プラシュスキー・クリサジークは「世界最小級の犬種」として語られることが多く、超小型で愛玩性の高い見た目から、チワワやトイ系犬種と同列に扱われがちです。
しかし実際には、単なる抱き犬ではなく、明確な役割と歴史をもつ作業性のある犬種です。見た目の可愛らしさから想像される性格と、実際に共に暮らしたときの気質や要求には少なからずギャップがあり、その点を理解せずに迎えると「思っていたのと違う」と感じる可能性があります。
この記事では、原産や由来といった基礎情報から、日本で飼育する際に現実的に知っておくべき特徴、注意点までを体系的に整理し、プラシュスキー・クリサジークという犬種を正しく理解するための情報を総合的に解説します。
第1章|プラシュスキー・クリサジークの基本的な特徴

プラシュスキー・クリサジークは、その小さな体に反して明確な歴史的背景と実用性を備えた犬種です。サイズや寿命といった基本データだけでなく、どのような目的で成立し、どのような環境で人と共存してきたかを理解することが、この犬種の本質を把握する第一歩になります。
原産と歴史
プラシュスキー・クリサジークの原産国はチェコ(旧ボヘミア地方)です。名称はチェコ語で「プラハのネズミ捕り」を意味し、その名の通り、宮廷や貴族の館でネズミを駆除する目的で飼育されてきました。中世ヨーロッパでは、ペストなどの疫病対策としてネズミの駆除が重要視されており、小型で俊敏、狭い空間でも動ける犬は実用価値が高い存在でした。
特にプラシュスキー・クリサジークは、王侯貴族の居住空間に入り込み、家具の隙間や床下を自在に動き回れる点が評価され、単なる害獣駆除犬ではなく「宮廷犬」として扱われるようになります。一時期は外交の贈答品としても用いられ、ボヘミア王国の権威を象徴する犬種のひとつでした。
しかし近代以降、小型犬の嗜好変化や都市構造の変化により個体数は激減し、20世紀には絶滅寸前まで追い込まれます。その後、チェコ国内の愛好家による計画的な繁殖と保存活動によって再興され、現在に至ります。歴史的には非常に古い犬種でありながら、世界的にはまだ希少性の高い存在である点が特徴です。
体格とサイズ
プラシュスキー・クリサジークは超小型犬に分類され、体高はおおよそ20〜23cm、体重は2〜3kg前後が一般的な目安とされています。骨格は華奢に見えますが、極端に弱いわけではなく、筋肉は引き締まっており、動きは機敏です。
チワワと比較されることが多いものの、プラシュスキー・クリサジークは胴がやや長く、脚は細くもしっかりと地面を捉える構造をしています。抱き上げると軽さに驚く一方で、地面を走らせると「小さいが運動能力が高い犬」であることが実感される体型です。
日本の住環境においてもサイズ的な制約は少ないですが、骨が細いため高所からの落下や踏みつけ事故には特に注意が必要です。
被毛の特徴
被毛は非常に短く、スムースコートのみが認められています。シングルコートで下毛がほとんどないため、換毛期による大量の抜け毛は比較的少ない部類に入ります。ただし、被毛が短い分、皮膚は外部刺激の影響を受けやすく、寒さや乾燥には弱い傾向があります。
触感はなめらかで光沢があり、日常的なケアとしてはブラッシングよりも、皮膚状態の観察や保湿、温度管理が重要になります。冬場の日本では防寒対策がほぼ必須と考えた方が現実的です。
毛色のバリエーション
プラシュスキー・クリサジークで代表的とされる毛色はブラック&タンです。これは歴史的にも最も一般的で、犬種のイメージを形成してきたカラーといえます。
そのほか、ブラウン&タン、ブルー&タンなどが見られる場合もありますが、いずれも「タンポイント(眉、胸、脚などの明確な差し色)」が入る配色が基本です。単色や極端なカラーは犬種標準から外れる場合があり、血統や繁殖背景によって個体差が生じます。
見た目の好みだけで毛色を選ぶのではなく、健全な繁殖背景を重視することが重要です。
寿命
平均寿命は12〜14歳程度とされ、小型犬としては標準的な範囲に収まります。適切な体重管理と生活環境、定期的な健康チェックを行えば、これ以上の寿命を全うする個体も珍しくありません。
ただし、超小型犬であるがゆえに体調変化が急激に表れることがあり、日々の観察と早期対応が寿命に大きく影響します。
