
もう一匹チワワを迎えたいけど、うまくやっていけるのか不安…。



先住チワワがわがままで、2匹目との相性が心配…。



多頭飼いってかわいいけど、実際は大変なんじゃないの?
そんな悩みを持つ飼い主は少なくありません。チワワはその愛らしさから多くの人に愛されていますが、性格に個体差が大きく、他犬への警戒心や嫉妬心が強い面もあるため、必ずしも多頭飼いに向いているとは言い切れません。
一方で、うまく相性が合えば、2匹・3匹で寄り添って眠る姿や、一緒に遊ぶ姿を見られるのは何にも代えがたい癒やしでもあります。
本記事では、以下のようなテーマを深掘りしていきます。
- チワワが多頭飼いに向いているかどうかの判断ポイント
- 多頭飼いで起きやすいトラブルとその対策
- チワワ同士 or 他犬種との相性の見極め方
- 成功例・失敗例から学ぶリアルな実体験
- 多頭飼いにかかるコストや日々の手間
- 相性診断・導入ステップ・環境準備の実用情報
この記事を最後まで読めば、あなたが“多頭飼いすべきかどうか”を自信を持って判断できるようになります。
チワワをさらに幸せにするために、もう一匹迎えるかどうか。その答えを見つける第一歩に、この記事がなれば幸いです。
第1章|チワワの性格から見る「多頭飼いの適性」


多頭飼いがうまくいくかどうかを左右する最大の要素は、犬同士の「性格の相性」です。特にチワワは、他の小型犬に比べて個体ごとの性格差が非常に大きい犬種です。
この章では、チワワという犬種の基本的な性格傾向をもとに、多頭飼いに向くタイプ・向かないタイプを詳しく見ていきましょう。
チワワの基本的な性格傾向
チワワには以下のような性格がよく見られます。
- 警戒心が強い
- 知らない人や犬に対して吠えたり、距離を取ったりすることが多いです。これは「守りの本能」が強いためで、自分や家族を守ろうとする責任感の表れでもあります。
- 飼い主に対して非常に忠実
- 一度信頼を寄せた相手には深く従順になりますが、その反面、他の犬や家族に嫉妬心を抱きやすい傾向もあります。
- 自分のルールを大切にする
- 生活リズムや空間にこだわる個体も多く、自分のテリトリーを他犬と共有するのが苦手な場合があります。
- 感受性が高く、変化に敏感
- 環境の変化や新しい犬の登場に強いストレスを感じる子もおり、多頭飼いにおいては“新入りをどう受け入れるか”が重要になります。
多頭飼いに向いているチワワの特徴
以下のような特徴を持つチワワは、比較的多頭飼いに向いているといえます。
- 他の犬と遊ぶのが好き・社交的
- 家族の誰に対しても穏やかに接する
- ごはんやおもちゃを独占しない
- しつけが行き届いており、指示が通る
- 環境の変化にも比較的適応できる
多頭飼いに向かないチワワの特徴
逆に、以下のような傾向が強い場合は慎重な判断が必要です。
- 他の犬に対して攻撃的・極端に吠える
- 飼い主への依存度が極端に高い(分離不安傾向)
- ごはん中に唸る・威嚇するなど独占欲が強い
- 音や環境変化に敏感で、すぐに体調を崩す
- 過去に他犬とのトラブル経験がある
このような性格のチワワでも、多頭飼いが絶対に無理というわけではありませんが、導入のステップや準備が特に重要になります。
性格は「育て方」で変わる面も大きい
チワワの性格は、先天的な要素もありますが、飼い主との関係性や育て方によって柔らかくなることも多いです。1匹目のチワワがしっかり社会化されており、指示が通る子であれば、2匹目を迎える際も落ち着いて対応しやすくなります。
まとめ:最初に見極めるべきは「先住犬の性格」
2匹目を迎えるかどうかを考えるとき、最も重視すべきは「先住チワワの性格と現在の生活満足度」です。愛犬がストレスなく日常を送れているか、他犬との相性にどの程度寛容かを、冷静に見極めることが最初のステップになります。
第2章|相性の良い犬種と組み合わせの考え方


