キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかな表情と絹のように美しい被毛が印象的な小型犬です。人懐っこく優しい性格から、初めて犬を迎える方にも選ばれやすい犬種として知られています。
一方で、「おとなしくて手がかからない犬」というイメージだけで迎えると、病気やケア面で想定外の負担を感じることもあります。キャバリアは性格面では非常に飼いやすい反面、犬種特有の注意点を理解したうえで向き合うことが重要です。
この記事では、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの歴史や特徴、性格、飼いやすさ、日常ケア、注意したい病気、子犬期の育て方、費用目安までを、犬図鑑として体系的に解説します。
第1章|キャバリアの基本的な特徴

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、愛玩犬として人と密接に関わってきた歴史を持つ犬種です。外見の美しさだけでなく、穏やかで協調性の高い性格が大きな魅力となっています。
キャバリアの原産と成り立ち
キャバリアはイギリス原産の犬種で、王侯貴族に愛されてきた歴史があります。特にチャールズ2世がこの犬種を寵愛していたことから、その名が付けられました。
現在知られているキャバリアは、19世紀以降に改良されたタイプで、長い耳と大きな瞳、優雅な被毛が特徴です。家庭犬としての性格を重視して繁殖されてきたため、非常に人に寄り添う気質を持っています。
キャバリアの体格とサイズ
キャバリアは小型犬に分類されますが、骨格は比較的しっかりしており、抱いたときに安定感があります。
- 体高:約30〜33cm
- 体重:約5〜8kg
小型犬の中ではやや大きめで、極端に華奢な体つきではありません。
被毛の特徴と外見
被毛はシルクのように柔らかい長毛で、シングルコートに近い構造をしています。耳や胸、脚、尾に豊かな飾り毛があり、優雅な印象を与えます。
定期的なブラッシングを行うことで、美しい被毛を維持しやすくなります。
キャバリアの寿命
平均寿命は10〜14年程度とされており、小型犬としてはやや短めと感じられることがあります。これは犬種特有の心臓疾患リスクが影響しているためで、日常的な健康管理が非常に重要です。
第1章まとめ表|キャバリアの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 犬種名 | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル |
| 原産国 | イギリス |
| 分類 | 小型犬(やや大きめ) |
| 体高 | 約30〜33cm |
| 体重 | 約5〜8kg |
| 被毛 | 長毛(シングルコートに近い) |
| 抜け毛 | 中程度 |
| 平均寿命 | 約10〜14年 |
| 特徴 | 穏やか・人懐っこい |
第2章|キャバリアの性格

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、数ある犬種の中でも特に人との協調性が高いことで知られています。穏やかで優しく、感情の起伏が少ないため、家庭犬として非常に高い評価を受けてきました。
一方で、人が好きすぎるがゆえの注意点もあり、性格の良さだけで判断すると見落としやすい側面も存在します。
非常に人懐っこく穏やか
キャバリアは、家族だけでなく来客や他犬に対しても友好的な態度を示す個体が多い犬種です。攻撃性が極めて低く、家庭内でトラブルが起こりにくい点は大きな魅力といえます。
感情表現も穏やかで、興奮しすぎることが少なく、落ち着いた生活を送りやすい犬種です。
飼い主への依存傾向が出やすい
人と一緒に過ごすことを強く好むため、キャバリアは依存傾向が出やすい犬種でもあります。常に人のそばにいたがり、長時間の留守番が続くと不安を感じやすくなります。
これは性格の欠点ではなく、愛玩犬として人に寄り添うよう改良されてきた歴史によるものです。子犬期から適度にひとりで過ごす時間を作ることが、安定した性格につながります。
学習能力は高いが控えめな自己主張
キャバリアは理解力があり、基本的なしつけは比較的入りやすい犬種です。ただし、作業意欲が高い犬種ではないため、トレーニングへの積極性は平均的といえます。
強い自己主張をするタイプではなく、飼い主の指示に素直に従う個体が多い反面、運動や刺激が不足すると気力が低下しやすい傾向もあります。
無駄吠えが少ない傾向
警戒心が低く、神経質さが少ないため、無駄吠えは比較的少なめです。集合住宅でも飼育しやすい犬種とされています。
ただし、環境変化や分離不安があると、吠えやすくなるケースもあるため、生活リズムの安定が重要です。
他犬・子どもとの相性
キャバリアは他犬や子どもに対しても寛容な個体が多く、多頭飼いや家族飼育にも向いています。乱暴に扱われることには弱いため、子どもがいる家庭では接し方を教える必要があります。
第2章まとめ表|キャバリアの性格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人懐っこさ | 非常に高い |
| 穏やかさ | 非常に高い |
| 攻撃性 | 極めて低い |
| 依存傾向 | 出やすい |
| 学習能力 | 高い |
| 自己主張 | 控えめ |
| 無駄吠え | 少なめ |
| 多頭飼い適性 | 高い |
第3章|キャバリアの飼いやすさ・向いている家庭

