ドッグフードを選ぶときに「AAFCO基準」「FEDIAF基準」という言葉を目にすることがあります。これらは、犬が健康を維持するために必要な栄養量を示す国際的な指標であり、フードの質を判断するうえで非常に重要な基準です。
しかし、その一方で、

AAFCOを満たしていれば絶対に安全!



FEDIAFが一番優れている!
このような誤解も広がりやすく、正しく理解している飼い主は決して多くありません。
AAFCOやFEDIAFは、犬に必要な栄養素の「最低必要量」を示す役割があり、フードの品質や原材料の良し悪しとは直接結びつきません。無添加かどうか、グレインフリーかどうかといった情報とは別軸の“栄養基準”であり、これを正しく理解することで、より確実に安全なフードを選べるようになります。
本記事では、AAFCOとFEDIAFの正しい意味、違い、基準の背景、そして実際のフード選びでどのように活かすべきかを、専門情報にもとづいてわかりやすく解説していきます。
関連記事:犬の健康はフード選びで決まる。本当に安全なドッグフードを見直すべき理由【2025年最新版】
第1章|AAFCOとは何か?その役割と正しい理解


AAFCOという名称は、多くのドッグフードに記載されているため馴染みがありますが、その実態を正しく理解している飼い主は多くありません。
「AAFCO=安全を保証する団体」と誤解されることもありますが、これは正しくありません。まずはAAFCOの本来の役割を正確に把握することが重要です。
AAFCOの正式名称と位置づけ
AAFCOとは 「Association of American Feed Control Officials(米国飼料検査官協会)」 の略称です。
名前の通り、アメリカ各州の飼料規制担当官、獣医師、動物栄養学の専門家などが参加する団体であり、政府機関ではありません。
AAFCOの役割は、ペットフードや家畜飼料に関する“モデル規則”や“栄養基準”を作成し、各州がペットフードを適切に表示・管理できるようガイドラインを提供することです。
つまり、AAFCOは「法律を作る団体」ではなく、“各州がペットフードを規制する際の参考にする基準やモデルルールを提供する協議会” という位置づけです。
AAFCOが作成する栄養基準とは
AAFCOが定めている栄養基準は、犬が健康に生活するために最低限必要とされる栄養量をまとめた指標です。
これは、犬のライフステージ(子犬・成犬・妊娠・授乳)ごとに必要な栄養素の量が異なるため、段階別に基準が設けられています。
各フードメーカーは、「この基準に“計算上”適合している」または「実際の“給餌試験”で健康維持が確認された」のどちらかを満たせば「総合栄養食」として販売できます。
ここで重要なのは、AAFCOの栄養基準は “安全性” や “品質の高さ” を保証するものではない という点です。あくまでも、犬が健康維持に必要な「最低限の栄養量」を示した指標にすぎません。
AAFCOは品質評価をしているわけではない
飼い主が勘違いしやすい点として、AAFCO基準を満たしているフード=品質が高い、というイメージがあります。しかし、AAFCOの基準はあくまで「栄養量に関する条件」であり、
- 原材料の質
- 製造環境の衛生レベル
- 脂質の鮮度
- 原料調達の透明性
といったフードの品質に関わる部分までは評価していません。
つまり、AAFCO基準を満たしていなくても高品質なフードはありますし、逆に基準を満たしていても原材料が粗悪なフードが存在することもあります。
AAFCOが重要視される理由
それでもAAFCOが世界的に利用されているのは、
- 犬に必要な栄養量が科学的根拠にもとづき整理されている
- ライフステージごとに必要量が分かりやすい
- 「総合栄養食」を判断する共通ルールとして機能する
という理由があります。
多くの国でAAFCOが参照されるのは、“犬の健康維持に必要な最低限の栄養基準”として信頼性があるから であり、“安全保証” ではなく、あくまでも 栄養学上の指標 として重要視されています。
第1章まとめ
AAFCOは、アメリカにおけるペットフード表示の基準や栄養量の指標を作る協議会であり、「安全を保証する機関」ではありません。
その基準は、犬が健康に生きるために必要な最低限の栄養を定義したもので、フードの品質そのものを判断する基準ではない点が非常に重要です。
