
最近、トイプードルが寝ているときにいびきをかく



以前よりいびきが大きくなった気がする
―そんな悩みを持つ飼い主は少なくありません。
いびきの原因は単なる寝相や一時的なものだけでなく、健康上のサインや病気が隠れていることも。
本記事では、いびきの原因・セルフチェック方法・受診の目安・自宅でできる予防策まで、分かりやすく解説します。
トイプードルのいびき|よくある症状と飼い主が気付くきっかけ





寝ているトイプードルから、急に“グーグー”“ゴーゴー”という音が聞こえてきた



最近いびきが大きくなってきた
――多くの飼い主が、はじめは“ちょっとした寝息”と軽く考えがちですが、トイプードルのいびきには様々なサインが隠れています。
気付いたきっかけや、よくある症状を知ることで、いびきが一時的なものか、それとも健康上の問題のサインなのかを早めに見極めることができます。
いびきの具体例・動画で見る症状
トイプードルのいびきは、以下のような特徴的な音で表現されることが多いです。
- 低く、断続的な「グーグー」「ゴーゴー」という音
- 鼻や口からの「スースー」「フガフガ」といったやや軽めの音
- 寝返り時に一時的に大きくなる、または止まるパターン
- 息が詰まるような「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの呼吸音
また、動画を撮っておくと、獣医師に診せた際に診断の大きなヒントになります。
「以前は静かに寝ていたのに、最近急に音が目立つようになった」という場合、体調や環境の変化も疑いましょう。
鼻鳴きや寝息との違いは?
トイプードルは、リラックス時や浅い眠りのときに「フンフン」「スピー」など、軽い鼻鳴きや寝息を立てることがあります。これらは生理的な現象で、多くの場合は心配ありません。
いびきとの違い
いびき | 喉・鼻の空気の流れが物理的に狭くなり、“振動音”や“濁った音”になる |
---|---|
寝息・鼻鳴き | 短くて小さい音、断続的で音量が小さい |
※いびきは寝入った後しばらく続きやすいが、寝息・鼻鳴きは一時的に終わる
寝息・鼻鳴きは健康な犬でもよく見られるので、「毎回同じリズム・同じ音」「途中で止まる」「呼吸のリズムが乱れていない」場合は様子見でも問題ありません。
いびきがうるさい・止まらない場合の特徴
- 寝始めてすぐに大きないびきが出る
- 仰向け寝、首が不自然に曲がっている姿勢で特に音が強い
- 寝ている途中で息が詰まったように一瞬止まる
- 体勢を変えてもいびきが止まらず続く
- いびきと一緒にゼーゼー、ガーガーと苦しそうな呼吸音を伴う
これらの場合は、単なる寝姿や一時的なものではなく、「呼吸器や気道に何らかの問題が起きている」サインかもしれません。
普段の音と違う・頻度が増えている・呼吸が乱れると感じたら、必ず次章で紹介する“原因”や“病的サイン”にも目を向けましょう。
トイプードルがいびきをかく主な原因


