ドッグフードを選ぶとき、多くの飼い主が真っ先に気にするのが「価格」です。
1日2回、365日与えるものだからこそ、

できるだけ安く抑えたい…。



家計への負担を少なくしたい…。
と考えるのは当然のこと。特に多頭飼いや大型犬の場合、その影響はより大きくなります。ですが、安さを最優先にした結果、愛犬の健康が損なわれてしまうケースが少なくありません。
涙やけ、軟便、皮膚トラブル、口臭、被毛のパサつきなど、「年齢のせい」「体質のせい」と見過ごしていた不調が、実は“毎日のごはん”に原因があったという話は珍しくないのです。
とはいえ、高価なプレミアムフードをいきなり導入するのも現実的ではない、という方も多いでしょう。
そこで本記事では、
- なぜ安いフードが選ばれるのか
- 安価なフードにありがちな注意点
- 価格と安全性を両立させる方法
- コスパの良い“安くて信頼できる”フードの比較
- 安く買うための工夫や継続のコツ
といった、「予算を守りつつ、健康も守りたい」飼い主さんのための実用的な情報をお届けしていきます。
安いからといって、必ずしも悪いフードとは限りません。ただし、「安いなりの理由」を正しく理解し、後悔しない選択のために必要な“見極め力”を持つことが、何よりも大切なのです。
なぜ安いドッグフードを選びたくなるのか?


ドッグフード選びの基準が「価格」になるのは、決して怠慢ではありません。むしろ、経済的な事情・多頭飼い・大型犬のフード消費量など、継続的な出費として現実的な理由があるからこそ、飼い主は「無理のない範囲で最良を選びたい」と考えるのです。
この章では、多くの家庭が「安いフードを選びたい」と思う背景と、実際のフード価格がどうなっているのかを整理してみましょう。
安い=継続しやすいという大きな利点
ドッグフードの平均価格は1kgあたり150円〜3,500円とかなり幅があります。特にグレインフリーや無添加フードは高価格帯になりがちで、毎月のコストが跳ね上がることも。
例えば、以下のようなケースでは「コストを抑えたい」という気持ちは当然といえます。
- 大型犬を飼っていて1日に1kg以上食べる
- 複数頭飼いをしている
- 家計に余裕がない/フード以外にも医療費がかかる
無理をして高価なフードを買い続けることで、かえってストレスになり、途中でやめてしまえば継続的な健康効果も得られません。
その意味で「安いフード」を選ぶことには、“現実と折り合いをつけた選択”という側面があるのです。
月額フード代の比較表
体重別(成犬) | 摂取量目安/日 | 安価フード(月1000円/kg) | 中価格帯(月2500円/kg) | 高価格帯(月4000円/kg) |
---|---|---|---|---|
5kg(小型犬) | 約100g | 約3,000円/月 | 約7,500円/月 | 約12,000円/月 |
10kg(中型犬) | 約300g | 約9,000円/月 | 約22,500円/月 | 約36,000円/月 |
20kg(大型犬) | 約1000g | 約30,000円/月 | 約75,000円/月 | 約120,000円/月 |
このように、同じ体重でもフードの価格帯によって毎月1万〜2万以上の差が出ることがあるため、価格重視になるのも無理はありません。
「安い=悪い」と決めつけられない時代に
実際、最近では製造技術の進歩や供給網の効率化により、一定の安全性を保ちながら低価格を実現しているフードも登場しています。
その一方で、「とにかく安く作る」ことだけを目的に、質を落としている製品も混在しているため、見極めがより重要になっているのです。
安いフードを選ぶのは悪いことではありません。大切なのは、「なぜその価格なのか」「中身はどうなっているのか」を知ること。
次章では、実際に安価なドッグフードにありがちなリスクや注意点について詳しく見ていきます。
安価なフードに潜むリスクとは?