プラシュスキー・クリサジークの基本データ一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | チェコ(ボヘミア地方) |
| 歴史的役割 | 宮廷でのネズミ捕り犬 |
| 体高 | 約20〜23cm |
| 体重 | 約2〜3kg |
| 被毛 | 短毛・シングルコート |
| 代表的毛色 | ブラック&タン |
| 平均寿命 | 約12〜14歳 |
- 世界最小級のサイズだが、成立背景は明確な実用目的(ネズミ捕り)に基づいている
- 見た目に反して運動能力が高く、活動性のある体構造をしている
- 骨格が非常に細いため、落下や踏みつけなど家庭内事故のリスク管理が必須
- 短毛・シングルコートのため、寒さと皮膚コンディションへの配慮が重要
- 毛色はブラック&タンが基本で、カラーより繁殖背景の健全性を重視すべき犬種
第2章|プラシュスキー・クリサジークの性格

プラシュスキー・クリサジークの性格は、超小型犬という見た目から想像されがちな「おとなしい愛玩犬像」とは必ずしも一致しません。この犬種は、歴史的に役割を与えられてきた背景を持ち、精神的にも行動面でも一定の自立性と判断力を備えています。性格を正しく理解しないまま迎えると、扱いにくさを感じる要因になるため、特徴を分解して把握することが重要です。
基本的な気質
プラシュスキー・クリサジークは、警戒心と好奇心を併せ持つ気質が基本です。環境の変化や物音に対して敏感に反応しやすく、周囲をよく観察する傾向があります。一方で、過度に神経質というわけではなく、慣れた環境や信頼関係が構築された相手に対しては落ち着いた行動を見せます。
歴史的にネズミ捕りとして用いられていたことから、対象を素早く察知し、即座に行動へ移す判断力があります。このため、遊びや散歩中に動くものへ反応しやすい一面があり、これを「落ち着きがない」と誤解されることがありますが、実際には犬種特性に基づく自然な反応です。
自立心/依存傾向
この犬種は、超小型犬の中では比較的自立心が強い部類に入ります。常に人の指示を待つタイプではなく、自分で状況を判断して行動する場面が見られます。そのため、過度に構いすぎる飼育スタイルでは、逆にストレスを感じる個体もいます。
一方で、特定の飼い主との結びつきは強く、信頼関係が築かれるとそばにいることを好む傾向があります。依存一辺倒ではなく、「距離を保ちながら関係を築く」タイプと捉える方が実態に近いでしょう。留守番が全く苦手というわけではありませんが、生活リズムが不規則な家庭では不安定になりやすい点には注意が必要です。
忠誠心・人との距離感
忠誠心は高いものの、従順さだけを前面に出す犬種ではありません。命令に対して即座に反応しない場合、それは反抗ではなく「状況判断」の結果であることが多く見られます。この点を理解せずに強制的なしつけを行うと、信頼関係が崩れる原因になります。
人との距離感は比較的繊細で、乱暴な扱いや過度な干渉を嫌います。小さな体格ゆえ、抱っこや接触が多くなりがちですが、犬側の意思を無視した関わり方はストレスを蓄積させる要因となります。
吠えやすさ・警戒心
プラシュスキー・クリサジークは警戒心が強めで、来客や物音に対して吠える傾向があります。ただし、無差別に吠え続けるタイプではなく、理由のある警戒吠えが中心です。
吠えやすさは環境要因や社会化の度合いによって大きく左右されます。子犬期から人や音、生活環境に慣らしていれば、過剰な吠えに発展するケースは抑えられます。一方、静かな室内飼育のみで刺激が極端に少ない場合、警戒行動が強調されやすくなります。
他犬・子どもとの相性
他犬との相性は個体差が大きく、相手のサイズや性格に強く影響されます。自分より大きな犬に対しても物怖じしない個体がいる一方、過度な接触を嫌う個体もいます。無理な同居やドッグランでの放置はトラブルの原因になりやすいため、管理は必須です。
子どもとの相性については、犬側よりも子どもの接し方が大きく影響します。急な動きや大きな声、乱暴な接触がある環境ではストレスを感じやすく、結果として防衛反応を示す可能性があります。小さな子どもがいる家庭では、大人が必ず関与する形での関係構築が前提になります。
プラシュスキー・クリサジークの性格傾向
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 基本気質 | 警戒心と好奇心が強い |