多頭飼いを成功させるうえで、「どの犬種と組み合わせるか」は非常に重要なポイントです。特にチワワはサイズ・性格・行動パターンが独特であるため、何も考えずに他犬種と組み合わせると、ストレスやトラブルの原因になることもあります。
この章では、チワワと相性が良いとされる犬種や、年齢・性別などの組み合わせの考え方について詳しく解説します。
チワワとの多頭飼いに向いている犬種とは?
小型犬で穏やかな性格の犬種
犬種 | 理由 |
---|---|
パピヨン | 明るくフレンドリーで争いを好まず、チワワと体格が近く相性◎ |
トイプードル | 賢く順応性があり、穏やかに接することができれば好相性 |
ポメラニアン | 元気でチワワに似た性質を持ち、遊び相手になりやすい |
ヨークシャテリア | 警戒心は強いが、人や犬に慣れれば距離の取り方が上手 |
これらの犬種は、チワワと同じく小型で生活スタイルが似ており、体格差による事故のリスクも低いという共通点があります。
チワワ同士の多頭飼いはアリ?
意外に思われるかもしれませんが、チワワ同士の多頭飼いは比較的成功しやすいケースが多いです。
- 体格差がないため、ケガや力関係の差が少ない
- 似たような運動量・生活リズムで無理がない
- お互いの言動をすぐに学習・模倣しやすい
ただし、どちらか一方に強い独占欲や攻撃性がある場合は注意が必要です。相性は「犬種」よりも「個体の性格」に大きく左右されます。
年齢差の考慮:子犬と成犬の組み合わせはどうか?
メリット
- 成犬が落ち着いていれば、子犬の良いお手本になる
- 社会性を子犬が自然に学びやすい
- 成犬にとっても程よい刺激となり若返る効果があることも
デメリット
- 成犬にとって子犬のテンションがストレスになる可能性
- 飼い主の目が子犬に向きやすく、先住犬が寂しさを感じやすい
- 食事・トイレ・遊びなどの管理方法が別になる
年齢差がある場合は、「先住犬のケアを最優先する」ことが信頼関係を壊さないコツです。
性別の組み合わせ:「オス×メス」?「オス×オス」?「メス×メス」?
オス×メス | 最もバランスが良いとされる組み合わせ。性格が補い合いやすく衝突が少ない。 ただし、避妊・去勢手術は必須。 |
---|---|
オス×オス | 片方が支配的な性格の場合、縄張り争いになることも。 相性に大きく左右される。 |
メス×メス | 意外とトラブルが多いパターン。 静かに見えても心の中で競争心が強く、些細なきっかけで衝突することがある。 |
相性の良し悪しは個体次第ではありますが、「性別のバランス」も多頭飼い成功の要素のひとつとして意識するとよいでしょう。
まとめ
犬種・年齢・性別、どの組み合わせも「絶対」はありませんが、チワワは相手の犬が“空気を読めるかどうか”が大きな鍵になります。無理に仲良くさせるのではなく、お互いの距離を自然に掴める相手を選べば、多頭飼いはグッと成功に近づきます。
第3章|チワワとの多頭飼いで起きやすいトラブルと対策


