手な犬
- 飼い主が歯磨きに自信がない場合
注意点
- 劇的な効果は出にくく、あくまで“補助”としての使用がおすすめ
- 成分を確認し、継続使用に問題がないかチェック
まとめ:犬の性格・年齢・歯の状態に合わせた“選び方”がカギ
歯磨きグッズ選びで最も重要なのは、「その子が受け入れやすいもの」から始めることです。
無理にブラシだけにこだわる必要はありません。シート→ジェル→ガム→ブラシという順に少しずつステップアップしていけば、自然と“嫌がらない歯磨き習慣”が身につきます。
次章では、「歯磨きができない日」でも愛犬の口腔ケアを維持する方法について解説します。
第4章|「できない日」でもケアできる!代替のデンタルケア法


どんなに歯磨き習慣がついてきた犬でも、



今日はどうしても落ち着いてできない…。



時間が取れない…。



体調が悪そうで触れない…。
──そんな“歯磨きができない日”は必ずあります。しかし、だからといって完全に放置してしまうと歯垢はたまり続け、歯周病のリスクも上昇してしまいます。
ここでは、歯ブラシを使わずに口内環境をケアできる“代替ケア”の方法を紹介します。
デンタルガム|噛むだけで汚れ除去+唾液分泌
歯磨きの代替として最もメジャーなのがデンタルガム。噛むことで歯の表面を物理的にこすり、歯垢の蓄積を抑えることができます。
メリット
- 噛む習性を活かした自然なケア
- 唾液の分泌も促進し、口臭予防にもつながる
- ほとんどの犬が喜んで受け入れる
選び方のポイント
- 無添加・保存料不使用のもの
- 小型犬にはサイズ・硬さが合ったものを
- 獣医師推奨・VOHC認定(米国歯科獣医師会推奨)商品は信頼性高
デンタルジェルやスプレー|塗る・吹きかけるだけで簡単ケア
歯ブラシに抵抗がある日でも、ジェルを指に塗ってなめさせる/スプレーで歯に吹きかけるだけで、一定のケア効果が得られます。
メリット
- 歯に直接触れなくても使える
- 抗菌成分や酵素配合で、口内環境を整える
- 口臭が気になるときにも即効性あり
注意点
- 即効性はあるが、歯石の除去はできない
- 継続的な使用が必要(1回では効果が薄い)
デンタルトイ・ロープおもちゃ|遊び感覚で汚れを除去
噛むことで歯垢除去をサポートするおもちゃも、日常的なケアの一環として有効です。
メリット
- 歯ブラシを警戒する犬でも受け入れやすい
- 遊びながら自然と歯の表面をこすれる
- ストレス発散にもつながる
注意点
- おもちゃの素材が柔らかすぎると効果が低い
- 誤飲しないよう、サイズや耐久性に注意する
口腔ケアウォーター|飲み水に混ぜて毎日続けられる
「毎日歯磨きできない」「全く触らせてくれない」場合には、飲み水に混ぜるタイプの口腔ケアウォーターがおすすめです。
メリット
- 習慣に組み込みやすく、継続が簡単
- 口腔内の細菌バランスを整え、口臭対策にも効果あり
注意点
- 即効性は低いが、継続使用で効果が現れる
- 成分にアレルギーがないか要確認
デンタルフード・サプリメント|内側からの口腔ケア
近年は、食事から口腔ケアを支える専用のデンタルドッグフードやサプリメントも登場しています。
メリット
- 食事と同時にケアできて飼い主の負担が少ない
- 噛みごたえのある粒や、抗菌成分を配合したフードもある
注意点
- 通常のフードより価格が高め
- 他のケアと併用してこそ効果を発揮
まとめ|「できない日」こそ、ケアを“やめない”ことが大切
歯ブラシができない日があっても構いません。
大切なのは、「今日は無理だから終わり」ではなく、別の方法で口腔ケアを続ける姿勢です。多様な代替手段を知っていれば、どんな性格の犬とも無理なく付き合っていけます。
次章では、歯磨きを怠ることで実際に起こりうる病気や健康リスクについて解説します。
第5章|歯磨きをしないとどうなる?放置リスクと歯周病の実態