どんな商品にも「安くできる理由」が存在します。
ドッグフードも例外ではなく、低価格を実現するために、何かを削ったり、置き換えたりしていることがほとんどです。この章では、「なぜ安いのか?」という視点から、実際にどのようなリスクがあるのかを具体的に確認していきます。
原材料の質が低い可能性
安価なフードの多くでは、「ミール」や「副産物」といった加工原料が使用されています。これは、以下のような“人間用には適さない部位”が含まれるケースもあります。
- くちばしや羽根、骨、血液などの動物副産物
- 食品加工後の残渣(ざんさ)やくず肉
- 正確な部位が不明な「肉類」表記
これらの原料は消化吸収率が悪く、体に必要なアミノ酸や脂質が不足する原因になります。
炭水化物(穀類)による“かさ増し”
とうもろこし・小麦・大豆といった穀類が原材料のトップに書かれている場合、肉類の量を減らし、安く製造するための“かさ増し”が目的であることが多いです。
穀類そのものが悪いわけではありませんが、
- 消化が苦手な犬もいる
- アレルギーの原因になることがある
- 炭水化物過多で肥満傾向になりやすい
といったリスクがあるため、主原料にしているフードは要注意です。
合成添加物の使用リスク
保存料・着色料・香料などの合成添加物は、製品の保存性や見た目・香りをよくする目的で使われます。
とくに以下のような成分には注意が必要です。
- BHA(ブチルヒドロキシアニソール):発がん性が指摘された例あり
- BHT(ブチルヒドロキシトルエン):神経系への影響懸念
- 赤色○号、青色○号:人間食品でも使用制限されることがある合成色素
これらが頻繁に使われているフードは、長期的な健康リスクを抱える可能性があります。
栄養のバランスより「食いつき重視」の設計
安いフードほど、「犬がよく食べる=良いフード」と思わせるために、香料や油脂を大量に使用する傾向があります。しかし、これは一時的な“嗜好性”を高めているだけで、栄養設計としては非常に偏っていることも多いのです。
結果として
- 食いつきは良いけど涙やけが増える
- 体重が増えてしまう
- 便の状態が安定しない
といった問題が見られるようになります。人間社会もそうですが、健康的な食事よりもジャンクフードの方が美味しくて食が進みます。それと全く同じだと考えてもらって大丈夫です。
表示があいまい・情報開示が少ない
信頼できるメーカーは、原材料や成分、製造工場の情報をしっかり開示しています。
反対に、安価な製品では「チキンミール」「肉類」などあいまいな表現が多く、内容の見極めが難しいことがあります。消費者が判断できないような曖昧な表示は、それだけ“見せたくないものがある”可能性があると考えるべきでしょう。
もちろん、すべての安いフードが悪いとは言い切れません。
しかし、「価格の背景」に何があるのかを知っておくことは、愛犬の健康を守る第一歩です。次の章では、「価格と安全性のバランスは本当に取れるのか?」という疑問に、現実的な視点で答えていきます。
価格と安全性のバランスは取れるのか?


ここまでの内容から、「やっぱり安いフードはダメなのかな…」と不安になった方もいるかもしれません。
けれど実際には、価格と安全性は必ずしも比例するものではありません。あくまで重要なのは、「価格に見合った中身かどうか」という視点です。
この章では、コスパ重視でも安全にフードを選ぶための考え方と、実践的な工夫をご紹介します。
高いフードでも合わないことはある
まず前提として、高価なフードであっても、
- 愛犬の体質に合わない
- 食いつきが悪い
- 下痢や軟便を起こす
といったことは決して珍しくありません。反対に、比較的手頃なフードでも、
- 肉が主原料
- 添加物を抑えている
- 栄養設計がシンプルで分かりやすい
といった“中身の良い製品”は確実に存在しています。つまり、「高ければ安心」ではなく、“価格と品質のバランスが取れているかどうか”が判断の軸になるのです。
「合わないフード」を与え続けるコストの方が高い
たとえば、安価なフードを選んでいて、
- アレルギーで通院が増えた
- 下痢や軟便が長引いて検査費がかかった
- 皮膚トラブルでシャンプーや薬を併用するようになった
となると、結果的に安く済ませたはずが高くつくこともあります。これは“フード選びの間接コスト”と呼べるもので、目に見えづらい出費だからこそ見落とされがちです。
コストを抑えるための3つの工夫
① トッピングや混合利用でバランスを取る
完全にプレミアムフードに切り替えなくても、
- 現在のフードに、良質なたんぱく質(鶏肉、卵など)をトッピング
- 朝は安価なフード、夜は質の高いフードを与える
などの方法で、コストを抑えつつ栄養バランスを整えることが可能です。
② 小袋をうまく活用する
酸化や品質低下を避けるためには、小袋タイプや個包装フードが有効です。
大容量パックよりも割高に感じられますが、結果としてフードの無駄が減り、品質を保ったまま最後まで使い切れるという利点があります。
③ 定期便・まとめ買い・セールを活用する
公式サイトの定期購入割引や、Amazon・楽天のセール、ポイントデーなどを活用すれば、中〜高価格帯のフードでも実質的に数十%安く手に入れることができます。
「コストを抑える」=「安いフードを選ぶ」ではなく、“選んだフードをいかに上手に買うか”もまた、健康を守る工夫のひとつなのです。
次章では、こうした考え方を踏まえたうえで、実際に「安いけど信頼できるドッグフード」について、比較表と具体例つきで詳しくご紹介していきます。
実際に試した「安いけど使えるフード」比較