チワワは感受性が強く、縄張り意識や飼い主への愛情が深いぶん、多頭飼いでは特有のトラブルが起きやすい犬種でもあります。ここでは、実際に起こりやすい問題とその具体的な対策方法について詳しく解説します。
チワワに多い病気と対策完全ガイド|症状・予防・治療まで徹底解説
トラブル1|ごはんの取り合い・食事中の威嚇
原因
- 独占欲が強く「自分のものは絶対に守る」という意識が強い
- 食事のタイミングや位置関係でストレスが生まれる
対策
- 食事は必ず別の場所で与える(視界に入らない程度)
- 「食べるスピードの差」による取り合いを防ぐため、早食い防止皿の活用も有効
- 先住犬のほうから食べさせて、序列を崩さないように配慮
トラブル2|吠え合い・威嚇・ケンカ
原因
- 性格の相性が悪い/生活空間や関心対象(飼い主・おもちゃなど)をめぐる衝突
- 飼い主の“構いすぎ”が焼きもちの原因に
対策
- 初対面ではケージ越しの対面から始める
- お互いに干渉しすぎないパーソナルスペースの確保
- ケンカの直後に片方を強く叱ると、不公平感で信頼関係が崩れることもあるため注意
- 無理に仲良くさせようとせず、一定の距離を保った共存を目指す
トラブル3|飼い主をめぐる嫉妬や依存
原因
- チワワは飼い主への愛着が非常に強く、「自分だけを見てほしい」という欲求が高い
- 飼い主が新入りにばかり構うことで、先住犬が不満や不安を抱える
対策
- 必ず先住犬を優先して構う(ごはん、散歩、声かけなど)
- 新入りの犬に触れる前に、先住犬に声をかける・アイコンタクトを取る
- お互いの個別時間を用意し、「どちらも大切にされている」と実感させる
トラブル4|トイレの失敗・マーキング
原因
- 環境の変化によるストレス
- 新入りに対する主張としてのマーキング行動
- 片方が失敗するともう一方も「真似」してしまうケース
対策
- トイレの場所は犬ごとに分けるのが基本
- 失敗しても叱らず冷静に対応し、臭いを完全に除去
- 新入りのトイレトレーニングは先住犬に影響しない場所で行う
トラブル5|体格差・年齢差によるケガやストレス
原因
- 遊び方の違いでケガをする(子犬の勢いが強すぎる/成犬が無理をする)
- 年齢差によって体力に差があるのに無理に一緒に行動させる
対策
- 激しい遊びは時間や空間を区切って監視付きで行う
- お互いの体力差を考慮し、散歩や遊びの時間を個別対応
- ケガ防止のため、滑り止めや段差の緩和など環境の物理的調整も重要
まとめ:トラブルの多くは“準備不足”と“観察力不足”が原因
チワワの多頭飼いで起こるトラブルの多くは、「相性」そのものよりも、飼い主側の接し方や環境整備の不足によるものです。
1匹目の性格と習慣を尊重しつつ、2匹目が自然となじめるよう、段階的かつ公平な導入を心がけましょう。
第4章|チワワ同士の多頭飼いは可能?そのメリットと注意点





やっぱり、2匹目もチワワがいい!!!
そんな風に考える飼い主は非常に多く、実際にチワワ同士の多頭飼いは成功しやすいという声もよく聞かれます。しかし、すべてのチワワ同士がうまくいくわけではなく、そこにはしっかりとした相性の見極めと段階的な導入が必要です。
この章では、チワワ同士を多頭飼いする際の具体的なメリットと、注意すべきリスクについて詳しく見ていきます。
チワワ同士の多頭飼いが「向いている」理由
1. 体格差がないためケガのリスクが低い
チワワは超小型犬であるため、他の中型・大型犬と比べると力や体格差によるトラブルが起きにくいです。同じサイズ感の犬同士であれば、遊びのテンポや運動量も自然に合いやすくなります。
2. 生活スタイルが同じ
チワワ同士は運動量・食事量・寒がり/暑がりといった生活リズムが非常に似通っているため、飼い主の管理がしやすいというメリットがあります。
3. コミュニケーションが取りやすい
犬種特有の表現やテンションにおいても、チワワ同士は互いの空気を読みやすい傾向があります。長時間一緒に過ごすことで、兄弟のように強い絆を育むことも少なくありません。
チワワ同士でも起こり得るリスクと注意点
1. 強い個体同士だと“静かな対立”が起きることも
一見穏やかに見えても、お互いに譲らず無言で張り合うケースがあります。これは主導権争いや飼い主の取り合いに起因しやすく、トイレ失敗や無視行動など、間接的なストレス表現として現れることもあります。
2. 飼い主の接し方が「不公平」に見えると信頼を失う
チワワは感情表現が豊かなぶん、小さな扱いの差を敏感に察知します。どちらか一方に偏った愛情を注いでしまうと、もう一方が拗ねたり、攻撃的になるケースも。
「名前を呼ぶ順番」「なでる時間」などもバランスを意識する必要があります。
3. 同性・同年齢だと張り合いやすい
特にメス×メス、オス×オスで年齢差が少ない場合は、序列を争いやすくなる傾向があります。片方が支配的になり、もう片方が委縮してしまうなど、見えにくいストレスが蓄積するリスクがあります。
チワワ同士で多頭飼いするなら、気をつけたい3つのポイント
- 先住犬の性格が穏やかかどうかを第一に判断
「犬好き」なチワワであればスムーズな導入が可能。 - 性別と年齢差のバランスを考慮する
理想は「オス×メス」「1〜3歳差」での組み合わせ。 - 導入は“段階的に・慎重に”が基本
初対面からいきなり同居させず、隔離→顔合わせ→短時間の共有時間という流れで慣らしていく。
まとめ
チワワ同士の多頭飼いは、成功すれば驚くほど仲良くなり、互いを支え合う最高のパートナー関係を築くことができます。しかし、それは偶然ではなく、飼い主の慎重な判断と段階的な準備の結果です。
「同じチワワだからうまくいく」とは限らず、「チワワだからこそ丁寧に向き合う」必要があります。
第5章|実例で見る成功パターンと失敗パターン