うちは歯磨きできてないけど、元気だし大丈夫
そう思っている飼い主も多いかもしれません。しかし実際には、犬の3歳以上の約80%が歯周病を患っているというデータもあり、歯磨き習慣のない犬は、知らないうちに病気を進行させてしまっていることが珍しくありません。
ここでは、歯磨きを怠った場合にどのような問題が起こるのか、具体的な症状やリスクを解説します。
歯垢は3日で歯石に変わる
犬の口内では、人間よりも速いスピードで歯垢がたまり、わずか3日程度で歯石へと硬化してしまいます。一度歯石になると、自宅での歯磨きでは取り除けません。
歯垢→歯石→歯周病という進行ルート
- 歯の表面に歯垢が付着(数時間〜1日)
- 歯垢が石灰化し、歯石に変化(2〜3日)
- 歯茎に炎症が起きる(歯肉炎)
- 放置すると歯茎が後退・出血(歯周炎)
- 歯がぐらつき、最終的には自然脱落または抜歯に
初期症状は「見逃されがち」な変化
犬は口の違和感を訴えることができないため、以下のような初期症状を見逃してしまうケースが多くあります。
- 口臭が強くなる
- 歯茎が赤くなる、出血する
- 硬いおやつを食べたがらない
- よだれが増える
- 片側の歯だけで噛む(痛みを回避)
これらは歯周病のサインかもしれません。歯磨きができていない場合、日頃からこれらの兆候を観察することが重要です。
歯周病が引き起こす“全身疾患”のリスク
歯周病の怖さは、口の中だけにとどまりません。細菌が血管を通じて体内に入り込むことで、以下のような全身疾患に発展するリスクもあるのです。
代表的な疾患
疾患 | 症状 |
---|---|
心内膜炎 | 心臓の内膜に細菌が感染 |
腎不全 | 老廃物の排出機能が低下 |
肝臓疾患 | 代謝や解毒の負担増 |
綿棒・糖尿病の悪化 | 炎症がインスリン抵抗性を上げる |
とくにシニア犬では、“口の病気”が“命に関わる病気”につながることもあるため、歯磨きは「命を守る習慣」ともいえます。
治療は「高額・高負担」になりやすい
歯周病が進行し、動物病院での治療が必要になると、以下のようなコストやリスクが生じます。
治療やリスク | 金額・判断 |
---|---|
スケーリング(麻酔下の歯石除去) | 2万〜6万円程度 |
抜歯 | 1本あたり数千円〜1万円以上(本数により数万円) |
麻酔のリスク | 特に高齢犬・持病のある犬には慎重な判断が必要 |
つまり、「今のうちに少しずつでもケアしておく」ことが、将来の医療費・犬の体への負担・生活の質の低下を防ぐための最善策となるのです。
まとめ|歯磨きは“予防”ではなく“必須の健康管理”
歯磨きは決して「できたら良いこと」ではなく、犬の命を守るために必要な“日常ケア”のひとつです。
毎日できなくても、週に数回+代替ケアを併用するだけで、将来的なリスクを大きく減らすことができます。
次章では、犬が嫌がらず、歯磨きを習慣化するためのコツと飼い主の心がけについてお伝えします。
第6章|歯磨きを習慣化するために飼い主ができること