| 自立心 | 超小型犬としては高め |
| 忠誠心 | 高いが従順一辺倒ではない |
| 吠え | 理由のある警戒吠えが中心 |
| 対人・対犬 | 距離感を尊重する必要あり |
- 見た目に反して判断力と行動力のある気質を持つ
- 自立心があり、過度な構いすぎはストレスになりやすい
- 忠誠心は高いが、強制的なしつけには向かない
- 警戒吠えが出やすく、社会化不足が問題行動に直結する
- 子どもや他犬との関係は管理前提で考える必要がある
第3章|プラシュスキー・クリサジークの飼いやすさ・向いている家庭

プラシュスキー・クリサジークは超小型犬という外見から「誰にでも飼いやすい犬」と誤解されやすい犬種です。しかし実際には、サイズの小ささと引き換えに、管理面・理解面での要求水準は決して低くありません。ここでは飼いやすさを感覚的に判断せず、どのような家庭で現実的に成立しやすいかを明確に整理します。
飼いやすい点
体が非常に小さいため、居住スペースに関する制約は少なく、日本の一般的な集合住宅でも飼育は可能です。運動量も大型犬ほどは必要なく、天候や体調に配慮しながら散歩量を調整できる点は扱いやすい要素といえます。
また、被毛が短くトリミングを必要としないため、定期的なカット費用がかからない点は、維持管理の面でのメリットです。抜け毛も比較的少なく、日常的な掃除負担は軽めです。
注意点
最大の注意点は「小ささ=手がかからない」という認識が通用しない点です。骨格が非常に繊細なため、落下事故や踏みつけ、家具との接触といった家庭内事故のリスク管理が必須になります。
また、警戒心と自立心を併せ持つため、しつけを怠ると吠えやすさや扱いにくさが顕在化します。小型犬だからと甘やかす飼育は、結果的に問題行動を固定化させやすい点に注意が必要です。
向いている家庭
生活リズムが比較的安定しており、犬との関係構築に時間を割ける家庭が向いています。体は小さくても、精神的な刺激や人との関わりは必要な犬種であり、完全な放置飼育には向きません。
また、犬の行動や心理を冷静に観察し、感情論ではなく管理として接することができる飼い主との相性が良好です。静かな環境で、過度な来客や刺激が少ない家庭ほど落ち着いて暮らしやすい傾向があります。
向いていない可能性がある家庭
小さな子どもが常に自由に犬へ接触できる環境では、犬側に強いストレスがかかる可能性があります。悪意がなくても、急な動きや声、抱き上げ行為が事故や防衛反応につながることがあります。
また、留守時間が極端に長く、生活リズムが日々変動する家庭では、不安定になりやすい傾向があります。サイズの小ささだけで多頭飼育を安易に考える場合も、管理負担が増す点には注意が必要です。
初心者適性
犬の飼育経験が全くない初心者にとっては、やや難易度のある犬種といえます。理由は、体の脆弱さと性格面の繊細さが同時に存在するためです。
一方で、情報収集を怠らず、犬種特性を理解したうえで迎える初心者であれば、飼育が不可能というわけではありません。「初心者向け」という言葉だけで判断せず、管理意識の高さが求められる犬種です。
飼いやすさと家庭適性の整理
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| サイズ管理 | 住環境面では飼いやすい |
| 日常ケア | トリミング不要だが管理意識必須 |
| 事故リスク | 非常に高く、対策が前提 |
| 家庭適性 | 落ち着いた環境向き |
| 初心者適性 | 理解があれば可、安易は不可 |
- 超小型だが管理難易度は決して低くない
- 事故防止を前提にした生活環境づくりが必須
- 甘やかし飼育は問題行動につながりやすい
- 落ち着いた家庭環境との相性が良い
- 初心者向けではなく、理解力と観察力が求められる
第4章|プラシュスキー・クリサジークの飼い方と日常ケア

プラシュスキー・クリサジークの日常管理で重要なのは「小型犬向けの一般論」をそのまま当てはめないことです。運動量、被毛、生活管理のすべてにおいて、この犬種特有の体格と気質を前提に考える必要があります。過不足のないケアを行うことで、問題行動や体調不良の予防につながります。
運動量と散歩
