愛犬の爪切りはどうしていますか?どこまで切ればいいか分からない方や、嫌がるからなかなか爪切りが出来ないという方も多いでしょう。
もし切りすぎたら血も出るので怖くて自分ではできずに、サロンや病院で切ってもらっている方も多いかと思います。しかし爪切りだけの為に頻繁にサロンに連れて行くのにも躊躇する事もあるかと思います。
今回は正しい犬の爪の切り方から、嫌がる犬に対しても爪を切る方法、怖くて爪切りがしにくい人の為にもわかりやすくかみ砕いて説明したいと思います。
犬の爪切りはなぜ必要か
犬も人間や猫と同じように爪切りが必要です。そして猫は家の中の様々な場所で爪研ぎをしますが犬は爪研ぎ行為を一切しません。
ある程度散歩時に爪は摩擦で研がれますが、散歩をしない犬や散歩をする犬でも爪は伸びますし爪切りも必要になります。
頻繁に行う必要はありませんが、爪切りをしない事で様々な問題点も浮上します。
爪切りを行わないと血管と神経が伸びてしまう
爪切りを怠っていると、爪の中にある血管と神経も爪と同じく伸びてしまいます。
爪の中の血管と神経が伸びてしまうと、爪切りをする際に神経と血管も切る事になりますので、出血もしますし犬も痛い思いをしなければなりません。
図で詳しくご説明しましょう。
通常犬の爪はこの様になっており、爪の中に神経と血管が通っています。本来であれば神経と血管の通っている手前までをカットすればいいのですが、爪が伸び切ってしまうと以下のような状況になってしまいます。
このように爪と同様血管と神経も伸びてしまい、犬にとって最適な部分まで切れなくなってしまいます。しかし爪が伸びるのと同じように血管も伸びるのですが、一定の長さまでしか血管は伸びません。
ギリギリまでカットしたとしても、生活をしている中で爪は摩擦で多少は削れます。すると神経や血管も地面に付いてしまう事になり部屋の中に血痕が付きます。通常犬は痛みに強いですが、神経も擦れている為、犬にとっても痛みが伴います。
最悪の場合手術しなければならない
爪切りを長い間放置していると、爪は神経と血管と共にどんどん伸びていきます。そして爪は人間のようにまっすぐ伸びてはくれず、どんどん巻いて伸びていきます。
この図のように、ここまで伸び切ってしまうと歩く事にも支障が出ます。歩き方がおかしくなり関節に負担をかけてしまいます。
そして最も恐れなければならない点は「爪が折れる事」です。長い爪になっているので生活にも支障をきたし、色んな所に爪が引っかかってしまいます。人間であれば庇う事ができますが、犬はそんなことは出来ません。爪が引っかかってしまうと、イレギュラーな事が起こる事によって慌てます。
慌てる事により爪が折れてしまうと大変です。中に血管と神経が通っていますので思っている以上に血が出て、愛犬も「ギャイン」と声を上げて痛がります。こうなってしまうと病院へ連れて行かなければなりません。
犬の爪切りはどれを使えばいい?