“安かろう悪かろう”ばかりじゃない。信頼できる選択肢はある
「安い=危険」という印象があるかもしれませんが、すべての低価格フードが粗悪とは限りません。原材料や製法に工夫を凝らし、価格を抑えつつも安全性や栄養バランスを維持した良質なフードも存在しています。
この章では、実際に選ばれている“コスパ重視だけど使えるフード”を、比較表とあわせてご紹介します。
選定のポイント
以下の条件に当てはまるものをピックアップしています。
- 1kgあたりの価格が3,000円以下
- 主原料に明確な動物性タンパク質を使用
- 合成添加物(BHA、BHTなど)を使用していない、または最小限
- 消化吸収やアレルギーへの配慮がなされている
安価で信頼できるフード比較表(2025年版)
商品名 | 主原料 | 特徴 | 価格(1kg換算) | 添加物の有無 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
アランズナチュラル | ラム肉 | グレインフリー ラム肉使用 | 約2,500円 | 無添加 | 小型犬向けにも人気 |
モグワン | チキン&サーモン | グレインフリー・手頃価格・欧州製造 | 約2,772円 | 最小限使用 | 定期便利用安く |
ネルソンズ | チキン | グレインフリー 香料不使用 | 約1,500円 (定期コース) | 無添加 | 食いつき改善に有効 |
ユリカゴドッグフード | 鶏・大豆など | 低アレルゲン・コスパ重視・国産 | 約2,300円 | 最小限使用 | 小袋包装で鮮度保持 |
※価格は公式サイトまたは主要通販サイトでの参考価格(2025年6月時点)
各商品の特徴解説(2025年版)
アランズナチュラルドッグフード
- 主原料:ラム肉100%(単一たんぱく源)
- グレインフリー(穀物不使用)、人工添加物・香料・着色料不使用
- たんぱく源が1種類のため、アレルギー体質の犬にも安心
- 低脂肪・低アレルゲン・消化吸収率が高く、胃腸が敏感な子にも適している
自然由来の素材だけを使ったレシピで、「手作り食に近い安心感」が魅力。とくに皮膚トラブルや便の安定に悩む飼い主から高評価を得ている一品です。
モグワン
- 主原料:チキン&サーモン(動物性タンパク質50%以上)
- グレインフリーで、香料・着色料などの合成添加物を使用せず
- 欧州の厳しい基準(FEDIAF)に準拠した工場で製造
- 「食いつきが悪かった子でもよく食べる」と評判
コスパと品質のバランスに優れた「フード見直しの最初の1袋」として定番人気。粒も小さめで、小型犬でも食べやすい形状になっています。
ネルソンズドッグフード
- 主原料:チキン(乾燥チキン・チキン生肉)
- 中型犬・大型犬のために設計された大粒・大容量タイプ(5kgパック)
- 合成保存料・着色料は不使用で、自然由来の酸化防止剤を使用
- 高たんぱく・高エネルギーで、活動量の多い犬種におすすめ
定期コースなら1kgあたり1500円弱という高コスパで、「体が大きい犬にも安心して与えられる」と支持されています。まとめ買いでさらに割安になるため、コストを重視したい多頭飼いや大型犬オーナーに特に人気です。
ユリカゴドッグフード
- 主原料:鹿肉、白身魚など
- グレインフリー
- 獣医監修・ヒューマングレード原料を使用
- リフレッシュに用いられるハーブを4種類配合
毎日の食事に取り入れるだけで、1日中穏やかに過ごせるフードを作りたいという思いで「夜用フード」として作られています。涙やけや軟便、体臭の改善を実感したという口コミも多く、初めてのフード見直しとして安心感があります。
安く買うための工夫と買い方のコツ


せっかく良質なフードを見つけても、価格の負担が大きいと継続が難しくなります。ですが、ちょっとした工夫や購入方法の見直しによって、同じフードでも“より安く、効率よく”手に入れることが可能です。
この章では、ドッグフードを経済的に続けるための現実的なテクニックをご紹介します。
① 公式サイトの定期便を活用する
モグワン・アランズ・ネルソンズ・ユリカゴといった多くの人気フードは、公式サイト経由で定期購入すると最大20〜30%の割引が適用されます。
定期便のメリット
- 毎回割引価格で購入できる
- 自動配送で買い忘れを防げる
- 柔軟に「スキップ」「停止」「変更」が可能
- 返金保証がついている場合も
特に長期的にフードを継続する場合は、「定価購入」よりも圧倒的にコスパが良くなるケースが多いです。
② 楽天・Amazonのキャンペーンやポイントデーを狙う
大手通販サイトでは、以下のような時期限定のキャンペーンやセールが頻繁に行われています。
- 楽天スーパーセール(月1回)
- Amazonタイムセール祭り
- 楽天お買い物マラソン(ポイント最大10倍)
- ペットの日(11日)限定クーポン
とくに楽天は公式ストアも出店していることが多いため、安心して買えるうえにポイント還元でさらにお得です。
③ 大容量パック+保存対策の併用
例えばネルソンズのような5kgパックは、1kgあたりの単価が圧倒的に安くなる一方、酸化リスクもあります。そこで以下のような保存対策をすることで、大容量でも品質を保ちつつ使い切ることができます。
- 開封後はすぐに密封容器(真空パックやフードストッカー)に移す
- 1〜2週間分ずつ小分けする
- 湿気の少ない冷暗所で管理する(高温厳禁)
こうしたひと工夫で、ロスなく無駄なく与えられ、結果的にコストカットにもつながります。
④ 飼い主同士での「シェア購入」も選択肢
知人や地域の飼い主同士で共同購入(シェア買い)を行えば、大容量パックを分け合えて無駄がありません。
SNSや地域のペットコミュニティ、ドッグランでつながっている方がいれば、一度提案してみるのも有効です。
フードそのものだけでなく、「どこで」「どうやって」買うかまで意識を向けることで、“良い選択を無理なく続ける”ことが可能になります。
飼い主にできる“もう一歩”の健康管理