トイプードルのいびきは、ただの寝姿や一時的なものと思われがちですが、背景には様々な要因が潜んでいます。
原因をしっかり見極めることで、愛犬の健康リスクを早期に発見したり、正しい対策を講じることが可能です。
ここでは、トイプードルに多い“いびきの主な原因”を医学的・生活習慣的な側面から詳しく解説します。
鼻や喉の構造(短頭種・鼻腔狭窄)
トイプードルは本来短頭種ではありませんが、個体差や骨格の特徴で鼻腔が狭い、喉の構造が生まれつき細いケースがあります。
鼻や喉の空気の通り道が狭いと、眠っている時に空気の振動がいびきとして現れやすくなります。
- 鼻がつまっている(鼻炎・アレルギーなど)
- 喉の奥が狭い構造
- 鼻腔狭窄(生まれつきや成長過程の変形)
このタイプはいびきが慢性化しやすいため、成長過程や季節ごとに注意深く観察することが重要です。
軟口蓋過長症
トイプードルでも時折見られる“軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)”は、口腔内の「軟口蓋(口の奥の柔らかい部分)」が通常より長く、呼吸気道の一部を塞いでしまう状態です。
- 寝ているときやリラックス時に、空気の流れが遮られやすい
- いびきが重くなる、息が詰まるような音になる
- 酷い場合は日中の呼吸困難やチアノーゼ(舌や歯茎が青白くなる)も
軟口蓋過長症は遺伝性や骨格の個体差、肥満で悪化する場合もあり、疑わしい場合は動物病院で早めの診断が推奨されます。
肥満・体重増加といびき
体重が増えると、首や喉、気道周囲の脂肪が増えて空気の通り道が狭くなります。
- 首回りが太くなる、顎下に脂肪がつく
- 体重増加後にいびきが出始めた・ひどくなった
- 体型を戻すといびきも改善する例が多い
肥満はあらゆる病気のリスク因子となるため、いびき対策としてもダイエットや適正体重の維持が不可欠です。
加齢・老犬といびき
高齢になると筋肉が衰え、喉や舌の筋力も低下します。これにより気道が狭まりやすくなり、いびきが増加します。
- 若い頃は静かだったが、シニア期からいびきをかくようになった
- 老犬は呼吸機能自体が低下するため、呼吸障害のリスクも増加
年齢による変化であっても、急な悪化や普段と異なる様子があれば注意が必要です。
アレルギー・鼻炎・気管支炎などの炎症
- 花粉・ハウスダスト・ダニなどによるアレルギー性鼻炎
- 気管支炎や上気道炎での腫れ・分泌物の増加
これらも鼻詰まり・喉の腫れ→いびきにつながります。「最近くしゃみや鼻水が多い」「咳が出る」ときは炎症性のいびきが疑われます。
姿勢・寝相・枕の高さなど一時的要因
- 仰向けや首が曲がった寝相
- 柔らかすぎるクッション・枕で首が沈みこむ
- 夏場の寝苦しさ・換気不足など
一時的な体勢や環境が原因の場合、体勢を変えるといびきが止まる、日によって音が違うなどの特徴があります。この場合は無理に起こさず、安全な寝床づくりを意識しましょう。
いびきが病気のサインになるケース


トイプードルのいびきは、ほとんどが一時的な寝姿や肥満、加齢に伴うものですが、中には重大な疾患のサインであることもあります。
特に“急にいびきがひどくなった”“息苦しそう”“寝ている最中に呼吸が止まる”など、普段と異なる症状がみられる場合は要注意です。
この章では、いびきが現れる主な病気や、早期発見が重要なリスクサインを解説します。
睡眠時無呼吸症候群
犬にも「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が起きる場合があります。これは睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう病気で、
- いびきが急に大きくなる、途切れる
- 寝ている最中に息が止まり、しばらくして大きな息とともに再開する
- 昼間もボーッとしたり、元気がない
などがみられることも。放置すると心臓や肺に負担がかかり、突然死や生活の質低下に繋がるため、該当する症状があれば早急に獣医師の診断を受けましょう。
軟口蓋過長症・気道閉塞
特に若齢~中高齢期で「いびき+呼吸のたびに苦しそう」「寝ている時にガーガー・ヒューヒューという音がする」場合、軟口蓋過長症や気道が物理的に狭まる疾患(気道閉塞)が疑われます。
- 眠っているときだけでなく、興奮時や暑い時も呼吸が苦しそう
- 青白い舌や歯茎(チアノーゼ)がみられる
- 酷い場合は失神や突然倒れるケースも
軟口蓋過長症は手術で根本的に改善できる場合もあるため、早めの受診が大切です。
鼻腔内ポリープ・腫瘍
鼻や喉の内部にポリープ(良性腫瘍)や悪性腫瘍ができると、空気の通り道が塞がれ、いびきや呼吸異常が発生します。
- 片側だけ鼻詰まりが続く
- 鼻血や血混じりの鼻水が出る
- 長期間いびきが止まらず、顔の腫れがみられる
この場合も自己判断は危険なので、早急な動物病院受診が必須です。
肺や心臓の疾患
- 肺水腫、慢性気管支炎、心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)
- 安静時も呼吸が早い、咳が出る、運動を嫌がる
いびきと同時に「昼間の元気低下」「呼吸が浅い・早い」などがみられる場合は、循環器や呼吸器の疾患も疑いましょう。
受診が必要ないびきの特徴(危険サインまとめ)
- いびきと一緒に呼吸が止まる/苦しそうな呼吸
- 舌や歯茎が紫色・青白い(チアノーゼ)
- 急激にいびきが大きくなった・音質が変化した
- 寝ていない時も呼吸が苦しそう、咳や鼻血が出る
- 昼間も元気がなく、歩きたがらない、食欲が落ちた
これらのサインが見られた場合は「様子見」で済まさず、速やかに動物病院へ。
自宅でできるいびき対策・セルフケア