体は小さいものの、運動欲求は決して低くありません。ネズミ捕りとして培われた俊敏性と集中力があり、短時間でも質の高い運動が求められます。散歩は1日1〜2回、各20分前後を目安にし、単調にならないようコースや刺激を変えることが望ましいです。
ただし、長距離の連続歩行や過度な段差、アスファルトの熱には注意が必要です。関節や肉球への負担が蓄積しやすいため、無理に歩かせるよりも、様子を見ながら調整する姿勢が重要になります。室内での軽い遊びや知育要素を含んだ運動も有効です。
本能行動への配慮
この犬種は作業性をルーツにもつため、動くものへの反応や探索行動が自然に現れます。これを抑え込むのではなく、安全な形で発散させる工夫が必要です。
例えば、ノーズワークや簡単な探索遊びを取り入れることで、精神的な充足感を得やすくなります。何も刺激がない状態が続くと、警戒吠えや落ち着きのなさとして表出することがあるため、日常的に「考える時間」を用意することが重要です。
被毛ケア/トリミング
被毛は短毛でトリミングの必要はありませんが、ケアが不要という意味ではありません。皮膚が直接外気に触れるため、乾燥や軽度の刺激でもトラブルが起こりやすい傾向があります。
ブラッシングは週に数回、皮膚の状態を確認する目的で行う程度で十分ですが、シャンプーは頻繁に行いすぎないことが大切です。洗いすぎは皮膚バリアの低下につながるため、汚れの程度を見ながら間隔を調整します。寒い季節には防寒着の使用も現実的な選択肢です。
食事管理と体重
体重が軽いため、わずかな増減でも体への影響が大きくなります。高カロリーな食事や間食が続くと、肥満だけでなく関節や内臓への負担が急速に進行する可能性があります。
食事量は体重と活動量を基準に細かく調整し、「少なめを基本」に考える方が安全です。食欲不振や急な食事量の変化も見逃さず、日々の体重チェックを習慣化することで、体調変化の早期発見につながります。
留守番と生活リズム
プラシュスキー・クリサジークは極端な分離不安を起こしやすい犬種ではありませんが、生活リズムが乱れると精神的に不安定になりやすい傾向があります。留守番は可能ですが、時間や環境を一定に保つことが重要です。
長時間の留守番が常態化する場合は、環境音や安心できる居場所を用意し、帰宅後に十分なコミュニケーションを取ることが前提になります。生活の中でメリハリをつけることが、安定した行動につながります。
飼い方と日常ケアの要点
| 項目 | 管理のポイント |
|---|---|
| 運動 | 短時間・高密度が基本 |
| 本能行動 | 抑制せず発散を意識 |
| 被毛管理 | 皮膚ケアと防寒が重要 |
| 食事 | 微調整と体重管理必須 |
| 留守番 | 生活リズムの安定が鍵 |
- 小型でも運動と刺激は不可欠
- 本能行動を理解し、発散の場を設ける
- 短毛ゆえ皮膚と寒さ対策が重要
- 体重変動が健康に直結する
- 生活リズムの安定が精神面に影響する
第5章|プラシュスキー・クリサジークがかかりやすい病気

プラシュスキー・クリサジークは極端に病弱な犬種ではありませんが、超小型犬特有の体構造と体質から、注意すべき健康リスクはいくつか存在します。ここでは不安を煽る表現を避けつつ、日本国内で飼育するうえで現実的に意識しておきたいポイントを整理します。
代表的な疾患
この犬種で比較的注意されるのは、膝蓋骨脱臼(パテラ)です。後肢の構造が細く軽量であるため、成長期や加齢に伴い症状が見られることがあります。ただし、必ず発症するわけではなく、体重管理や床環境の整備によってリスクを下げることが可能です。
また、超小型犬全般に共通する傾向として、低血糖を起こしやすい個体がいます。特に子犬期や食事量が安定しない時期は注意が必要で、元気消失や震えなどの初期サインを見逃さないことが重要です。
体質的に注意したい点
体が小さい分、体温調節が苦手な傾向があります。寒さによる体調低下だけでなく、夏場の冷房による冷え過ぎにも注意が必要です。急激な環境変化は体調不良につながりやすいため、室温管理は年間を通して重要になります。
また、体内水分量が少ないため、軽度の脱水でも体調に影響が出やすい点も特徴です。飲水量が少ない場合は、食事内容や与え方を工夫する必要があります。
遺伝性疾患(あれば)