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、性格面だけを見ると非常に飼いやすい犬種です。穏やかで人懐っこく、無駄吠えも少ないため、初めて犬を迎える方にも選ばれやすい理由がここにあります。
ただし、性格の良さがそのまま「手がかからない」という意味ではありません。キャバリアならではの注意点を理解しておくことで、飼育後のギャップを防ぐことができます。
飼いやすいと感じやすいポイント
キャバリアは攻撃性が低く、感情の起伏も穏やかなため、日常生活で扱いにくさを感じにくい犬種です。しつけに対しても素直で、強い自己主張をしない個体が多く見られます。
また、吠え癖が出にくく、集合住宅でも飼育しやすい点は大きなメリットです。来客や他犬に対しても友好的な反応を示すため、家庭内でのトラブルが起こりにくい傾向があります。
飼育で注意したい点
人との関わりを強く求める性格から、キャバリアは留守番が長い生活には不向きな一面があります。長時間ひとりで過ごす環境が続くと、不安やストレスを感じやすくなります。
また、見た目の可愛さから運動量が少なくても大丈夫と思われがちですが、適度な散歩や遊びが不足すると体重が増えやすくなります。肥満は心臓や関節への負担を増やすため、注意が必要です。
向いている家庭・飼い主の特徴
キャバリアは、犬と一緒に過ごす時間を大切にできる家庭に向いています。在宅時間が比較的長い家庭や、家族と犬が常に同じ空間で過ごすスタイルと相性が良い犬種です。
穏やかな犬との生活を求めている人や、小さな子どもや高齢者がいる家庭にも適しています。
向いていない可能性がある家庭
仕事などで留守番の時間が長い場合や、犬とのコミュニケーションを最小限にしたい生活スタイルでは、キャバリアの甘えん坊な性格を負担に感じることがあります。
また、犬に運動やケアの手間をかけられない場合も、健康管理が難しくなる可能性があります。
初心者に向いているかどうか
キャバリアは、初心者にも向いている犬種といえます。ただし、「放っておいても大丈夫な犬」ではなく、日常的な関わりを前提に迎える必要があります。
第3章まとめ表|キャバリアの飼いやすさ
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 性格の安定性 | 非常に高い |
| しつけのしやすさ | 高い |
| 無駄吠え | 少なめ |
| 留守番耐性 | 低め |
| 運動量 | 少なめ〜普通 |
| 初心者適性 | 高い |
| 集合住宅 | 向いている |
| 家族向き | 非常に高い |
第4章|キャバリアの飼い方と日常ケア