トイプードルのいびきは、原因に合わせて生活環境やケアを見直すことで、症状の改善や悪化防止が可能な場合が多いです。
すぐにできる“家庭での対策”を具体的にご紹介します。これらを日々意識することで、愛犬の快適な睡眠と健康をサポートしましょう。
体重・食事管理(肥満予防)
肥満はあらゆる呼吸障害・いびきの大きなリスク要因です。
- 適切な食事管理(低カロリー・高タンパク質フード)
- おやつや間食の見直し
- 毎月の体重チェックと体型評価
体重を適正に保つことで、喉周りや気道への圧迫が減り、いびきが改善するケースが多くあります。
寝床・枕・寝姿勢の見直し
- 仰向け寝や首が曲がる体勢がいびきを助長する場合があるため、寝床の形状や枕の高さを工夫
- やや硬め・平坦なベッドを選ぶ、もしくはタオルを丸めて頭を少し高くする
- 柔らかすぎるクッションや沈み込む寝具は避ける
日中の様子や寝返りのしやすさもチェックし、愛犬に合った寝床づくりを心がけましょう。
部屋の湿度・空気清浄の工夫
- 乾燥した空気やハウスダストは鼻や喉の粘膜を刺激し、いびきを悪化させる
- 冬は加湿器を利用して湿度40~60%を保つ
- 空気清浄機やこまめな換気で花粉・埃・ダニの除去
- エアコン使用時も部屋が乾燥しすぎないよう注意
アレルギー・ハウスダスト対策
- 犬用ベッドやカバーをこまめに洗濯
- カーペットやソファなど布製品の掃除・交換
- 花粉の多い時期は室内干しを徹底
- 掃除機だけでなく「拭き掃除」も活用
アレルギー体質の場合、鼻詰まりや気道炎症を和らげることでいびきも軽減されます。
鼻や口のケア・歯みがき
- 鼻周りの汚れや目ヤニをこまめに拭き取る
- 歯周病や口腔内のトラブルは、炎症が鼻や喉に波及しやすいため、定期的な歯みがきやデンタルケアも忘れずに
- 口臭や歯茎の腫れが気になった場合は、早めの受診を
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一時的ないびきへの対応
- 寝相が原因でいびきをかいている場合、優しく体勢を変えてあげる
- それでも改善しない場合や、頻度が増えてきた場合は次章の「受診の目安」を参考に病院相談も検討
サプリメントの活用は?
- 関節サポートや呼吸器ケアを謳うサプリメントもありますが、あくまで補助的な役割
- 必ず主治医と相談し、効果や安全性を確認してから与えましょう
動物病院受診の目安と診断・治療の流れ