理論だけでは語りきれないのが多頭飼いのリアルです。ここでは、実際にチワワを多頭飼いしている飼い主の体験談を通して、「うまくいったケース」「うまくいかなかったケース」のそれぞれから学べるポイントを整理します。
成功例1|2歳差のオス×メス、自然に兄妹のような関係に
飼い主:30代女性/愛犬:チワワ2匹(オス7歳・メス5歳)
「最初はメスを迎えることに少し不安がありましたが、先住オスがとてもおおらかな性格で、新入りを受け入れるのも早かったです。
初めの1週間はケージ越しに対面させて、徐々に同じ部屋に出す時間を延ばしていきました。今ではお互いの存在が当たり前のようで、2匹で寄り添って眠る姿を見ると、本当に多頭飼いしてよかったと思います。」
- 性格の相性が良く、段階的な慣らしを実施
- 年齢差・性別のバランスも◎
成功例2|最初は距離があったが、半年かけて仲良しに
飼い主:40代男性/愛犬:チワワ×ヨークシャーテリア
「最初の2ヶ月は正直、『無理かもしれない』と思うほど距離がありました。先住チワワが新入りの動きに神経質になり、吠えたり隠れたり…。
でも、慣れさせるのを焦らず、別々に接する時間もたっぷり取りました。ある日突然、2匹でじゃれ合い始めて、それから一気に距離が縮まりました。今はよき兄妹です。」
- 慣れるまでに“時間がかかる前提”で対応
- 分離飼育と並行して「お互いに興味を持たせる工夫」が有効
失敗例1|初対面でフリーに→ケンカと噛み合いに発展
飼い主:20代女性/愛犬:チワワ2匹(同い年・メス×メス)
「相性も確認せず、“同じチワワ同士だし大丈夫だろう”と楽観的に迎えたのが失敗でした。
初日から同じ部屋に入れてしまい、先住犬が怒って噛みつき、そこからずっと険悪な関係に…。一度こじれてしまうと取り返しがつかないと実感しました。」
- 初対面でフリー”は非常に危険
- 同性・同年齢は衝突リスクが高く、慎重な導入が必須
失敗例2|新入りに手をかけすぎて先住犬が拗ねた
飼い主:60代夫婦/愛犬:チワワ兄弟(オス3歳・1歳)
「子犬が来てから、どうしても手がかかるのでそちらに集中してしまい、先住犬を後回しにしてしまいました。
気づけば、トイレを外すようになったり、鳴き癖が出たりと、明らかにストレスを感じている様子に…。慌てて“先住犬を優先”に切り替えたところ、徐々に落ち着いてきました。」
- 多頭飼いで最も多い失敗パターンの一つ
- 「先住犬の信頼維持」は何よりも優先されるべき
まとめ:成功と失敗の差は“準備と観察力”
どの成功例にも共通するのは、時間をかけた慣らしと、飼い主の冷静な観察力です。反対に失敗例の多くは、「性格の見極め不足」「焦り」「飼い主の態度の偏り」が原因です。
多頭飼いを始める前に、実際の失敗を「自分ごと」として想定しておくことが、長期的な関係づくりの第一歩になります。
第6章|多頭飼いのための準備チェックリストと環境整備