次の章では、ヨーロッパで広く使われる FEDIAF について、AAFCOとの違いを踏まえながら分かりやすく解説していきます。
第2章|FEDIAFとは何か?ヨーロッパ基準との違い


ヨーロッパのドッグフードに記載されることが多い「FEDIAF基準」。
AAFCOと並んで世界的に参照されている栄養基準ですが、その仕組みや役割、AAFCOとの違いを正しく理解しておくことはフード選びにおいて非常に重要です。
FEDIAFの正式名称と役割
FEDIAFとは「European Pet Food Industry Federation(欧州ペットフード工業会連合)」の略称です。
ヨーロッパ全域のペットフードメーカーが加盟し、EU圏内のペットフード製造・安全管理・栄養基準のガイドラインを作成する団体です。
AAFCOと同じく、政府機関ではありません。
しかしEUは加盟国間で食品・飼料の規制が統一されやすいため、FEDIAFのガイドラインは実質的にEU圏内の標準的な基準になっています。
FEDIAFが作成しているのは“栄養ガイドライン”
FEDIAFは犬・猫の栄養要求量を整理しており、
- ライフステージ(子犬/成犬/妊娠・授乳)
- 体重
- 活動量
に応じた栄養基準を公開しています。
ここでもAAFCOと同じく大事なのは、FEDIAFも栄養基準を決めているだけで、安全性や品質ランクを評価しているわけではないという点です。
原材料の良し悪しや製造環境のレベルまでは判断していません。
AAFCOとFEDIAFの違い
両者は目的がほぼ同じですが、違いもいくつかあります。
① 地域による前提条件の違い
AAFCOはアメリカ中心、FEDIAFはヨーロッパ中心。
環境・飼育文化・原材料の調達状況の違いが反映されるため、微妙に基準値が異なる場合があります。
② 栄養値の細かい差
タンパク質・ミネラル・ビタミン類の推奨値は、AAFCOとFEDIAFで完全一致ではありません。
ただし、どちらが「優れている」「正しい」といった性質のものではなく、犬が必要とする栄養素について、どちらも科学的根拠に基づいて作成されている点は共通しています。
③ EU規制の特徴
EUは食品安全や飼料製造のルールが比較的厳しく統一されています。そのため、FEDIAFのガイドラインは実務上“EU圏の標準”のように扱われることがあります。
ただし、栄養基準そのものはAAFCOと同じく「必要な栄養量」を示すものであり、品質のランク付けではありません。
どちらの基準が良いのか?
結論からいえば、AAFCOとFEDIAFのどちらが優れているという話ではありません。双方とも科学的な知見にもとづいて策定されており、犬の健康維持に必要な栄養量が明確に整理されています。
日本国内でも
- アメリカ輸入フード ⇒ AAFCO
- ヨーロッパ輸入フード ⇒ FEDIAF
を参照しているだけの違いであり、どちらも信頼性のあるガイドラインです。
第2章まとめ
FEDIAFは、ヨーロッパ圏で広く採用されているペットフードの栄養指針を作る団体であり、AAFCOと同じく「安全性評価の団体」ではありません。
両者は目的が似ており、違いは地域性と栄養値のわずかな差であり、本質は同じです。
次の 第3章 では、“犬に必要な栄養基準がどのように決まっているのか”を科学的根拠に基づいて詳しく解説していきます。
第3章|犬の栄養基準はどう決まっているのか


AAFCOやFEDIAFが定めている数値は「なぜその量が必要なのか」という根拠があり、犬の生理学・栄養学・長期的な健康維持に基づいている指標です。
この章では、犬の栄養基準がどのような考え方で決まっているのかを分かりやすく整理します。
犬は人とは異なる栄養要求を持つ
犬は雑食寄りの肉食動物であり、人間の「なんとなく健康に良さそう」という感覚とは大きく異なる栄養バランスを必要とします。
そのため、AAFCOやFEDIAFの基準は、犬の生理学にもとづいた科学的根拠の集合体です。たとえば犬は
- 高い動物性たんぱく質
- 必須脂肪酸
- カルシウムとリンの最適比
- ビタミン類(D、E など)
- ミネラル類(亜鉛、銅 など)
を一定量以上摂らなければ、長期的に健康維持ができません。
AAFCOやFEDIAFは「犬が生きるために必要な最低限の量」を定義することで、栄養不足を防ぐ役割を果たしています。