歯磨きの大切さは分かっているけど、続けられない…。
これは、多くの飼い主が抱えるリアルな悩みです。実は、犬の歯磨きを習慣化できるかどうかは、犬よりも飼い主の工夫と継続力に大きく左右されます。
ここでは、歯磨きを“嫌なこと”ではなく“自然な日課”として定着させるために、飼い主が実践すべきポイントを解説します。
「完璧を求めない」が習慣化の第一歩
まず大前提として、最初からすべての歯を完璧に磨こうとしないことが習慣化への近道です。
- 最初は「1日1本の歯でもOK」
- 犬が嫌がる前に終える(“嫌な記憶”を残さない)
- 完了の基準を「磨けた」ではなく「嫌がらなかった」にする
「今日はできなかった…」と落ち込むのではなく、“嫌な思いをさせなかった”ことを成功とする考え方が大切です。
毎日同じタイミングで“ルーティン化”する
習慣は、時間と流れを固定することで定着しやすくなります。
- ごはん後・散歩後・就寝前など、日常ルーチンに組み込む
- 飼い主の都合よりも“犬の落ち着いている時間帯”を選ぶ
- 毎日同じ部屋・同じ音楽など環境を一定にするのも有効
「この時間になると歯磨きが来る」と予測できることで、犬も心の準備ができるようになります。
飼い主の“態度”が成功を左右する
犬は、飼い主の声のトーン・動き・緊張感を敏感に感じ取ります。
- 不安そうな声かけ(「大丈夫かな…」など)は避ける
- 表情・手の動きをゆっくりと柔らかく
- 「できたね!」「えらい!」とポジティブなフィードバックを必ず
“飼い主が堂々としていること”が、犬の安心感につながります。
1匹ずつ性格に合わせた歯磨きスタイルを見つける
歯磨きの方法は1つではありません。犬の性格や年齢によって、合うやり方を見つけてあげることが重要です。
性格タイプ | おすすめのやり方 |
---|---|
おっとり系 | 指ガーゼ・シートでゆっくり拭く |
噛みたがり | ガムやロープおもちゃを活用 |
嫌がりが強い | ジェルやスプレーから慣らす |
好奇心旺盛 | 味付きペースト+遊び要素を加える |
「うちの子にはどれが合うか?」を探るのも、習慣化への第一歩です。
ごほうびを“セット”にして楽しい印象をつける
- 歯磨きの後は、必ずごほうびを与える(おやつ・なでる・褒める)
- おやつは小粒にしてカロリーを抑えつつ“毎回あげる”ことがポイント
- ペーストの味そのものをごほうびにする方法もおすすめ
「歯磨き=良いことが起きる」と認識させれば、自主的に口を開けてくれる犬もいるほどです。
毎日できなくても「継続が命」
- 理想は毎日でも、週2〜3回+代替ケアの併用でも十分
- 毎回磨けなくても、「少しずつ慣らす」だけで大きな前進
- やめないこと、続けることが最大の成果
まとめ|「できる範囲で無理なく」が続けるコツ
歯磨きを嫌がらせずに習慣化するために最も大切なのは、飼い主が肩の力を抜いて“続けること”を最優先にする姿勢です。
犬の年齢や性格はもちろん、家庭環境や飼い主の生活リズムによって、正解はひとつではありません。あなたの愛犬にとって“ちょうどいい”やり方を見つけることが、歯磨きを続ける最大のポイントになります。
まとめ|嫌がる犬との歯磨きは「慣れ」と「工夫」で必ず乗り越えられる
犬の歯磨きに悩む飼い主は少なくありません。



毎回嫌がられてうまくできない…。



逃げ回ってしまう…。



怖がらせたくないけど病気も心配…。
――そうしたジレンマを抱えながら、多くの飼い主が試行錯誤しています。
しかし、この記事を通して伝えたいのは以下のことです。
歯磨きを嫌がるのは“当たり前”であり、“乗り越えられる壁”である
- 犬の性格・本能・過去の経験が背景にあるため、嫌がるのは自然な反応
- 無理やり押し付けるのではなく、少しずつ慣れさせることで必ず進展する
「正解はひとつではない」。その子に合った方法がある
- ガーゼ、ペースト、スプレー、ガム――すべて“入り口”として有効
- 歯磨きグッズは犬の個性や成長段階に応じて使い分けるのが最適解
歯磨きは“毎日の義務”ではなく、“一緒に健康を育てる時間”
- 嫌がる日があってもいい。磨けない日も代替ケアでカバーできる
- 歯磨きは飼い主と犬との信頼関係を深める“スキンシップ”でもある
早いうちから始めれば、一生涯の医療リスクを減らせる
- 歯垢は3日で歯石に。放置は歯周病→抜歯→全身疾患へとつながる
- 少しずつでも習慣化できれば、高額治療や健康悪化のリスクを回避可能
最後に
「嫌がるから仕方ない」と諦めるのではなく、「どうすれば受け入れてくれるか?」と考え、寄り添い、工夫する。その積み重ねが、やがて“嫌がらない歯磨き習慣”につながります。
今日からほんの一歩でも、あなたと愛犬の間でその小さな変化を始めてみませんか?