多頭飼いを成功させるかどうかは、「導入してから」の対応よりもむしろ導入前の準備段階が鍵になります。
特にチワワ同士、あるいは相性の不確かな犬種との同居を考える場合、ストレスを最小限に抑える環境整備と導入ステップが必要不可欠です。
この章では、具体的な準備項目と導入時の進め方をチェックリスト形式で解説します。
多頭飼いを始める前の準備チェックリスト
チェック項目 | 解説・備考 |
---|---|
先住犬の性格・健康状態を確認できているか | 攻撃性・依存傾向・病歴の有無などを見直す |
新入り犬の性格や背景を事前に把握できているか | 保護犬やペットショップでも性格の傾向は確認 |
別々のケージ・食器・トイレを用意しているか | 最低限「生活空間の独立性」が守れる状態が必要 |
家族全員が多頭飼いに賛成し、協力できる体制か | 世話の分担・責任意識の共有が不可欠 |
経済的に2匹分の医療費・フード代を負担できるか | 月額・年間費用を試算しておく(後述) |
環境整備の基本ポイント
1. 各犬専用の生活スペースを確保
- ケージ、ベッド、トイレ、食器は完全に分けるのが基本
- 初期は「別部屋 or 目隠し付きの仕切り」で視覚的にも距離を置くと効果的
2. 散歩や遊び時間は“個別対応”からスタート
- 一緒に行動するのはお互いにストレスを感じないことが確認されてから
- 最初は1匹ずつ散歩し、それぞれの不満を解消させることが大切
3. 匂いや物の交換で“間接的な慣らし”をする
- お互いの寝具やおもちゃを交換して、においによる段階的な接触を促す
- 直接対面よりも先に、「存在の認識→安心感」の流れを作る
導入ステップ:段階的な顔合わせと距離の縮め方
- 匂い交換のみ(物を介して)
- ケージ越しに顔を合わせる(5〜10分程度)
- 短時間・短距離で一緒にフリーにする(監視下)
- 2匹ともリラックスして過ごせるようになるまで“徐々に延長”
- 同室で過ごす時間を自然に長くしていく
※無理に仲良くさせようとせず、「共存ができる」状態を目指すのが基本方針です。
導入前に“やってはいけないこと”
- 初日から同じ空間に放す(→トラブルのもと)
- 「先住犬を無視して新入りにばかり構う」(→不信感の原因)
- 対立が起きたときに片方だけを厳しく叱る(→不公平感が生まれる)
まとめ
環境と準備が整っていないまま多頭飼いを始めてしまうと、どんなに相性の良い犬同士でも関係がこじれる可能性があります。
“空間の余裕”と“飼い主の心の余裕”、そして“犬たちの心理的な余裕”を確保するために、計画的な導入と段階的な距離の縮め方が何よりも重要です。
第7章|2匹目以降にかかる費用と時間的コスト





もう1匹くらいなら、そんなに大変じゃないだろう
そう考える飼い主は少なくありません。しかし実際には、チワワ1匹分の費用や手間が“そのまま倍”になるわけではなく、予想以上のコストや負担が生じることも。この章では、チワワの多頭飼いにおける経済的・時間的コストを具体的に解説します。
費用項目 | 1匹あたりの目安 | 2匹目追加後の合計 | 増加幅の目安 |
---|---|---|---|
フード代(月) | 約3,000円 | 約6,000円 | +3,000円 |
トイレシーツ代 | 約2,000円 | 約4,000円 | +2,000円 |
ワクチン・健診代(年) | 約15,000円 | 約30,000円 | +15,000円(年) |
ペット保険(月) | 約3,000円 | 約6,000円 | +3,000円 |
トリミング(必要な場合) | 約5,000円〜 | 約10,000円〜 | +5,000円〜 |
グッズ類(ベッド、ケージ等) | 初期費用15,000円〜 | +15,000〜20,000円 | 導入時のみ |
年間合計の増加目安: 約10〜15万円(※予防医療と最低限の生活用品を含む)
2匹目を迎えることで増える「時間的コスト」
1. 世話の手間が1.5〜2倍に増加
- ごはん/トイレ/掃除/ケアなどが単純に増える
- 片方が病気・ケガをすると片方を構ってあげられず苦労する
- 散歩や遊びの時間は「一緒に行ける」とは限らない(性格次第)
2. 心理的な配慮も必要に
- 先住犬と新入りのバランスある接し方に気を配る必要がある
- 多頭飼い初期は1匹ずつに付き添う時間が必要
- ストレスや誤解からくる問題行動(吠え・粗相・不安行動など)への対応力が求められる
想定外にかかる「臨時コスト」の例
- 2匹分の通院・手術代(同時に病気になれば倍以上)
- 留守番時間が長くなった場合のペットシッター代やホテル代
- ケンカ・事故によるけが治療費(5〜10万円レベルも)
- 費用を抑えようとして結果的に無駄な買い替えや二重購入につながるケースも
「お金だけでは測れない」意外な負担
- 1匹目と2匹目で性格がまったく異なり、対応方法を切り分けなければいけない
- トレーニングがうまくいかず、1匹目のしつけが崩れるリスク
- 体調や年齢差によって「行動ペースが合わない」ことで不公平感が生まれる
まとめ
2匹目を迎えるということは、「費用」だけでなく「時間」「意識」「空間」などあらゆる面での負担が増えます。
決して“2倍の幸せ”だけではなく、“2倍の責任”が伴うことをしっかり理解したうえで、多頭飼いに踏み出すべきです。
逆に言えば、それだけの覚悟と準備ができていれば、2匹のチワワから得られる愛情は何倍にもなって返ってくるでしょう。
第8章|チワワの多頭飼いに向いている人・向かない人