子犬・成犬・シニアで必要量が変わる理由
犬の栄養要求量は、成長段階によって大きく変わります。
子犬(成長期)
- 急速な骨格・筋肉の発達
- 免疫の成熟
- エネルギー消費が多い
これらの理由から、タンパク質・脂質・ミネラル(特にカルシウム)が成犬より高い水準で必要。
成犬(維持期)
- 体重と活動量を維持するための栄養バランス
成長期より要求量は落ち着くが、最低限必要な栄養量は一定。
シニア犬
- 代謝の変化
- 筋肉量減少
- 関節・消化機能の変化
こうした変化に合わせて、過不足のない栄養量が求められる。
AAFCOやFEDIAFはこれらの差を考慮し、ライフステージ別に基準を作成しています。
栄養基準は「最低必要量」である
大切なのは、AAFCO・FEDIAFの基準が「犬が健康維持するための最低基準」であるという点です。
「この基準を満たせば最高のフード」という意味ではありません。栄養基準は
- 成長に必要
- 代謝を維持する
- 欠乏症を防ぐ
といった“最低ライン”であり、品質の良し悪しとは直結しません。
栄養素の基準はどのように決まるのか
AAFCO・FEDIAFの基準値は、以下の科学的根拠に基づいています。
① 動物栄養学の文献
犬の代謝、必要エネルギー量、必須栄養素の研究データ。
② NRC(米国研究評議会)の報告
NRC(National Research Council)がまとめた犬の栄養要求量の科学文献は、AAFCOやFEDIAFの土台となっています。
③ 実際の給餌試験
- 一定期間、特定フードのみで飼育
- 体重、健康状態、血液検査の維持を確認
この試験を通過すると「総合栄養食として適切である」と判断されます。
④ 長期観察データ
特定の栄養素が不足した場合の症状、過剰摂取時のリスクなども参考にされます。
こうした多くの研究データをもとに、「最低限、これだけは摂っておくべき」という数値だけを定義しているのがAAFCO・FEDIAFです。
無添加・グレインフリーより“栄養基準”のほうが重要な理由
フード選びでは、無添加やグレインフリーといった表面情報よりも、栄養基準を満たしているかどうかのほうが圧倒的に重要です。
理由はシンプルで、犬は“栄養不足”をもっとも大きな健康リスクとする動物だから です。どんなに原材料が良くても、
- カルシウムが不足
- ミネラル比が偏る
- タンパク質が足りない
などの状態が続けば、健康維持ができません。
AAFCO・FEDIAFは、この栄養不足を防ぐための“最低限のガイドライン”として非常に価値があります。
第3章まとめ
犬の栄養基準は、科学的知見に基づき
- 必要な栄養素
- ライフステージ別の要求量
- 代謝や成長の特性
をもとに決められています。
そしてAAFCO・FEDIAFの基準は、犬が健康に生きるための“最低限の必要量”を定めた栄養指標 であり、品質そのものを評価する仕組みではありません。
第4章|総合栄養食とは何か?間違いやすいポイント


ドッグフードの袋に書かれている「総合栄養食」という言葉は、飼い主がもっとも誤解しやすい表記のひとつです。
AAFCOやFEDIAFの基準と深く関係しますが、その意味を正しく理解できている人は決して多くありません。
この章では、「総合栄養食」の正確な意味と、多くの飼い主が勘違いしやすい点を整理します。
総合栄養食=「必要な栄養の最低基準を満たしているフード」
総合栄養食とは、AAFCOまたはFEDIAFの栄養基準に基づき、犬がそのフードと水だけで健康を維持できる栄養バランスを満たしていると認められたフードのことを指します。
つまり、総合栄養食という表記は、「このフードだけで日常の栄養が満たせる」という意味です。
ただし、ここで重要なのは、“最高品質である”という意味ではないという点です。
総合栄養食は“栄養基準を満たしているフード”であって、
- 原材料の質
- 脂質の鮮度
- 製造環境
- 安全性
を保証する表現ではありません。
表示できる条件は「計算」または「給餌試験」のどちらか
総合栄養食と記載するためには、以下のいずれかを満たす必要があります。
① 計算(フォーミュレーション)
フードの栄養成分値が、AAFCOまたはFEDIAFの数値以上になっていることを、理論計算で確認する方法 です。
この方法は製造負担が比較的少なく、多くのフードに採用されています。