現時点で、プラシュスキー・クリサジーク特有として広く知られている重篤な遺伝性疾患は多くありません。これは、個体数が少なく、無秩序な大量繁殖が行われてこなかった背景も影響しています。
ただし、希少犬種であるがゆえに繁殖ラインが限定されやすく、血統の偏りが生じる可能性は否定できません。迎える際には、親犬の健康状態や繁殖管理について説明を受けられる環境が望ましいといえます。
歯・皮膚・関節など
歯については、口が非常に小さいため歯列が密集しやすく、歯石や歯周トラブルが起こりやすい傾向があります。日常的なデンタルケアを行わない場合、比較的若い年齢でも問題が顕在化することがあります。
皮膚は短毛ゆえ外部刺激を受けやすく、乾燥や軽度の擦れがトラブルにつながる場合があります。関節については、激しい運動よりも日常生活での小さな負荷の積み重ねが影響しやすいため、床材や段差への配慮が重要です。
健康面で注意したいポイント
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 関節 | 膝蓋骨脱臼に注意 |
| 代謝 | 低血糖のリスク |
| 体温 | 寒暖差への弱さ |
| 歯 | 歯列密集によるトラブル |
| 皮膚 | 乾燥・刺激に弱い |
- 超小型犬特有の関節トラブルに注意が必要
- 低血糖は子犬期を中心に警戒する
- 体温管理は通年で重要
- 歯のケアは早期から習慣化すべき
- 希少犬種ゆえ繁殖背景の確認が重要
第6章|プラシュスキー・クリサジークの子犬期の育て方

プラシュスキー・クリサジークの飼育成否は、子犬期の関わり方で大きく左右されます。体が小さいため「守る」「甘やかす」対応になりがちですが、この犬種の場合、それが将来的な問題行動や不安定さにつながることも少なくありません。子犬期に何を経験させ、何を制限するかを意識的に設計することが重要です。
社会化の考え方
社会化は「外にたくさん連れ出すこと」ではなく、「安全な範囲で刺激に慣らすこと」が基本になります。プラシュスキー・クリサジークは警戒心が出やすい気質を持つため、刺激を遮断しすぎると成犬期に過剰反応が出やすくなります。
人の声、生活音、掃除機やインターホンなど、日常で避けられない刺激には段階的に慣らす必要があります。ただし、無理に抱え出して人混みに連れていくような社会化は逆効果になることもあります。短時間・低刺激・成功体験の積み重ねが基本です。
しつけの方向性
この犬種におけるしつけは、服従を教え込むものではなく「生活ルールを理解させる」ことが目的になります。知能が高く状況判断をするため、一貫性のない対応は混乱を招きます。
良い行動をしたときに評価し、望ましくない行動は静かに制限する姿勢が重要です。叱責や大きな声による修正は、警戒心を強める結果になりやすいため適していません。小型犬であっても、境界線を明確にすることが安定した成長につながります。
問題行動への向き合い方
子犬期に見られる吠えや噛みつき行動は、恐怖や不安、過剰な刺激によるものが多く、「性格の問題」と早合点しないことが重要です。
例えば、要求吠えに対して即座に応じる対応を繰り返すと、吠えが強化されます。行動の背景を冷静に観察し、原因に対処する形で向き合う必要があります。問題行動を力で抑え込むのではなく、起きにくい環境を整える視点が求められます。
運動と知的刺激
成長期であっても、過度な運動は関節への負担となるため避ける必要があります。一方で、刺激が不足すると警戒行動や落ち着きのなさが表れやすくなります。
短時間の遊びに知的要素を加えることで、体への負担を抑えつつ満足度を高めることが可能です。簡単な探索遊びや、考えながら行動する遊びを日常に取り入れることで、精神的な安定につながります。
自立心の育て方
この犬種は自立心を持つことが本来の姿であり、常に人のそばにいさせる育て方は適していません。子犬期から短時間の一人時間を設けることで、過度な依存を防ぐことができます。
離れるたびに大騒ぎするのではなく、落ち着いて戻る・離れるを繰り返すことで、留守番や距離感に対する耐性が育ちます。小さいからこそ、自立を妨げない関わり方が将来的な安定につながります。
子犬期に重視すべき育成ポイント
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 社会化 | 段階的・低刺激が基本 |