チワワの多頭飼いは、相性や育て方、環境次第で大成功することもあれば、トラブル続きで大変な思いをすることもあります。その違いを分けるのは、「飼い主の向き不向き」にあることが少なくありません。
この章では、チワワの多頭飼いを前提とした場合に、どんなタイプの飼い主が向いていて、どんなタイプには注意が必要なのかを明確にしてお伝えします。
向いている飼い主の特徴
1. 観察力と冷静な判断力がある人
- 「なんとなく変だな」と思った小さな違和感に気づける
- 衝突や異変が起きたときに、感情的にならず冷静に対処できる
2. 平等に愛情を注げる人
- 1匹目にも2匹目にも偏りなく時間やケアを配分できる
- “先住犬ファースト”の原則を守りつつ、自然に2匹目を受け入れられる
3. 犬との時間を惜しまない人
- しつけ・遊び・散歩・観察など、日々の時間をしっかり取れる
- 多頭飼いのために生活スタイルを調整する柔軟性がある
4. 経済的・空間的に余裕がある人
- 医療費やグッズ代、広めの居住空間を無理なく確保できる
- トラブル時にも「慌てない備え」を持っている
向かない可能性が高い飼い主の特徴
1. 感情に流されやすい人
- 可愛さだけで2匹目を迎える
- トラブル時にすぐに怒鳴ったり、1匹だけを叱る癖がある
2. 犬の変化に無関心・観察が苦手な人
- 「放っておけば仲良くなるだろう」と安易に考える
- トイレや食事の失敗を“性格のせい”にする
3. 忙しくて不在が多い人
- 長時間留守にする家庭では、多頭飼いによる孤独感や依存心の悪化も起きやすい
- 十分なコミュニケーション・運動・ケアが不足するリスクあり
4. お金やスペースにギリギリの状態で飼っている人
- 「節約しながら何とかなる」は多頭飼いでは通用しない
- 緊急時に治療や隔離が必要になった場合に対応できない可能性も
多頭飼い向きかどうかを見極める5問チェックリスト
質問 | はい | いいえ |
---|---|---|
Q1. 先住チワワは、他の犬と一緒に過ごした経験がある | 向いている | 要注意 |
Q2. ごはんやおもちゃを奪っても怒らない、または取り合わない | 向いている | 要注意 |
Q3. あなた自身、1匹目の世話に十分な時間と手間をかけている | 向いている | 要注意 |
Q4. どちらの犬にも公平に愛情と時間をかけられる自信がある | 向いている | 要注意 |
Q5. トラブルが起きた時に、冷静に観察・対処する自信がある | 向いている | 要注意 |
判定結果の目安
- 5問中4〜5問が「はい」:多頭飼いに向いている可能性が高い
→ 基礎的な準備と意識が整っており、相性を見極めつつ慎重に進めれば成功しやすいです。 - 2〜3問が「はい」:準備・知識を整えれば成功できる可能性あり
→ 不安要素もあるが、導入ステップと先住犬の性格に応じて判断を。 - 0〜1問が「はい」:慎重に再検討を。現時点ではリスクが高い
→ まずは先住犬との信頼関係の再確認と、飼育環境の見直しが必要です。
第9章|迷っている人のための相性診断チェックリスト





うちのチワワは多頭飼いに向いているのか?