② 給餌試験(フィーディングテスト)
一定期間、対象の犬にそのフードだけを給餌し、
- 体重の維持
- 健康状態
- 血液検査
に問題がないことを確認する方法。こちらの方が“実証性”が高いのは事実ですが、コストと時間がかかるため、すべてのフードが実施しているわけではありません。
ここで重要なのは、どちらの方法でも「総合栄養食」と表示できるという点です。
“給餌試験のほうが絶対に優れている”というわけではなく、計算による基準適合も正式なルールです。
「一般食」「副食」「補完食」との決定的な違い
ドッグフードには総合栄養食以外にもいくつかの分類があります。
一般食
- 嗜好性を高めた食事
- ビタミン・ミネラルが不足しやすい
- 主食には適さない
ウェットフードやトッピング商品に多い分類。
副食(おかずタイプ)
総合栄養食の栄養を補う目的の食事。こちらも主食にはできません。
補完食
特定の栄養素を強化したもの。単体では栄養が偏るため、あくまで補助的役割。
これらはAAFCO/FEDIAF基準を満たしていないため、主食にすると栄養不足・過不足が起きる可能性が高いことが最も重要な違いです。
総合栄養食=良いフードではない理由
総合栄養食はあくまで「健康維持ができる最低必要量を満たしている」だけの基準です。
したがって、総合栄養食であっても
- 粗悪な原材料
- 酸化が進みやすい油脂
- 製造環境の問題
- 栄養素の質の差
などの問題がある商品も存在します。
逆に、高品質な原材料を使用しながら、あえて「総合栄養食」と表記していない製品もあります。(これは栄養基準を満たしていないのではなく、ペットの食事設計が総合栄養食と異なるという理由の場合もあります)
総合栄養食でない=悪いフードでもない
一般食・補完食が悪い、という意味ではありません。ウェットフードやトッピングは食いつきを上げるための大事な役割がありますし、水分補給に役立つ場合もあります。
問題なのは、一般食や補完食を“主食”として長期に与えてしまうことです。
これさえ避ければ、一般食も十分有効に使えます。
第4章まとめ
総合栄養食は、AAFCO・FEDIAFの栄養基準に適合していることを示すもので、犬が健康を維持するための最低限の栄養を満たしたフードを意味します。しかし、
- 品質の高さ
- 安全性
- 原材料の優良さ
これらを保証するものではありません。この正しい理解があると、フードのラベルを見るときに“本質”が分かるようになります。
第5章|AAFCO・FEDIAF基準は“絶対ではない”理由


AAFCOやFEDIAFの栄養基準は、ドッグフードを選ぶ上で非常に重要な指標ですが、これだけで“完全に安全”“絶対に正しい”と判断するのは誤りです。
基準には大きな価値がありますが、同時に“限界”もあるため、その正しい立ち位置を理解することが重要です。
① 栄養基準は「最低ライン」であり、最高品質を保証しない
AAFCO・FEDIAFが定めているのは、犬が健康を維持するために最低限必要な栄養量 です。
つまり、「この基準を満たしたから最高のフード」という意味ではありません。たとえば、
- タンパク質が最低量ギリギリ
- 脂質の質が低い
- ミネラルの比率は基準内だが理想的でない
こうしたフードでも“基準を満たしている”と表示できます。
栄養学的には基準内でも、犬の体質によってはより高品質な原材料を必要とするケースもあります。基準はあくまで“健康維持に支障が出ない最低ライン”でしかありません。
② 個体差が大きいため、基準通りでも合わない犬がいる
栄養基準は、多くの犬にとって適切な目安ですが、全ての犬に最適というわけではありません。
- 活動量
- 体質
- 消化能力
- 犬種特性
- アレルギーの有無
などの違いで、必要量には幅があります。例えば、同じ総合栄養食でも
- 脂質が多すぎて下痢しやすい犬
- タンパク質量が足りず筋肉が落ちやすい犬
- カルシウム比率に敏感な大型犬
など、個体によって“合う・合わない”は必ず発生します。
AAFCO・FEDIAFはあくまでも“基準値の目安”であり、食事設計の個別最適まではカバーしていません。
③ 原材料の質までは評価しない
AAFCO・FEDIAFは栄養量の基準を定めているだけで、原材料の質に関する基準は持っていません。
同じタンパク質20%でも、
- 高品質な生肉
- 粗悪な肉副産物