トイプードルのいびきが「いつもの寝息」とは違うと感じたとき、どのタイミングで動物病院を受診すべきか悩む飼い主は多いものです。
ここでは、受診が必要なサイン、病院での検査・診断の流れ、主な治療法までを詳しく解説します。
受診すべきサインと緊急度
- いびきと同時に呼吸が止まる/苦しそうな呼吸が続く
- 舌や歯茎が紫色・青白い(チアノーゼ)
- 寝ていない時も呼吸が苦しそう/昼間の元気低下
- 急にいびきが大きくなった・音質が変化した
- 咳・鼻血・長引く鼻水/飲み込みづらそうな様子
これらの症状が見られる場合は、緊急度が高いため、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。逆に「寝姿や一時的な音だけ」「他に症状がなく元気」という場合は、様子を見つつ日々のケアを続けてください。
診断方法(視診・聴診・画像診断など)
動物病院での診断の流れは以下のようになります。
問診・観察
いびきが始まった時期、頻度、音の特徴、他の症状の有無を確認
動画があればより正確な診断の手助けに
視診・聴診
鼻・喉・口腔内の異常をチェック
聴診器で呼吸音や心音の異常を探る
画像診断(レントゲン・CT・内視鏡)
鼻や喉の内部構造を確認し、軟口蓋過長症・腫瘍・異物の有無を調べる
血液検査・全身状態の確認
感染症や全身の健康状態、心臓や肺の機能も評価
診断は「いびきの原因の特定」と「他の重大疾患の除外」が主目的です。
治療の選択肢(内科・手術・生活改善)
- 内科的治療
- アレルギー性鼻炎や軽度の炎症には、消炎剤や抗アレルギー薬、点鼻薬などで対処。
- 外科的治療
- 軟口蓋過長症やポリープ、腫瘍など、物理的な閉塞には外科手術で根本治療を目指す。
- 生活改善のアドバイス
- 体重管理や寝床・環境の見直し、家庭でのケア方法も指導。
手術や投薬だけでなく、日々の生活環境の見直しも“治療の一環”です。獣医師と相談し、愛犬に最適なプランを選びましょう。
受診前に準備しておくと役立つもの
- いびきの様子を録画した動画
- 直近の体重・食事内容・睡眠環境のメモ
- 他の気になる症状(咳・鼻水・呼吸の仕方など)
これらを記録しておくとスムーズです。
よくある質問(FAQ)


トイプードルのいびきに悩む飼い主の多くが、「これって大丈夫?」「このまま様子見でいいの?」とさまざまな疑問や不安を感じています。ここでは、実際に多い質問をまとめ、専門的な見地から分かりやすく回答します。
他にも不安や疑問があれば、かかりつけの動物病院や専門家に相談しましょう。早めの対応が愛犬の健康を守ります。
まとめ|健康ないびきと危険ないびきを見極めるために
トイプードルのいびきは、決して珍しいものではありません。
多くは寝姿や一時的な体調変化、加齢、体重増加など、家庭で改善できる要素が多いのも事実です。
しかし、急にいびきがひどくなった・呼吸が止まる・苦しそうな呼吸や色の変化が見られるときは、病気のサインの可能性が高いため要注意です。
飼い主が日々の観察を怠らず、いびきの音や頻度・他の体調変化にも敏感になることで、重大な疾患の早期発見につながります。迷ったときは「様子見」せず、積極的に獣医師へ相談・受診する姿勢が、愛犬の健康を守る最短ルートです。
いびき対策は「寝床や湿度などの環境調整」「適正体重の維持」「鼻や口のケア」「ストレスやアレルギー対策」など、日々の暮らしの中で実践できることが多くあります。“いつもと違う”を見逃さず、正しい知識で愛犬の快適な眠りと健康を守りましょう。
参考文献・専門サイト
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)
- いぬのきもちWeb
- アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」
- 獣医師監修Webサイト各種
- 専門動物病院資料