この子と相性の良い2匹目はどんな性格や犬種だろう?
そんな迷いを抱える飼い主に向けて、この章では犬同士の相性を事前に見極めるためのチェックリストを用意しました。完全な判断はできなくても、衝突のリスクを減らし、導入後の成功率を高める指標にはなります。
犬同士の相性チェックリスト(15項目)
以下の項目で「はい」の数を数えてください。
性格・行動編(先住犬について)
チェック項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
他の犬に会っても落ち着いて接することができる | ○ | × |
自分のテリトリーにこだわりすぎない | ○ | × |
食べ物やおもちゃを奪われても攻撃しない | ○ | × |
飼い主の指示に従いやすく、基本的なしつけが入っている | ○ | × |
急な音や動きにも過敏に反応しない | ○ | × |
環境・飼い主編
チェック項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
生活空間に余裕があり、犬用スペースを分けて確保できる | ○ | × |
トイレ・ケージ・食器などを犬ごとに用意できる | ○ | × |
飼い主自身に余裕があり、1匹ずつの時間をつくることができる | ○ | × |
家族全員が多頭飼いに賛成している | ○ | × |
医療費・予防接種・保険などの経済的準備ができている | ○ | × |
新入りの性格傾向(事前に分かっている場合)
チェック項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
子犬・成犬に関係なく、人にも犬にも社交的 | ○ | × |
初対面の犬に対して威嚇せず、様子をうかがうタイプ | ○ | × |
飼い主に依存しすぎる様子がない | ○ | × |
食事や遊びの際に独占的な態度を取らない | ○ | × |
慣れるまで静かに過ごせるタイプ(激しすぎない) | ○ | × |
診断結果の目安
- 12〜15個「はい」:相性良好。導入の成功率は非常に高い
- → 性格・環境・飼い主の意識がそろっており、段階的な導入で良好な関係が築ける見込みです。
- 8〜11個「はい」:条件付きで成功可能。慎重な導入がカギ
- → 個体差や導入ステップに注意を払いながら、様子を見て調整を。
- 0〜7個「はい」:慎重な再検討を。今はまだ早いかも
- → 先住犬の精神的な成熟や飼い主の準備が整っていない可能性があります。
チェックリスト活用のポイント
- 導入前の「仮の出会い(トライアル)」に活用
- 保護団体・ブリーダーとの相談材料として提示可能
- 家族内での役割分担を見直すツールにも使える
以下より、チワワの多頭飼い用「相性チェックリスト(15項目)」をExcelファイルとしてダウンロードできます。
また、印刷して使いやすいように「相性チェックリスト(15項目)」をPDF形式でも準備しました。以下よりダウンロード可能です。
まとめ|チワワの多頭飼いは“個性”と“覚悟”を見極めて
チワワの多頭飼いは、単なる「可愛いが2倍」という話ではありません。その実態は、2倍の責任・2倍の配慮・2倍の準備が求められる、飼い主にとって真剣な選択です。
本記事では、性格や相性、費用、環境、そして実例やチェックリストに至るまで、あらゆる角度からチワワの多頭飼いを掘り下げてきました。結論としてお伝えしたいのは、
ということです。
チワワの多頭飼いで大切な3つの視点
- 先住犬への尊重と信頼維持
- → どんなときも「1匹目の安心」が最優先
- 相性と性格の“見極め”に時間を惜しまない
- → 外見ではなく、行動や反応に注目する
- 「仲良くさせる」ではなく「共存できる関係を作る」
- → 無理に遊ばせない、距離感を大切にする
チワワの多頭飼いは、たしかに大変です。しかしそれを乗り越えた先には、犬同士が寄り添い、飼い主のそばで穏やかに暮らすという、かけがえのない日常が待っています。



もう1匹を迎えたいけれど、悩んでいる
その気持ちは、チワワへの深い愛情の証拠です。焦らず、比べず、準備を整えたその先に。2匹のチワワとあなたにとって、最高の関係が築けるように。
本記事がその一歩になれば幸いです。