- 植物性タンパクで代替
など、原材料の質はまったく異なります。
栄養基準を満たしていても、
- 脂質が酸化しやすい
- 原料の産地が不透明
- 人工香料に依存した嗜好性アップ
といった問題は基準からは判断できません。そのため、AAFCOを満たしている=高品質ではないことに注意が必要です。
④ 栄養素の“質”までは数値にあらわれない
栄養基準は「量」に関する基準です。しかし実際には、栄養素の“質”は犬の健康に大きく影響します。
例えば同じ脂質でも「酸化した脂」と「新鮮な動物性脂」では健康への影響がまったく異なります。
同じミネラルでも「吸収の良い形態(キレートなど)」や「吸収率の低い形態」がありますが、AAFCO/FEDIAFの基準は「含有量」だけを見ているため、こうした質の差は判断できません。
⑤ 栄養基準はアップデートされ続けるもの
AAFCOもFEDIAFも、新しい栄養研究結果に応じて基準が改訂されることがあります。
これは科学的に正しい姿勢ですが、同時に「現時点の基準が絶対ではない」という裏の意味でもあります。
研究が進むにつれ、
- 必須脂肪酸の比率
- ミネラルの最適量
- 消化性に関するデータ
などは変わる可能性があります。
⑥ 総合栄養食でも“製造環境の差”が健康に影響することがある
AAFCO・FEDIAFは栄養量の基準であり、衛生管理・原料保管・製造工程・品質管理体制については評価していません。
工場のレベルや管理体制はメーカーによって大きく異なります。つまり、
- 基準を満たしているが品質管理が甘いフード
- 基準を満たしたうえで厳格な管理を行うフード
両方が市場に存在します。飼い主が気を付けるべきは、“基準を満たしているか”だけでなく“どう作られているか”です。
第5章まとめ
AAFCO・FEDIAFの栄養基準は、犬の健康維持のために非常に重要です。しかし、
- 最低基準であり最高品質保証ではない
- 個体差には対応できない
- 原材料や製造環境の質は評価しない
- 栄養の“量”は見ても“質”は判断できない
などの限界があります。栄養基準は“正しく活用すれば強力な判断軸”ですが、これだけでフードの良し悪しは決まりません。
関連記事:知らずに選んでいませんか?「とりあえず」ドッグフードが愛犬に与える本当の影響
第6章|栄養基準を踏まえた正しいフードの選び方


AAFCO・FEDIAFの基準を理解すると、ドッグフード選びで何を重視すべきかが明確になります。無添加・グレインフリー・国産などの表面上の情報に惑わされず、犬が必要とする栄養と安全性の“本質”に基づいて選ぶことができるようになります。
この章では、実際にフードを選ぶ際の具体的なポイントを、科学的な根拠にもとづいてわかりやすく整理します。
関連記事:グレインフリーとグルテンフリーの違いは?ペットフード選びで失敗しないための完全ガイド
① まずは「総合栄養食」であることが大前提
最初に確認すべきは、そのフードが「総合栄養食」として販売されているかどうかです。
総合栄養食であれば、AAFCOまたはFEDIAFの基準を満たしており、「そのフード+水」で日常的な栄養バランスが維持できるよう設計されています。
ただし、先に述べたようにこれはあくまで“最低基準”なので、「総合栄養食だから高品質」という意味ではありません。
一般食(トッピングやおかずタイプ)を主食として与えることだけは避ける必要があります。
② 主原料(たんぱく質源)の質を確認する
栄養基準を満たすことは前提として、次に大切なのは “どのようなたんぱく質が使われているか” です。
犬の健康に大きく関わるポイントは、
- 肉や魚が主原料か
- どの部位を使っているのか
- 過度に植物性タンパクに頼っていないか
といった部分です。
原材料の最初の数項目を丁寧に確認することで、そのフードが“犬本来の食性に合った内容かどうか”が分かります。
③ 脂質の新鮮さ・酸化対策がしっかりしているか
AAFCO・FEDIAFの基準は脂質の量を定めていますが、犬にとっては “油の質と鮮度” が非常に重要です。
脂質は時間の経過や空気で酸化し、
- においの変化
- 消化不良
- 軟便
- 皮膚トラブル
などを引き起こす可能性があります。確認すべきは、
- 油脂の種類(特に魚油は酸化が早い)
- 天然由来の酸化防止成分(ビタミンE、ローズマリー抽出物など)の使用