犬の爪切りは2種類のタイプがあります。取っ手を握る事でギロチンのようになる「ギロチンタイプ」とハサミのような形状になっている「ニッパータイプ」です。
使いやすい方を使えばいいとは思いますが、私たちトリマーや獣医師さんの大半は「ギロチンタイプ」を使用して爪切りをします。これにはきちんと理由があります。
ギロチンタイプは爪を無理なく落とす事ができる
猫の爪は犬の爪と比べて細く切りやすいので「ニッパータイプ」でもいいですが、犬の爪を切る際は「ギロチンタイプ」を推奨しています。
ホームセンターやドラッグストアなどにも売っていますが、私達トリマーも使用しているおススメの爪切りはこちらです。
プロも使用しているものですが、値段も安く使いやすいのでおススメです。
犬の爪切りの方法と簡単なやり方
それでは犬の爪切りをやったことが無いという方向けに正しい爪切りの方法を解説していきます。
- 爪切り(ギロチンタイプ)
- 爪ヤスリ
- 止血剤
- 使い古したタオルなど
正しい犬の爪の切り方
まずは図のように、神経の通っている血管部分を避けて真っ直ぐに爪を切ります。
怖がって力を入れる事ができずにゆっくりすると、犬の爪の根元部分に変な力が入り犬は嫌がります。血管部分を避けているのであれば思い切って「バチン」と切ってしまいましょう。
犬には「黒爪」と「白爪」または両方が合わさったような色の爪があります。白爪の場合は血管部分が良く見えますが、黒爪の場合は血管の部分が分かり辛いです。黒爪の場合は少しずつカットしていく事を推奨します。
続いて図のように両サイドの角を落とします。
両サイドも落とし終わったらヤスリがけを行います。ヤスリは私達も使用しているこちらをおススメしています。
ヤスリは人間の爪をヤスリがけするように満遍なくバリを取るイメージで行ってください
もしも出血してしまった場合
誤って神経の通っている部分を切ってしまった場合は、出血もしますし犬も「ギャイン」などの声を上げます。出血してしまった場合は、使い古したタオルなど(洗濯済の清潔なもの)を使用して血を押さえて下さい。
止血剤を併用して使用すると、血が止まるのでおススメしています。
もしも過度に痛がったりしている場合は動物病院に連れて行ってください。
犬の爪切りについてよくある質問と答え
私たちトリマーも日々お客様を迎える時に「犬の爪切りって自分でできる?」との質問をよく受けます。トリマーも見習いの内は戸惑いますし、失敗をする時もあります。
それと同じように最初は躊躇するかと思いますが、慣れてしまうととても簡単です。それでは注意点と、よく聞く質問を解説していきましょう。
大きい犬で爪も太い。素人でも爪切りが可能なのか。
ゴールデンやラブラドールなどの大型犬は爪も太く切りにくいように見えます。しかし「ギロチンタイプ」の爪切りを使用すれば素人でも簡単に爪を切る事が可能です。
前述しましたが、一気に切ってしまわないと爪の根元に違和感があり犬も嫌がります。神経部分を避けているのであれば一気に切ってしまいましょう。
ヤスリがけはなぜ必要なのか
ヤスリが必要な理由は、犬が飛び付いたりするときにあなたが怪我をするからです。あとは犬自身も後ろ足を使って体を掻きます。その時にヤスリがけをしていなければ、体に傷が付きます。
爪を切る事ができたのであれば、ヤスリがけは簡単です。必ず行うようにしてください。
黒爪なので神経部分(血管)が見えない
白爪の場合は血管が見えるので簡単ですが、黒爪は血管の確認が出来ません。
黒爪の犬の場合は、少しずつ爪を切っていくしかありません。確認方法は切った「切断面」です。
切った断面の中心を確認してください。真ん中にツヤツヤした黒い芯のようなものが確認できればそれ以上切るのはやめましょう。血管が近い証拠です。
止血剤って何?
動物病院やトリミングサロンでも使用されています。ミスで爪を切りすぎるという事はありませんが、長らく爪切りをしていなかった場合はどうしても爪を切った際に血管まで達する事があります。
そんな時に使用するのが止血剤です。簡単に言えば「血管を焼いて止める」ものになります。ちょっと恐ろしい表現になってしまいますが、実際にすぐ血を止める事が可能なので、爪切り時には準備しておいてください。
犬の爪切りが怖い場合はサロンに任せましょう
色々ご説明させて頂きましたが、それでも怖くてできないという方も多いです。爪切りだけでサロンに連れて行くのはちょっと…。と思う方もいるかと思いますが、ご安心ください。爪切りのみだと予約も必要なく10分程度で切ってもらえます。
場所によって値段は様々ですが、ほとんどのサロンは1000円以下ですぐに爪を切ってくれるでしょう。安心してご利用ください。
病院でも切ってはもらえますが、時間帯によっては混雑している可能性が高いです。待てる人は病院でもしてくれますので気軽に連れて行ってください。
【監修者】
ペットトリマー 井川陽子さん
これまでゴールデン・レトリーバーやビーグル・コーギーなど中型・大型犬を何頭も飼育してきた経験がある愛犬家。犬を第一に考え、飼い主とペットがより良い生活を実現するためにペットトリマーとして勤務している。犬の種類や病気についても日々研究している。夢は恵まれない犬が幸せに暮らせる広大な施設経営。
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