どれだけ良いフードを選んでも、それだけですべての健康を守れるわけではありません。
フードの質に加えて、ちょっとした習慣や工夫を取り入れることで、犬の体調はより安定し、健やかな生活が送れるようになります。
この章では、無理なく取り入れられる“もう一歩”の健康管理方法を4つの視点でご紹介します。
① 手軽に取り入れられる「トッピング活用」
安価なフードをベースにしつつ、栄養価を補うトッピングを加えるのは非常に効果的です。
おすすめ食材
- ゆでた鶏むね肉(高たんぱく・低脂肪)
- 茹で野菜(にんじん、かぼちゃ、小松菜)
- 生卵 or 温泉卵(ビオチン・タンパク補給)
- ヨーグルト少量(腸内環境ケア)
トッピングのルール
- 1食の20%以内に抑える
- 味付け・油は一切使わない
- アレルゲンになりやすい食材は避ける(ネギ類・チョコなど)
トッピングは“栄養のブースト”にも、“食の楽しみ”にもつながるので、偏食気味の子にもおすすめです。
② 水分摂取を意識する
ドライフード中心の食生活では、犬は水分摂取量が不足しがちです。水分不足は、膀胱炎や尿路結石、便秘のリスクを高める原因にもなります。
水分摂取を促す工夫
- ぬるま湯でふやかす/スープ風にして与える
- 食後にウェットフードを少量混ぜる
- 水飲み場を複数設ける
- 器を自動給水器や循環型に変えてみる
特にシニア犬や冬場は、水分摂取量がさらに低下するため、“食事で水をとらせる工夫”が重要になります。
③ サプリメントの活用(必要な場合のみ)
過度なサプリ依存は推奨されませんが、以下のような明確な目的がある場合には有効です。
- グルコサミン/コンドロイチン:関節の健康維持
- EPA・DHA:皮膚と被毛ケア
- 乳酸菌:腸内フローラの安定
- ビタミンC:抗酸化ケア(老化予防)
あくまで“補助的な存在”として考え、基本はバランスの取れた食事がベースであることを忘れないようにしましょう。
④ 日常的な運動・遊び・スキンシップ
運動や遊びは、心身の健康だけでなく消化・代謝・筋肉の維持にも直結しています。また、スキンシップの中で体調の変化や異変(かゆみ・しこり・臭いなど)にも気づきやすくなります。
- 1日15分の散歩でも“リズムと代謝”に好影響
- 室内遊びでの運動不足解消
- ブラッシング=皮膚チェックのチャンス
「ごはん+αの時間」は、健康と絆の両方を育む大切な時間です。
まとめ|価格で選んでも、工夫次第で愛犬は健康になれる
ドッグフードを価格で選ぶことは、決して間違いではありません。むしろ、家計と向き合いながらも愛犬の健康を願う、等身大の選択だといえるでしょう。
ただしそのとき、「なぜ安いのか」「何が含まれているのか」を少しだけ意識することで、同じ“安い”の中でもより安心できるフードを選ぶ力が手に入ります。この記事では以下のようなポイントをお伝えしました。
- なぜ多くの飼い主が安いフードを選ぶのか
- 安価なフードにありがちな落とし穴
- 価格と安全性のバランスはとれるという事実
- 実際におすすめできる“安くて信頼できる”フード4選
- 賢く安く買う方法と、継続するためのコツ
- フード以外で健康を支える4つの工夫
「高いフードしか与えちゃダメ」ではなく、“限られた条件の中で、どうベストを尽くすか”が飼い主として本当に大切な姿勢です。
そしてその姿勢こそが、きっと愛犬にも伝わります。フード選びは、愛犬に贈る毎日のラブレターのようなもの。
今日から少しだけ意識を変えることで、未来の健康と笑顔が変わります。