- アルミパッケージ、窒素充填などの酸化対策
です。栄養基準を満たしていても、脂質の管理が悪いフードは品質が低下しやすくなります。
④ AAFCO・FEDIAFを“満たしたうえで”原材料や製造環境を見る
多くの飼い主が「無添加=良い」「グレインフリー=良い」というイメージを持ちますが、実際には栄養基準を満たしつつ、
- 原材料の質
- 脂質の管理
- 製造工程の衛生管理
- 原材供給の透明性
- 輸送・保管体制
がしっかりしているかどうかのほうが圧倒的に重要です。
正しい選び方は、(1) 栄養基準を満たしているか → (2) その上で品質を評価するという順番です。
関連記事:無添加ドッグフードの誤解と真実|“無添加=安全”ではない理由と、正しい選び方
⑤ ライフステージに合っているか
AAFCO・FEDIAFでは、
- 成長期(子犬)
- 維持期(成犬)
- 妊娠・授乳期
など、ライフステージ別に必要量が違います。子犬に成犬用、成犬に子犬用を与えると、過剰栄養や栄養不足が起きる可能性があります。必ず、愛犬のライフステージに合った製品を選ぶことが基本です。
⑥ 個体差を必ず考慮する(基準だけでは判断できない)
AAFCO・FEDIAFの基準はあくまで“多くの犬に当てはまる平均値”です。犬には個体差があり、必要量には微妙な違いがあります。例えば、
- 肥満気味の犬は脂質控えめが望ましい
- 活動量の多い犬はエネルギー量が必要
- 胃腸が弱い犬は消化性の高い原材料が合う
- アレルギー体質の犬は特定タンパクを避ける必要がある
といったケースです。
基準を満たしていても合わないことはあるため、フードを替えるときの犬の変化(便、毛並み、体重)を必ず観察することが重要です。
第6章まとめ
AAFCOやFEDIAFの栄養基準は、犬が最低限必要とする栄養量を示す大切な指標であり、フード選びの出発点になります。
しかしそれだけでフードの価値は判断できません。実際に選ぶ際には、
- 総合栄養食かどうか
- 主原料の質
- 脂質の鮮度と酸化対策
- 製造環境や原材料の透明性
- ライフステージとの適合
- 個体差への対応
といった視点を総合的に見ることが欠かせません。
まとめ・総括|AAFCO・FEDIAFを理解すると、フード選びの軸ができる


AAFCOやFEDIAFという言葉は、ドッグフードの裏面でよく見かけるものの、その本質を正しく理解している飼い主は決して多くありません。しかし、これらの基準を正しく知ることで、表面的な宣伝文句に流されない“確かなフード選び”ができるようになります。
AAFCO・FEDIAFの基準は、犬が健康を維持するために必要な最低限の栄養量を科学的根拠にもとづいて示したものです。これらは「安全性」や「品質」を保証するものではなく、あくまでも「栄養の土台」を定める指標です。
栄養基準は出発点でありゴールではない
大切なのは、栄養基準を満たしていることは最低条件に過ぎないという点です。そのうえで、
- 原材料の質
- 脂質の鮮度と酸化管理
- 製造工場の品質管理
- 情報開示の透明性
- 犬の体質・年齢・活動量
などを総合的に見ることが、最も確実なフード選びにつながります。
AAFCOやFEDIAFを理解すると、「無添加だから良い」「グレインフリーだから安全」といった表面的な判断から卒業し、犬の体に本当に必要なものは何か?という本質的な視点でフードを選べるようになります。
基準の理解は、犬の健康を守る大きな武器
AAFCO・FEDIAFは完璧ではありませんし、絶対的な正解でもありません。しかし、科学的根拠にもとづいた世界的な共通指標であり、フード選びの土台として大きな役割を果たします。この基準を知っているかどうかで、
- ラベルの読み方
- 原材料表示の見方
- 危険な偏りの判別
- 犬の体質との相性判断
などが大きく変わります。
知識の有無が、そのまま愛犬の健康寿命に影響すると言っても過言ではありません。
最終的に重要なのは“愛犬に合うかどうか”
基準を満たし、原材料や製造管理が優れたフードであっても、すべての犬に合うとは限りません。愛犬の
- 便の状態
- 皮膚や被毛の状態
- 体重の変化
- 活動量
などを観察し、合うフードを見つけていくことが欠かせません。
AAFCO・FEDIAFの理解は、その過程を強力に支えてくれる“判断軸”になります。