| しつけ | 一貫性と冷静な対応 |
| 問題行動 | 環境設計で予防 |
| 刺激 | 知的要素を重視 |
| 自立 | 依存を作らない育て方 |
- 子犬期の経験が成犬期の安定性を左右する
- 社会化は量より質を重視する
- 強制的なしつけは警戒心を助長しやすい
- 運動より知的刺激の設計が重要
- 小さいからこそ自立心を意識して育てる
第7章|プラシュスキー・クリサジークの費用目安

プラシュスキー・クリサジークは体が小さいため、一見すると飼育費用も低く抑えられるように思われがちです。しかし実際には、希少犬種である点や、医療・管理面での配慮が必要な点から、安易に「低コスト」と判断するのは適切ではありません。ここでは日本国内での一般的な飼育を前提に、現実的な費用感を整理します。
初期費用
生体価格は希少性の高さから比較的高額になる傾向があります。国内流通が少なく、輸入や専門ブリーダー経由となるケースも多いため、初期費用は幅が出やすい点が特徴です。
これに加えて、ケージやサークル、ベッド、食器、防寒用品など、小型犬向けであっても安全性を考慮した用品を揃える必要があります。特に段差対策や滑り防止マットなど、事故防止目的の備品は必須と考えるべきです。
年間維持費
食事量自体は少なく済みますが、質を重視する場合、極端に安価なフードを選ぶケースは少なくなります。医療費については、体が小さい分、軽微な症状でも通院が必要になる場面があり、定期的な健康診断や予防医療は欠かせません。
トリミング費用は基本的に不要ですが、爪切りや肛門腺ケア、歯科ケアなどを外部に依頼する場合は、その都度費用が発生します。結果として、年間維持費は「小型犬として標準〜やや高め」に収まるケースが多いです。
費用面の注意点
想定外になりやすいのは医療費です。超小型犬は体調変化が急で、早期受診が必要になる場面が少なくありません。保険加入を検討する家庭も多く、これも固定費として考慮する必要があります。
また、希少犬種ゆえ専門的な知識を持つ動物病院が限られる地域もあり、通院距離や時間的コストが増える可能性もあります。費用は金額だけでなく、管理負担全体として捉える視点が重要です。
費用目安の整理
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 生体価格+安全対策用品 |
| 食費 | 少量だが質重視 |
| 医療費 | 定期検診・突発対応あり |
| ケア費 | トリミング不要だが細部ケア |
| 総合評価 | 小型犬として標準〜やや高め |
- 生体価格は希少性により高めになりやすい
- 初期費用は事故防止用品を含めて考える
- 医療費は想定より増える可能性がある
- 保険や通院環境も事前検討が必要
- 安価に飼える犬種ではない
まとめ|プラシュスキー・クリサジークを迎える前に知っておきたいこと
プラシュスキー・クリサジークは、サイズや見た目の印象だけで判断すると、飼育後にギャップを感じやすい犬種です。これまで解説してきた特徴・性格・管理面を踏まえたうえで、この犬種がどのような人に向き、どのような覚悟が必要かを最終的に整理します。
この犬種に向いている人
- 犬のサイズではなく、性質や管理の必要性を冷静に理解できる人
- 生活リズムが比較的安定しており、日常管理を丁寧に行える人
- 甘やかしと配慮を区別し、犬の自立を尊重できる人
向いていない人
- 小型犬だから手がかからないと考えている人
- 事故防止や環境整備に手間をかけたくない人
- 感情的なしつけや一貫性のない対応をしがちな人
現実的な総評
プラシュスキー・クリサジークは、見た目の可愛らしさとは裏腹に、明確な役割を持って成立した犬種です。超小型でありながら判断力と警戒心を備え、適切な距離感と管理を求められます。
日本では希少な存在であるため情報量も限られがちですが、「珍しいから」「小さいから」という理由だけで迎える犬種ではありません。犬種特性を理解し、生活環境を整え、長期的に向き合う覚悟がある家庭においては、非常に安定したパートナーとなり得る一方、理解不足のまま迎えた場合には扱いにくさが表面化しやすい犬種でもあります。
可愛さだけで判断せず、管理と責任を前提に迎えることが、この犬種と良好な関係を築くための絶対条件です。