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかな性格ゆえに飼育管理が軽く見られがちですが、被毛ケア・体重管理・心臓への配慮が欠かせない犬種です。日常ケアを丁寧に行うことで、健康寿命を大きく伸ばすことができます。
運動量と散歩の考え方
キャバリアは激しい運動を必要としませんが、運動不足になりやすい犬種です。散歩を怠ると体重が増えやすくなり、心臓や関節への負担が大きくなります。
- 1日1〜2回、合計20〜30分程度
- 速すぎないペースでの散歩が理想
遊びを兼ねた軽い運動を取り入れることで、無理なく活動量を確保できます。
被毛ケアとブラッシング
被毛は柔らかい長毛で、耳・胸・脚・尾に飾り毛があります。毛玉ができやすい部位を中心に、定期的なブラッシングが必須です。
- ブラッシング:週3〜4回
- 耳の付け根や脇は重点的にチェック
抜け毛は中程度ですが、放置すると絡まりやすくなるため、日常ケアが重要です。
耳のケアと皮膚管理
垂れ耳で通気性が悪いため、外耳炎を起こしやすい傾向があります。耳の中が赤くなる、臭いが強くなるといった変化には注意が必要です。
定期的に耳の状態を確認し、異常があれば早めに対処します。皮膚も蒸れやすいため、清潔を保つことが大切です。
体重管理と食事の注意点
キャバリアは食欲が安定しており、与えられた分を食べる個体が多い犬種です。そのため、体重管理は飼い主側の責任になります。
肥満は心臓病のリスクを高めるため、フード量の調整と間食の管理を徹底することが重要です。
留守番と生活リズム
人と一緒に過ごす時間を好む犬種のため、留守番が長時間続く生活はストレスになりやすい傾向があります。食事・散歩・休息の時間をできるだけ一定に保ち、安心できる生活リズムを作ることが大切です。
第4章まとめ表|キャバリアの飼い方と日常ケア
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 運動量 | 1日20〜30分程度 |
| 運動内容 | 散歩・軽い遊び |
| 被毛 | 柔らかい長毛 |
| ブラッシング | 週3〜4回 |
| 抜け毛 | 中程度 |
| 耳のケア | 外耳炎に注意 |
| 体重管理 | 非常に重要 |
| 留守番 | 長時間は不向き |
第5章|キャバリアがかかりやすい病気

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは性格面では非常に飼いやすい一方、犬種特有の病気リスクが比較的はっきりしている犬種でもあります。特に心臓に関する疾患は、キャバリアを語るうえで避けて通れない重要なポイントです。
病気を正しく理解し、早期発見・予防を意識することで、生活の質と健康寿命を大きく左右します。
僧帽弁閉鎖不全症
キャバリアで最も注意すべき病気が、僧帽弁閉鎖不全症です。心臓の弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することで心臓に負担がかかる疾患です。
中高齢期に発症するケースが多く、初期段階では目立った症状が出にくいことが特徴です。
- 咳が増える
- 疲れやすくなる
- 呼吸が荒くなる
といった変化が見られた場合は、早めの受診が重要です。
脊髄空洞症(SM)
キャバリアに比較的多く見られる神経系の疾患として、脊髄空洞症(SM)があります。脳脊髄液の流れに異常が生じ、脊髄内に空洞ができる病気です。
- 首や耳周りをしきりに掻く
- 触られるのを嫌がる
- 痛みを感じているような様子
といった行動が見られる場合は注意が必要です。
外耳炎
垂れ耳で通気性が悪いため、外耳炎を起こしやすい犬種です。耳の中が蒸れやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい環境になります。
耳の臭い、赤み、かゆみが見られた場合は、早めのケアが必要です。
膝蓋骨脱臼
小型犬に多い膝蓋骨脱臼は、キャバリアでも見られることがあります。重度でなければ日常生活に大きな支障は出ませんが、体重管理と床環境の整備が重要になります。
歯周病
口が小さく歯が密集しやすいため、歯周病のリスクが高い傾向があります。口腔内のトラブルは全身の健康にも影響するため、日常的な歯のケアが欠かせません。
第5章まとめ表|キャバリアが注意したい病気
| 病気・症状 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 僧帽弁閉鎖不全症 | 中高齢期に多い |
| 脊髄空洞症 | 神経系疾患、行動変化に注意 |
| 外耳炎 | 垂れ耳で蒸れやすい |
| 膝蓋骨脱臼 | 小型犬に多い |
| 歯周病 | 日常ケアが重要 |
第6章|キャバリアの子犬期の育て方

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの子犬期は、性格の良さを安定した魅力として定着させるための重要な時期です。もともと穏やかで人懐っこい犬種ですが、育て方次第で依存傾向や不安の出方に大きな差が生まれます。
甘えん坊になりすぎないための関わり方
キャバリアは人と一緒にいることを強く好むため、子犬期に常に構い続けると、分離不安が出やすくなります。可愛さから抱っこや声かけが増えがちですが、自分で落ち着く時間を意識的に作ることが重要です。
ひとりで過ごせたら静かに評価するなど、過度な依存を防ぐ関わり方が、成犬期の安定につながります。
留守番は短時間から段階的に
キャバリアは留守番が得意な犬種ではないため、子犬期から少しずつ慣らす必要があります。最初は数分程度から始め、問題なく過ごせた経験を積み重ねていきます。
急に長時間ひとりにするのではなく、時間をかけて慣らすことが大切です。
社会化は穏やかに進める
警戒心が低い犬種ではありますが、社会化は必要です。人・犬・生活音・外の環境に無理のない範囲で触れさせ、「落ち着いて受け入れる経験」を増やしていきます。
過度な刺激を一度に与えるよりも、安心できる環境で少しずつ慣らすことが向いています。
しつけは優しく一貫して行う
キャバリアは感受性が高く、強い叱責には向きません。叱るよりも、望ましい行動を褒めて伸ばす方法が効果的です。
一方で、ルールを曖昧にすると混乱しやすいため、家族全員で対応を統一することが重要です。
健康管理の基礎を作る時期
子犬期から体重管理や歯のケアに慣らしておくことで、将来の健康リスクを下げやすくなります。特に心臓の病気リスクを考えると、太らせない生活習慣を早い段階で身につけることが重要です。
第6章まとめ表|キャバリアの子犬期
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 甘え対策 | 構いすぎない |
| 留守番 | 短時間から慣らす |
| 社会化 | 穏やかに進める |
| しつけ | 褒めて教える |
| 叱り方 | 強い叱責は避ける |
| 健康管理 | 体重・歯のケア重視 |
| 依存傾向 | 予防が重要 |
第7章|キャバリアの費用目安

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは小型犬の中では平均的な飼育費用で暮らせますが、心臓疾患をはじめとした医療費の備えが重要な犬種です。日常ケアを丁寧に行うことで、長期的な出費を抑えやすくなります。
迎え入れ時にかかる初期費用
キャバリアの子犬価格は、血統・毛色・ブリーダーによって幅がありますが、30万〜50万円前後が目安です。
| 子犬代 | 30万〜50万円前後 |
| ケージ・ベッド・食器・首輪など | 2万〜5万円 |
| ワクチン・健康診断 | 2万〜4万円 |
初期費用合計:35万〜60万円前後
年間維持費の目安
体は小さめですが、被毛ケアや健康管理を継続する必要があります。
| フード・おやつ | 7万〜12万円 |
| ケア用品・消耗品 | 2万〜4万円 |
| 医療費(予防・軽度診療) | 3万〜6万円 |
年間維持費合計:12万〜22万円前後
※心臓病などの治療が必要になった場合、別途医療費がかかる可能性があります。
費用面で意識しておきたいポイント
キャバリアはトリミング必須犬種ではありませんが、ブラッシングや耳・歯のケアを怠ると医療費が増えやすい傾向があります。日常管理への投資が、結果的に大きな出費を防ぐことにつながります。
第7章まとめ表|キャバリアの費用目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 子犬代 | 30万〜50万円 |
| 初期医療費 | 2万〜4万円 |
| 初期用品代 | 2万〜5万円 |
| 初期費用合計 | 約35万〜60万円 |
| 年間フード代 | 7万〜12万円 |
| 年間ケア用品 | 2万〜4万円 |
| 年間医療費 | 3万〜6万円 |
| 年間維持費合計 | 約12万〜22万円 |
まとめ|キャバリアを迎える前に知っておきたいこと
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかで人懐っこく、家庭犬として非常に高い適性を持つ犬種です。攻撃性が低く、初心者でも比較的迎えやすい一方で、人への依存傾向や心臓疾患といった犬種特有の注意点も存在します。
性格の良さだけで判断せず、日常ケアや健康管理まで含めて現実的に向き合うことが、長く穏やかな暮らしにつながります。

